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雨の日

雨音と、傘に隠れて歌える日

小学生のときも中学生のときも、
ずっと校区のはしっこに住んでいた。
歩くのも自転車を漕ぐのも遅い私は、
片道50分かけて登校した。

何百回も「見飽きた」と言った通学路。
「この時間無駄だなあ」と思っていたけれど、
1人で黙々と考えたり、
あーでもない、こーでもないと、
話したりするこの時間は、
今の私を作る大切なものだったのかもしれない。

忙しい部活と勉強の狭間で、
時間に追われる毎日だったけど、
好きなことに没頭する瞬間は楽しかった。

雨の日は昔から苦手だけど、
少しくらい歌ってもバレないところは好き。
傘で歌っている顔を隠せるし、
車が通るたびにバシャバシャと水の音がする。

流れるままに過ごしていたら、
気付けば大学4年生になっていた。

雨の日も風の日も、
どこまでも行ける限られた時間を、
愉しんで歩こうと思う。


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