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17歳の娘に。そしてあの頃の自分に。

いま、絶賛子育て中のお母さんに伝えたい。

子どもと一緒に過ごさない誕生日が、必ず来るんですよ、と。


生まれた時の古アパートで、最初の夏。

夕暮れ時に泣き止まなくて泣き止まなくて、キーーーーってなって、

仕方なくベランダに出た。

生ぬるい風がふわっと頬にかかると、泣き止んだ娘。

「暑かったのね…」

六畳&四畳半の古いアパートは、近所に声が筒抜けで、娘がギャン泣きしているのは、自分がダメな母親だと思われているんじゃないかと、いつも思っていた。

夫は、娘が生まれる日だけ帰ってきて、次に会った時には、娘は歩いていた。約1年近く、ずっと仕事で不在だった。もちろん私1人で子育てしていたわけじゃない。近くにいた親にも手伝ってもらっていたけれど、子どもが小さい時のママの孤独感といったら、言葉にできないくらいだ。

必死で働いてきたように思うけど、それは、娘ときちんと向き合わないことだったのかもしれない。向き合うと、自分のダメ母ぶりを突きつけられている気がして、とにかく逃げたかった。

向き合わないできたけど、それは、向き合え向き合えと、次々に向き合わざるをえない状況を作り出した。娘の不登校もその一つだろう。

小学生の夏休み、髪の毛を金髪に染めたこともあった。本人はオシャレのつもりだったようだが、私には、あそこの娘さんはどうしようもないね、親がああだからね、と噂されているのでは?といわゆる世間体ってやつばかりが気になっていた。でも、物分かりの良い親を演じていた。娘はきっと「わたしを見て!」とヘルプを出していたのに。わたしは、見ないふりをした。

向き合おうと思っても、向き合いたくない。

見ようと思っても、見たくない。

このままじゃいけないんだろうなと、どこか他人事だった。

真剣に話し合うことも、避けた。

とにかく仕事に、逃げた。

子どものため、家族のため、生活のため、と言いながら、自分の居場所を探していた。家に帰りたくない。

その頃は「どうしてわたしばっかり」という風に、思っていた、とおもう。

わたしばっかり、朝早起きして御飯作って洗濯機回してゴミをまとめて。

わたしばっかり、子どもの世話をして、仕事して、買い物にいって。

わたしばっかり、習い事の送り迎えをして、夕飯作って洗い物して。

わたしばっかり、わたしばっかり、わたしばっかり。。。

これ以上、何も望んでくれるな。1人にさせてくれ。1人になる時間がほしい。これが願いだった。とにかく家族から逃げたかった。

子どもがかわいくないわけじゃない。けど、ひとりになりたい。

ママって呼ばれて、見てって言われて、それにいちいち反応しなきゃいけないことが苦痛だった。

疲れてるって言えなかった。もっともっとがんばらなきゃって、ずっと思ってた。お金を稼げば、満たされる?贅沢な暮らしをすれば、不登校は解消するの?旅行にいって、好きなもの食べて、欲しい物買って。

どれだけやっても、わたしは満たされなかった。子どもとも夫とも、家族の繋がりを感じることが出来なかった。わたしだけががんばっているように思えて、全力で家族を拒否していたように思う。


仕事を辞めて、この数年は、娘と向き合う時間が増えた。

特にここ1年は、ベッタリと一緒にいる。

ある時、北海道でのイベントに2人で行ったら、道中にこう言われた。

「ずっとママと二人で旅行したいって思ってた、ありがと」

あぁ。。。こんなことにも気づけなかったのか。ごめん。

わたしは、娘の何を見て来たんだろう?

ずっとずっと出されていたSOSに、気づかないふりをして。

いつだって娘は「ママ、こっちをみて!」と訴えかけていたのに。

向き合うのが怖かった。責めているのはいつだって、自分。後ろめたさ、罪悪感、そんなものは、自分の幻想でしか無いのに。

世間体を取り払って、その子の声だけを、純粋に聴くことができたなら…。


良い母親ってなんだろう。

良い子ってなんだろう。

どんな子どもだって、どんな親だって、みんなみんな、必死に生きてる。

その時やれる精一杯をやってきたはず。


いつか娘が母になるときがきたならば、わたしはなんて声をかけるのだろう。そんな日がくるのかな。

まだまだ心がふわふわな娘。生意気なことをいうときもあるけれど、核心をついてくる。悩み多き17歳。たった17年で、わかったような口を聞いてイラッとすることもあるけど、それもまた良きかな。

少なくとも私が17の時には、、、、、親との関係はこんな感じじゃなかったし、とてもとても劣悪(!)だった。いま、娘がそうなっていないのは奇跡!?娘に、自分の17の頃を重ねて、育て直ししているのかも、と思う今日この頃。


どんなときでも、ずっとずっと我が子を誇りに思う。

誕生日、おめでとう。わたしのもとにうまれてきてくれて、ありがとう。






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