マスク協奏曲

化学物質過敏症なので、7~8年前から外出時はマスクをしていました。一般的な市販されているマスクは匂いがダメで使えないので、オーガニックコットンのマスクとインナーです。
当時、マスク着用は、病人か変人か芸能人だけ。変人扱いされて、電車の両隣はだいたい空席でした。

マスクを着けたまま打ち合わせに行き、クライアントからお叱りを受けたこともあります。

「マスクを外しなさい」
「あの、じつは匂いに敏感に反応してしまうので……」
「いいから外しなさい。礼儀違反です」
「・・・・はい」

外した途端、整髪料の匂いがプ~ン……。まともに嗅いでしまい、咳が止まらなくなりました。こうなると、打ち合わせどころではありません。仕事もNGになりました。


今は、右を見ても左を見ても、マスク・マスク・マスク……。電車に乗ると、マスクしてスマホを操作している人がずら~っと並んでいます。
みんなが同じ姿・・・。どこも同じ・・・。滑稽すら、ある。
マイノリティ出身としては、「みんな同じ」状態は、落ち着きません。無性に逆をやりたくなります。

ということで、皆さんがマスクをしてくださったおかげで、今は積極的にマスクを外してあちこち出歩いています。
マスクをしないで電車に乗ると、両隣はなかなか人が座りません。しぶしぶ隣に座る人には睨まれます。かつてと逆の状態で、同じ現象です。
打ち合わせ時は、マスク必須です。外して行ったら、露骨に嫌な顔をされて「マスクをしてください」と注意されます。これも以前と逆の状態で、同じ現象です。


ただ、化学物質過敏症が治ったわけではないので、整髪剤や柔軟剤の匂いは相変わらずダメです。まともに嗅いでしまうと咳が出ます。なので、オーガニックコットンマスクとインナーは常に持ち歩いています。

2021年7月からは、ヘンな匂いもキャッチするようになりました。
7月の時点は、おじいちゃんおばあちゃんから漂ってきたので、加齢臭かなと。
8月には、少し太めの中年女性から匂ってきました。自転車に乗った女性が通り過ぎると、「ぷ~~~ん」と、その匂いがいつまでもまとわりついて咳が止まらなくなって、吐きそうになりました。
9月には、青年からも漂うようになりました。

血液(鉄分)の匂いが混ざる、生温かい消毒液のような匂い。今まで嗅いだことのない匂いです。
柔軟剤などの匂いよりも強烈で、吐き気をもよおします。およそ、人が発する匂いとは思えない。

案の定、2022年2月から再び強烈に漂うようになりました。
今回は、2021年よりも強烈です。人の姿は見えないのに、しばらく空中を漂っている感じです。
思いっきり嗅いでしまったときは咳が止まらなくなるので、匂いを感じると、息を止めて足早で通り過ぎています。面倒くさいけれど、過敏症には必須の行動になってきました。

匂いを発しているご本人は、ご自身の匂いに氣づいていないようです。密閉された空間に匂いを発する人がいると、入室できなくなります。どうしても入らねばならないときは、息を止めて用事だけ済ませてさっさと退室します。すごく不愛想な対応ですが、仕方ない。

ウイルス防止にマスクは要りません。
ですが、この悪臭を吸い込まないためには、シェディングしないためには、念のためのマスクは持っていたほうが安全かもしれません。なんとも奇妙な時代になってしまいました。

自然界の空氣を思いっきり吸いたい今日この頃です。


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