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勝ち筋を一本に回収させたくない‐OB・射場康輔


2021年度で6年目の活動を迎える【未来の教育イノベーターズ・スクール】通称:FEIS(フェイス)は、これまで様々な人財を輩出してきました。
FEISで学び、それぞれの道へ旅立って行った先輩が今、どのようなことをしているのかインタビューをするのがこの「OB・OG図鑑」という企画です🎉

これを読む方々に少しでもFEISの魅力を知って頂ければと思います!

今回インタビューしたOBは「射場康輔(いばこうすけ)さん」です。
記念すべきFEIS初回のスクールに参加して以降、参加者やメンターとして長年FEISに携わってこられました。

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(あるイベントでFEISのOB・OGと再会し記念撮影する射場さん:一番左)

それでは早速、インタビューをご覧ください!


1.射場さんについて
「ヴィトゲンシュタインっていうおっちゃん」

---(インタビュアー:松葉。以下、松)今どんなことをされていますか?

(大学院で)ヴィトゲンシュタインっていうおっちゃんの言語哲学を教育論に活かしたらどうなるか?という思考実験をしています。

※ヴィトゲンシュタインについて(by射場さん)
ヴィトゲンシュタインは、価値(これがいい、これが美しい、など)の話は言葉では伝えられないと言うことを示そうとした人。
説明できないので、それをあたかも説明できてるかのように話すことは、間違っている。説明できないので価値に関する説明に関しては沈黙しなければいけない。でも、教えなければならないっていうことをどのように説明したらいいのか、という話


2.FEISでの経験が今に与える影響
「“色んな立場の人の中にいる自分”を意識できるようになった」

---(松)FEISでの経験が今どう影響していますか?

昔は高飛車だったというか、自分が教育に関する言葉の使い方の不正をただす、と意気込んでいたところがあって、でもFEISにはいろんな立場の人がいて、ビジネスの中でもコンサル的な人やベンチャーの人、公教育に行く人など、色んな立場の人が同じ問題についてディスカッションする。その中で、周りの人たちに自分の意見に対してそれだけじゃないよって言われた。自分のポジション性みたいなものを考えるキッカケになりましたね。さらに、自分の発言の影響力を考えるようになったり、こういう立場の人にはこういう発言をした方がいい、などをより考えるようになりましたね。

---(松)それは佐藤先生とのやり取りの中でですか?

先生はむしろ、もっと個性を重視したコミュニケーションをやっていっていいよと言ってくれました。そこで、他の参加者たちに忖度しつつ、先生が応援してくれた、みたいなところでバランスが取れてたと思います。

3.FEISにメンターとして関わる中で気付いたこと
「混乱しがちな教育議論、その原因を解消できた」

---(松)FEISにメンターとして関わる中で、気付いたことはありますか?

最初の方は立ち位置に悩んで、他の人は結構「起業します」とか、「栄光入ります」とか、「○○教育やってます」とか、「地方創生やってます」とか、はっきりした立ち位置があって、提供できるものがあるなって周りを見てて思っていた気がするけど、僕個人としては特に何もないというか、考えてるだけの人なので(笑)。どうしようかなって考えながら参加してました。

でも参加してるうちに分かってきたのが、教育に関する言葉の使い方に振り回されて悩んでる人が結構いるということでした。

教育について議論する中で、「教育ってこうだ」みたいな思い込みの中で議論が進んでることがあります。人によって言葉の定義も違うので。FEISは、幼児教育についての問題意識を持ってる人と高等教育についての問題意識を持ってる人が議論するような場なので、全然違う話をしてるのに、自分が批判されたような気持ちになって喧嘩しちゃう人とかもいました。教育議論って体験ベースになりがちなので、そういう概念的混乱みたいなのが沢山あって。それを自分は発見して、そのど真ん中の研究をしてたので、それを見つける度にプチプチつぶしていった。それをやっていたら、意外と受けがよかったんですよ。アハ体験みたいな雰囲気が生まれて、これはこれでひとつの価値になるのかなと思って、それ以降はひたすらそれを極めてたって感じですね。

---(松)すごいですね。その具体例などはありますか?

