「嫌われる勇気」を読んだ

大ベストセラーになっている「嫌われる勇気」を読みました。

読了後,「どうしても感想を文章に残しておきたい」と思ったので,noteにつらつらと書いています。なんというか,感想を書くことで内容を自分の中に定着させたい,という思いがあるのかもしれません。これを受け流してしまうのはもったいないというか……。

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普段はあんまり読書とかしないんですけどね。まあこういうところから教養を積み上げていきたいものです。知らんけど。

そもそもどうして読もうと思ったのか

僕はもともと自分に自信が持てない性格で,「人に嫌われたくない」という気持ちは強い方だと思います。周りの期待に沿って生きたい,という感じでしょうか。わかる人にはわかると思います。まあベストセラーということでタイトルだけは知ってて,「『嫌われる勇気』っていうのを持てる方法があるなら知りてえな〜〜〜〜」とは思っていました。

さらに,最近Twitterで見かけた漫画でアドラー心理学の内容が紹介されていました。(漫画の内容自体は「アドラー心理学に出会って鬱が治った,みたいなものでしたが,こちらは波紋を呼んでいる様子)ということで気になって,半ば衝動的にAmazonでポチりました。

対話形式なので,入り込みやすい

アドラー心理学を研究してきた哲学者と,彼のもとを訪れた青年との対話形式で進んでいきます。青年は自分への自信を極端に失っていて,何をやってもうまくいかない,と思い悩んでいるタイプ。

あとがきでも触れられているのですが,この「青年」というのがまさに読者である我々の代弁者の役割を担っており,ゆえに非常に入り込みやすい形式となっています。アドラー心理学は「常識へのアンチテーゼ」とも言われるほど,既存の(フロイト的な)心理学の枠組みを根底から覆すような内容を含んでいるため,おそらくその内容だけを淡々と並べ立てられても,反発したい気持ちばかりが湧いてくるでしょう。その点,本書では「青年」がその反発を担当してくれ,哲学者もそれに応えてくれるので,内容がスッと入ってくるのです。これは秀逸。

世界観を作るのは自分で,不幸の原因は自分にある

で,内容の方はと言うと,のっけからかなり衝撃的です。

青年の友人がいわゆる引きこもりで,それは過去の何らかの出来事が原因なのだろう,という話をします。しかしこれはアドラー心理学の考え方とは違っており,哲人はこう説きます。

”ご友人は「不安だから,外に出られない」のではありません。順番は逆で「外に出たくないから,不安という感情をつくり出している」と考えるのです。”

……は?????????????

いや,めちゃくちゃですよこんなの。そんなの仮病使ってるみたいじゃないですか。引きこもりの人は外に出たくても出られないから困ってるんでしょうよ。

……と思うわけですが,これがアドラー心理学の重要な概念,「目的論」なのです。要するに,自分の目的に応じて感情を作り出している,という話です。これがまず受け入れ難かった。

という主張に基づいて,ざっくり言うと「あなたが不幸なのは,自らその道を選んでいるから(そういったライフスタイルを選んでいるから)」「変われないのは,変わろうとしないから」といった展開をしていきます。あまりにつらすぎる。確かに(病的な)鬱とは最高に相性が悪そうだ。それはそう。

「承認欲求」を否定する

SNS全盛の時代,世の中は承認欲求で溢れています。僕だってそうです。みんなに認めてもらいたくて,たまに受験生時代の模試の成績表とかを衝動的にTwitterにアップしたくなります。やらないけど。

アドラー心理学では承認欲求を否定しています。「他人からの承認を得ることだけ考えて生きたら,それは自分で選んだ人生じゃないよな?」ということです。なかなか刺さります。

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とまあその後,本当に幸せになるには(幸せを感じられるようになるには,と言ったほうが適切かも)「他者への貢献」をしなさい,などと話が進んでいきます。前半部はアドラー心理学の基本的な概念の説明が多く,後半部は「じゃあ結局どうやって生きたらいいのよ」という話が多い印象でした。とはいえ,アドラー心理学自体が非常に実践的な内容なので,前半部から得られるメッセージもなかなか強いものでしたが。

思うところ

これを書きながら思考を整理しているうちに,ある意味危険な思想だな,という思いが強くなりました。だってメンタルが弱ってる人に「お前がそういう生き方を選んでるんだよ」って言ったらキレられますし,余計落ち込んでしまうでしょう。悩みは抱えているけど多少は元気,という人にじゃないと薦められません。ガチ鬱のときにこんなこと言われたら死ぬわ。

とはいえ,生きていく上で役に立つ部分もあるのは事実です。「他人って意外と自分のこと気にしてないよな」と思っておくと人生がラクになりそう。

問題は,アドラー心理学の思想は「理解しても,実践するのが難しい」というところで,この点に関しては本書の中でも触れられています。「言いたいことはわかるけど,それが出来れば苦労しないのよ」って感じ?でもまあ,折に触れて読み返すことで,同意できるところは少しづつ取り入れていきたいものです。同意できるところは,ね。

加えて重要なのは,これだけが心理学ではない,ということ。アドラー心理学は人間の心の働きを見る上での切り口の1つにすぎず,他にもいろいろな心理学の流派があります。(それこそフロイトやユングの思想のほうがメジャーですし)アドラー心理学はある意味対人関係にステータス値を振り切ったような流派なので,もう少しメジャーでニュートラルな心理学についても読んでいきたいなと思いました。オススメがあれば教えてください。

さいごに

僕自身はまだ承認欲求を捨てきれていないので,♡押してくれるとうれしいです。

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