人生に使える、NFMとMFMとNMGという考え方

厳しめのレビューを書いているサイトがあって、そこの方がボードゲームを作って出すらしい。そんなわけで「普段、あれだけのことを言ってるんだから、あなたが作るものはさぞ面白いんでしょうね?」みたいなツイートがされていた。その人のレビューで、面白いと思ったゲームが否定的に扱われていい気がしなかったのはわかる。でも、そのリアクションはちょっと違うんじゃないだろうか、ちと未熟ではないだろうかと思った次第。

趣味というのはハマればハマるほど、ストライクゾーンが狭くなる。物言いがうるさくなる。人間の好みというのは、結構幅が狭いものだからだ。知れば知るほど、なんでもよくはなくなってくる。いわゆるうるさ方になってしまいがちなのだ。これは何のジャンルでもそう。何でも好き、何でも楽しい、大いに結構。それが浅いというわけではない。けれど、みんな大好き、は唯一無二がないことの裏返しでもある。

ボードゲームの界隈にはNot For Me(ノットフォーミー=自分向きではない)という最高なフレーズがあって、自分に合わないゲームについて、そんな風に表現する。みんなが好きなゲームなんて、そうそうあるものじゃない。この人には合わなかったんだな、でいいんじゃないの。そこをちょいとひがみっぽく言っちゃうのは、よきボードゲーマーらしからぬ態度じゃないのかしら。

ボードゲーマーは、基本的に根性が悪い。が、それはあくまでゲームの上での話であって(盤面上、そう要求される場面がしばしば起こる)、そこを理解しているから逆にいい人が多い。訓練されたアニオタみたいなもんである。司馬遼太郎の小説を史実だと思い込んでいるダメな歴史オタみたいな態度ではいけない。アニメはアニメだし、ゲームはゲーム。小説は小説だ。よきボードゲーマーでありたいと思う。すごく難しい。でもそうなりたい。

Made For Me(メイドフォーミー=自分のために作られた)は、とっても気に入っているゲームがあったら使ったらいいんでないの、と思うワードである。や、めっちゃフォーミーでもいいですけど。このゲームはワイのために作られたんや! って感じ。ファズ@中の人にとってはファーストクラスとかがそんな感じですね。パズルゲームも好きだ。

Not My Game(ノットマイゲーム=自分のゲームじゃなかった)は、BGAで海外の人が使っていたフレーズで、なるほどなーと思ったのだけれども、ゲームで負けたときに使う。今回は自分のゲーム(試合)じゃなかったなぁ、みたいな感じ。ゲームは生き物なので、そんな時もある。そんな時ばっかじゃねーか! みたいな時もある。

でもゲーム中、口癖みたいにつらいつらい言う相手に対しては、内心ウゼーって思うから程々にね。ワイは口先だけの軽い「つらい」なんて聞きたくないんや。心から発せられた、あまりにしんどい、しんどすぎるゲーム展開に対する「つっ……つ……つらい……!!!」が聞きたいんや! げへへへへ。まあ、そこまでしんどいゲームをやりたいかは別として。

ノットフォーミーにせよ、ノットマイゲームにせよ、あるいはメイドフォーミーにせよ、人生に使える考え方ではないかなーと思う。苦手なものに対してNFMといえば角が立たないし、上手くいかないときはNMGと思ってみると多少気が楽になるかもしれないし、逆に上手くいってるなーと思ったらMFMだと思えばいい。良くないときがあるのなら、当然、いいことばかりしかないときだってあるわけで。ゲームには学ぶところが多い。勝っても負けても、ゲームが終わってしまえば何も残らないところなんて、まるで人生そのものである。

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