人格教育と学力育成を混同しちゃってて、立場違うみたいになっちゃうのが一番多かったです。すごい多いなって思っていました。「英数国理社をいかに効率よく能力を伸ばすか」と、「いじめをなくす」みたいな話は全然違う。そういう話を1分だけでもすると、全然違います。ぜひこれ実践してみてください、有効なので(笑)

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(2019年度のサマースクールでもメンターを務めた射場さん:一番左)

4.教育・研究に興味をもったキッカケ
「自分なりの視点で世界を味わいたい」

---(松)射場さんは昔から、勉強や教育に興味があったんですか?

そうですね、勉強というか好奇心が強かったから大学に残っているのはあると思います。他の人は、「自分で何か作りたい」「自分で何か変えたい」というのをよく聞くし、それが大事にされてる世の中だと思います。だけど、僕は自分で何か作ってもしょうがないなと思っちゃう。誰が何やっても一緒、他の人がやるし、地球は回っていくみたいな(笑)。でも、他の人が作ったものを、自分なりの視点で捉えたり味わったりするのって自分にしかできないっていうことを昔から感じてました。知りたい、感じたい、明らかにしてみたい、っていう感覚が昔から強かったですね。大学での研究活動はそういう独りよがりの好奇心が誰かの役に立つ可能性を開いてくれる場所として、面白いと思っています。

---(松)教育に興味をもったのは、教育を分析してみたいと思ったからということですか?

教育に興味をもったのは、割とありきたりな、受験ってなんなんだろう?学歴ってなんなんだろう?っていうことを自分も感じてたからです。それをちゃんと考えて、自分なりに学歴ってこういう感じのものなんだろうって言えるようになりたい、という気持ちがありました。その後、今の興味関心に移っていったという感じですね。

5.射場さんのこれからの理想のあり方
「自分が所属するグループなりの勝ち筋を作りたい」

---(松)射場さんはそうやってFEISで色んな人と出会ってこられたと思いますが、射場さん自身にとって今後どういう風になっていきたい、こうありたい、みたいなものはありますか?

僕が、FEISで色んな立場の人に会ったという話の続きで、勝ち筋みたいなのを一本に回収させたくないと思っています。
「この人はすごいから、この人になれるかなれないか勝負」みたいなのにしたくない。
僕的な轍を踏んで歩いてる人が後ろにいて、前にもいて、その人達のために、自分の所属グループなりの勝ち筋みたいなのを見出したい、と思っています。
僕自身は留年すごいしてるし、特にスキルとかあるわけじゃないし、、、みたいな感じですけど。
就活戦線的な弱さがあっても、自分弱いからダメなんです、って言いたくないんです。
プログラミングできないし、『○○教育』の専門家でもないし、教育と言っても哲学だし、、、でもそれを生かして戦える、そういうことを証明したいと思っています。
まあ、つまるところ「なんもない」ってことですね(笑)

すごい淡白に言うと、「自分らしく生きた結果、幸せでした」って言いたいですかね。
必要だからあっちにいったとかじゃなくて、流されるまま自分の道を歩いてたら、なんだかんだよかったよっていう一例に自分がなるっていう話かなと思いますね。

6.今後FEISに関わる人へのメッセージ
「コンフォートゾーンを出よう」

---(松)最後に、これからFEISに参加する人に一言メッセージをいただけますか?

教育に対するあなたの問題意識とか直感は正しいけど、それを支えるロジックや主張の仕方は間違ってることが多いと思うので、それを正してくれる人にどれだけ会うかで(今後のあなたの人生が)変わってくるかもしれません。逆に参加しないと、せっかくの直感を間違った入れ物に入れて進んでいくことになります。なので、コンフォートゾーンを出て、自分が否定されに行くつもりでFEISに参加するといいと思います。

FEISではポジショニングの取り方とか、色々学べると思います。
いろんな教育観とかいろんな感性がある中で、自分の教育観をどうやって伝えていくか、そういった双方向的なコミュニケーション方法を学べるところです。

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