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親という毒

僕はそこまで友人が多い方ではないが, 友人が多い友人を何人か持っている. 彼らにとって僕は「たくさんいる友達」の中の一人にすぎないだろうが, 彼らから聞く「たくさんいる友達」の話は, 友達の少ない僕にとってはとても興味深い.

この前, 僕のそんな数少ない友人の一人と話をしていたとき, 「親からの愛情が不十分のまま大人になった人」の話を聞いた.

その人は, 親からあまり関心を持たれていないとずっと感じており, その穴を埋めるようにいわゆる「メンヘラ」の女性と付き合っては失敗するのだそうだ. 親との関係性が異性のタイプにまで影響を及ぼすなんてことが実際にあるのかと驚いた.

ふと, 僕自身の生き方に親の影響はどれくらい効いているのかを考えた. 多分僕の親はいい親だ. 僕のことを愛情を持って育ててくれたし, 僕がやりたいといったことにはたいてい協力してくれた. また, 僕がよくないことをした時はちゃんと怒ってくれた. 僕が最低限のモラルを持った大人になれたのは, 間違いなく両親のおかげだろう.

では, 「僕は百点満点の大人になれた」のだろうか? 多分この命題は偽だ. 一番最初に思い当たる反例は僕の性格だ.

僕は嫌になるほど高い自己肯定感を持っている. これは僕の親が僕を肯定し続けた結果なんだろう.

巷では, 自己肯定感は高ければ高い方がいいなんて意見を目にする. が, 実際に自己肯定感が高い自分からすると, 「そんないいことばかりではないぞ…」となる.

例えば他人と何かしらについて会話する時, 僕は論理的な破綻を自覚しない限り自分の意見が間違っていると思えない. しかも, 相手の意見に論理的破綻を見つけると, それを指摘したくなってしまう. これは対人コミュニケーションにおいては致命的な欠陥だと思う.

他にも僕の人格はたくさんの問題を抱えている. 治さない限り僕の友達は増えないだろう.

だが, このことに関して親に不満を持っているわけではない. 自己肯定感が高いおかげで今の仕事につけたと思うし, 少ないながらも満足できる良い友達を持てたからだ.

多分, 完璧な親, 完璧な子育てなんてものはこの世にないんだろう. 僕たちができることというのは, 形成された自分の人格を俯瞰し, 受け入れることくらいだ.

それをしたところで何かが大きく変わるわけでもない. ただ, 少なくとも親にネガティブな感情は抱かなくなる. 逆にそれができなければ, 「毒親」 なるものが実在を帯びる.

親というものは多かれ少なかれ毒があるのだ. そして, その大小にかかわらず, 解毒できるか否かは子供のみにかかっているのだ. 残酷だと思う.


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