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Fender LEAD Series等に搭載されているF-Key tuner(ペグ)に対応したロック式ペグ2種


はじめに

 今回は新旧のFender LEAD Seriesに搭載されているペグ(通称F-Key)及び木部加工なしに置換可能なロック式ペグについて記したいと思います。

Fender社製F-Key

F-Key tuner

 F-Keyは1965年頃よりFender社のギターに採用されたTuning Machine(ペグ)です。F-Key以前にはKluson社のペグが採用されていましたが、F-KeyはFender社製(Race & Olmsted社による委託生産?)です。

Fender Telecaster Thinline 1968
Fender Bronco 1967


 その後若干の仕様変更(ノブ形状)を経て、1976年頃からは委託先がSchaller社に変更されます。

向かって左からオリジナルLEAD搭載,現行Player LEAD搭載,1960年代のMustang搭載
Schaller社製F-Keyの機構部をカバーから外したところ
ペグシャフトの根元部はシャフトを支えるように太く成形されている
MADE IN W. GERMANYの刻印が認められる
上段左右:Fender社製-ブッシュ外形約9.3mm,内径約6.4mm
下段左右:Schaller社製-ブッシュ外形約10.0mm,内径約6.0mm

 Schaller社製のものはペグシャフト根元部が段が付く形で太くなっており、ブッシュの内外径も異なる(Schaller社製は外径大、内径小)ため、Fender社製F-Keyとの置換には木部の改造が必須です。新旧のLEAD Seriesに搭載されているのはこのSchaller社製及びその同系となります(後述)。


Fender LEAD

 新旧のLEAD Seriesに搭載されているF-Keyやそのリプレイスメントパーツについては過去記事としてまとめてありますのでご参照ください。前述の通りオリジナル、現行ともにペグ穴の直径は約10mmであり、そのため所謂ロトマチックタイプのペグに換装する際の木部加工は、ペグを固定するためのネジ穴開け直しなど最小限の加工で済むと思われます。
 しかし、近年そのネジ穴加工すらも不必要なペグ。しかもストリングロック機能を搭載したものが発売されており、LEAD Series用の新たなリプレイスメントパーツとして以下に紹介していきたいと思います。


Hip Shot Grip-Lock Open Tuner L6 STGD

Hip Shot Grip-Lock Open Tuner L6 STGD

 まず1つ目はHip Shot社のGrip-Lock Open Tuner L6 STGDです。これはGuitar Tuner Upgrade Kit for 6 Inline Headstocks (10mm Post Hole)の中のバリエーションの一つで、最大の特徴としてはユニバーサルマウントプレート(UMP)と呼ばれる(部分的に)上開きコの字型のプレートでペグを固定できる点にあります。

UMP

 通常ペグには弦による張力がかかるため、ヘッド水平面上での回転を防止するためネジや木部埋込突起などを用い固定する必要があるのですが、UMPをヘッド裏面との間に挟むことでUMPのコの字部分がペグ本体の回転を防止してくれます。


Grip-Lock Open TunerをLEAD2に装着したところ(ヘッド表面)
ヘッド裏面
側面(ペグポストの長さはスタガード仕様)

 ペグのツマミ部分の形状がF-Keyとはかなり異なるため、装着した画像を見ると違和感があります。


 取り付けは非常に簡単で、オリジナルのペグとペグブッシュを外し、UMPを挟みつつペグ本体をヘッド裏から装着し、ヘッド表面よりペグブッシュ兼用ナットで固定するだけです。

 

 ただ、1・2弦用のペグポストが短いペグでは、ヘッドの厚みが13.7mmを超えた場合、弦を通す穴に固定用ナットが干渉してしまうため、取り付けるギターのヘッドの厚みには注意を要します。


Grip-Lock Open TunerとSchaller社製F-Keyの重量比較(固定用ネジ・ペグブッシュ含)
UMP1枚:約4g

 1個あたりの重量が約10g重くなりますのでUMP2枚分(約8g)を足して、交換後は約68gの重量増となります。


Kluson 6 In Line Locking Revolution Series F-Mount Tuning Machines With Staggered Posts

Kluson 6 In Line Locking Revolution Series F-Mount Tuning Machines With Staggered Posts

2つ目はKluson社の 6 In Line Locking Revolution Series F-Mount Tuning Machines With Staggered Postsです。


左: F-Mount Tuning Machines 右F-Key

 こちらはさらに画期的で、ペグのベースプレートがF-Keyと同様ひし形で対角線上にネジ穴を配する形状となっており、ペグブッシュの交換すら必要としない、完全無改造のリプレイスメントパーツであると言えます。


1弦用ペグのみ置換:ヘッド表面
1弦用ペグのみ置換:ヘッド裏面

 ということで取り付けは非常に簡単で、ネジを外して入れ替えネジを締めて終了です。


1・3・5弦用ペグを置換

1・3・5弦用を置換した画像を側面から見ると、こちらもスタガードタイプであることがわかります。


F-Mount Tuning Machines交換後ヘッド表面
F-Mount Tuning Machines交換後ヘッド裏面

 せっかくなのでシンクロナイズドトレモロ搭載のLEAD2でF-Keyと置換してみましたが、元々アーミングによるチューニングの狂いは少ないため、現時点であまりメリットは感じられていません。つまみ形状はクルーソン社の他のペグと似ていますが、シャフト部分が太いためやはり違和感があります。


F-Mount Tuning Machines:34g(固定用ネジとペグブッシュなし)
F-Key:22g(固定用ネジとペグブッシュなし)

  F-Mount Tuning MachinesのほうがF-Keyよりもペグ一個あたり約12g重く、全体では約72gの重量増となります。

まとめ

 今回紹介した2種類のペグですが、交換の容易さについてはF-Mount Tuning Machinesに軍配が上がります。重量についてはどちらも70g程度重くなりますが、特にヘッド落ちが酷くなったような感じは受けませんでした。
というわけで、LEADシリーズ並びに現行F-Keyを愛する諸兄におかれましては、見た目・重量の変化とロック機構・スタガード仕様を天秤にかけて置換の是非を問うていただければと思います。

【了】

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