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定年ですが老後資金ゼロで不安でたまりません

今先週55歳になり、お勤め先の会社を役職定年されたという会社員さんからのご相談。ご相談文には家族構成やお住まいの状況などが記されていないので、ごく一般的な事しかお応えできませんが、何れにしても「55歳で貯金ゼロ」というのはかなり厳しい状況です。
まずはご相談分から。

フェル先生こんにちは。
先週55歳になりました。うちの会社は55歳が役職定年で、7月から子会社へ出向となります。会社は半導体が本業のフェル先生もよく知ってるT社です。何年も前から会社はバラバラに切り売りされて、今は殆ど原型をとどめていない状態です。子会社へ行ける私は同期の中でも運が良い方です。ですが子会社なので年収は半分になるので生活はかなり厳しくなります。そんなに散財してきたわけではありませんが、正直貯金がほとんどありません。これから60歳まで働いて、定年後も働くといっても今より稼ぎはぜんぜん減るわけですし、老後資金は2000万円が必要と言われているので、将来のことを考えると不安で仕方ありません。これからどうしたら良いでしょうか。退職金で資産運用とかしたほうが良いでしょうか。
     
                     55歳 男性 会社員 異邦人

今回は一問一答形式でお答えいたします。

フェル先生こんにちは。

はいどうもこんにちは。暑くなりましたね。

先週55歳になりました。うちの会社は55歳が役職定年で、7月から子会社へ出向となります。

所謂“天下り先”がある会社なのですね。いい会社じゃないですか!

会社は半導体が本業のフェル先生もよく知ってるT社です。

半導体でT社と言われましてもたくさんありますからね。

何年も前から会社はバラバラに切り売りされて、今は殆ど原型をとどめていない状態です。

や、東芝さんでしたか。その昔は大変お世話になりました。過去には「メモリー世界一」なんて時期も有ったんですけどね。55歳というと、東芝の絶頂期もご存知な訳で、虎の子のメディカルまで切り取られてしまうとは夢にも思わなかったでしょう。

子会社へ行ける私は同期の中でも運が良い方です。

そうですよね。多くの方が「就職先は自力で探せ」と言われていると聞いています。違うT社に転職されて、台湾へ行かれた方も大勢おられます。

ですが子会社なので年収は半分になるので生活はかなり厳しくなります。

とてもシンプルな話です。収入が減るのであれば、支出を減らすしか方法は有りません。

そんなに散財してきたわけではありませんが、正直貯金がほとんどありません。

うぅ……55歳で貯金ゼロですか…

これから60歳まで働いて、定年後も働くといっても今より稼ぎはぜんぜん減るわけですし、老後資金は2000万円が必要と言われているので、将来のことを考えると不安で仕方ありません。これからどうしたら良いでしょうか。資産運用とかしたほうが良いでしょうか。

まずは「老後資金2000万円説」なるものの根拠を知っておきましょう。
「2000万円説」は金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループが2019年6月に発表した「高齢社会における資産形成・管理」というレポートの中で、「95歳まで生きた場合2,000万円の金融資産の取り崩しが必要になる」と書いたことが発端です。レポートは「公的年金に頼った生活設計だけでは資金不足が生じる」と言い切り、資産形成の必要性が強調されるものでした。今までの世代は「老後は年金で地味に暮らす」事が可能だったのですが、これから定年を迎える人は「年金だけでは足りません。95歳まで地味に暮らすには、定年までに2000万円用意して、それを取り崩して生きて行きましょう」と正直に提言してしまった訳ですね。で、「2000万円なんかねーよ!」「どこの富裕層だよ」とネット界隈で物議を醸し、徐々にマスコミにも燃え広がって行ったのです。
では「2000万」という数字はどのほうにはじき出したのか。レポートは「男性65歳以上、女性60歳以上の夫婦では、年金収入に頼った生活だと毎月約5万円の赤字が出る」とし、この先20年生きると5万☓12ヶ月☓20年=1300万円、30年だと2千万円(正確に計算すると1950万)という試算です。
何をどうやっても間違いなく到来する少子高齢社会。公的年金制度は行き詰まり、国民に「定年までに2000万円貯めといてね♡」と自助努力を求めたことで、老後資金への不安がイッキに高まった訳なのです。あなたのように。ではどうするか。家族構成が書かれていないので、「これからどうしたら良いでしょうか」と問われましても何ともお答えしようが有りません。奥様は働いているのか、お子様は既に卒業されているのか、お住まいは持ち家か賃貸か。「将来」は様々な要素が複雑に絡み合い構成されて行くのです。
いずれにしても、今まで何もしてこなかった人が「資産運用」なるものに手を出すことはお勧めしません。退職金をもらうと、銀行やら証券やらからガンガン電話営業が掛かって来ますが、全て無視して下さい。他人を儲けさせてくれるような慈善団体は世の中に存在しません。「ここで何とかしなければ」と焦るあなたは、そうした連中から見ればカモ以外のなにものでもありません。カモが不安というネギと、退職金という鉄鍋まで背負って飛んでいる。そんな状態です。

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