母乳バンクのドナーに登録してみた

私は現在、二人(3歳&2ヶ月)の子どもと暮らしています。この記事では、いまドナーとして登録している母乳バンクについて、登録の経緯や実際の提供の様子を綴っています。
母乳バンクのドナーを迷っている方の参考になったら幸いです。

※母乳バンクのシステムについては、各協会の公式ページをご覧ください※

母乳バンクを知ったきっかけ

元々産前・産後の女性の健康に関わる仕事をしている私。第二子の妊娠を気に、SNSでも妊婦さん・産後ママさんの投稿を見る機会が一層増えました。

そんなある日、インスタさんが私にこんな広告を届けてくれたのです。

それは、日本財団母乳バンクの広告でした。
出産を終えて数日。産院のベッドで横になっていた私は「こんなシステムがあるのか!」と、リンク先の漫画を一通り読みました。

第一子の産後、母乳トラブル(乳頭混乱)で精神を崩壊した経験のある私。その後、おっぱいトラブルにも様々あり

  • 出ない

  • 出過ぎる(乳腺炎)

  • 吸えない(拒否する)

  • 乳首が切れる

などなど、すべてのママが経験するのでは、というくらい、数多の悩みがあることを知りました。

でも、免疫の観点から未熟児の赤ちゃんたちに「母乳」が必要なことがあるということは、この投稿で初めて知りました。

母乳バンクに登録するまで

ドナー登録を決めた経緯

産後1ヶ月。第一子の時のトラブルが嘘のように、第二子はよくおっぱいを吸ってくれていました(産後10日間は乳首亀裂と闘いましたが)。
産後は混合で育てていましたが、2週検診を機に完全母乳に移行しました。

第二子は、よく寝てくれる子でもありました。
すると産後1ヶ月頃から、夜間の授乳間隔がどんどん開いていきました。母もまとめて眠れるのは嬉しい反面、胸は毎晩岩のように硬くなっていました。

里帰りをしていた私は身近に頼れる助産院がなく、乳腺炎の予防のため授乳で余った母乳を搾乳しました。
元来分泌過多傾向なこともあり、一晩で100ml以上絞れてしまうこともありました。保管しても使われることはほとんどなく、結局捨ててしまうおっぱい。自分の体が一生懸命作ってくれたおっぱいを「捨てる」ことで、悲しい気持ちにもなりました。
それでも「乳腺炎」と「出なくなったら困る」という心配から、搾乳は止められませんでいた。

ふと、先の広告が頭をよぎります。

「母乳を捨てて悲しい気持ちになるのなら、ここで活用してもらいたい…!」

私にとっては画期的なシステムに思えました。

母乳バンクについて調べたこと

ドナーになるにあたり、ざっくりと「運営基盤がしっかりしている」ことと「受け取ってくれる人がいる」ということを納得した上で、登録したいと思いました。
そこで

  1. ドナーの制約や金銭的・体力的負担

  2. 母乳バンクの実績

  3. 母乳を受け取った方(レシピエント(の家族))の声

  4. ドナーの声

などについて調べました。

1.ドナーの制約や金銭的・体力的負担

Webサイトにも記載がありますが、日本財団母乳バンクでは、

  • ドナー登録のための検査(採血・問診)

  • 搾乳器(手動)

  • フリーバーバッグ

  • 冷凍母乳の配送料

は協会で負担してくれます。

金銭的負担は、登録施設までの交通費と冷凍バッグを入れる袋、配送のための段ボールくらいでしょうか。
搾乳前に胸を清潔にするためのウェットシートや搾乳器の消毒物品も必要ですが、これは日常生活の範疇なので負担とは言えないでしょう。

体力的負担も、これまでの搾乳の延長なのでそれほど感じませんでした。強いて言えば搾乳した母乳をフリーザーバッグに入れる手間くらいでしょうか。
母乳に衣類の繊維や髪の毛を混入しないよう気にかけるのは、最初手間だと感じましたがすぐに慣れました。

2.母乳バンクの実績

実績は、次の記事などを参考にしました。

ドナーミルクを使用した赤ちゃんの数は前年度の約1.4倍の1,118人(前年度813人)となり、母乳バンクが国内に誕生した2018年度からの累計では2,676人となりました。

ピジョン株式会社プレスリリースより

運営の基盤は一定ありそうなことが分かった一方、「本当にこれだけの方が母乳を受け取ってくれるのだろうか」という不信が拭いきれない自分もいました。

3.母乳を受け取った方の声

これが一番知りたかったこと。
ですが、なかなか情報がないのです。
それもそのはず。ドナーミルクを必要とするご家族の多くは、目の前の小さな命を守るために全力なのですから。

そのなかから、下記のnoteを見つけました。

ご自身もご家族も大変な状況のなか、こういった貴重な情報を綴ってくださり、ありがとうございます。
小さな命を守る助けがほんの少しでもできるなら、ドナーに登録する意義があると感じました。

できることなら、協会や提携病院のNICUのWebサイトなどで、ドナーミルクを活用された方の声も届けてくれると良いと感じました。

4.ドナーの声

これはGoogleやSNS(Xやインスタ)で探しました。
私と同じように、あまった母乳を届けているドナーの方の投稿も見ましたが、気になったのは母乳バンクや協会を卑下する投稿でした(投稿リンクは割愛します)。

協会やシステムを信用して良いのか、気持ちがゆるぎました。

が、最終的にはドナー申請をすることに決めました。
協会を非難する投稿は、ドナーや母乳を提供された方からの声ではないと感じたからです。特定の組織や活動に対し、それに反対する層も一定数いるのは社会構造として普通のことなので、SNSでの声はあまり気にしなくて良いと考えるようになりました。

という心の葛藤も経て、1ヶ月検診後、ドナーの申請をしました。
私は、登録施設の都合上、日本財団の母乳バンクを選択しました。

ドナー申請から登録まで

ドナー申請の流れは協会のWebサイトに記載があるので、ここでは割愛します。

私は、自宅から車で15分ほどの婦人科で検査・説明を受けました。
協会のWebサイトでドナー登録の申請をしてから検査に行くまでが10日ほど、検査後ドナー登録完了のメールが届くまでさらに10日ほどがかかりました。

登録施設のスタッフさんによると、その施設ではドナー登録者が急増しているとのこと。登録のきっかけは、私同様インスタがほとんどのことです。「インスタの影響力すごいね」と、数名のスタッフさんで話が盛り上がっていました。

ドナー登録後から母乳の配送まで

登録施設で母乳用のフリーザーバッグをいただいたので、私は検査日の夜から搾乳を開始しました。「もし登録できなかったらごめんなさい」と思いながら、毎晩捨てている母乳を少しでも人助けに使ってほしいと思ったからです。
結果、初回配送後に問題はなさそうだったので、これらの母乳も何かしらに活用してもらえたのだと思っています。

第二子は、昼間はおおよそ3時間おきに授乳するのですが、夜は4~5時間開くこともあり、しかも片方しか飲まない日も多々。
ということで、搾乳は深夜に、私の胸に残ってしまった分を取っています。あくまでも乳腺炎対策と分泌を維持するため、これまで捨てていた分を寄付する、と決めています。(搾乳しすぎると余計分泌過多になってしまうので)

初回は、18日間で少しずつ貯めた母乳を送りました。梱包はこんな感じ。

これまでは捨てていた母乳。誰かの生きる力になってくれたら嬉しい。

フリーザーバッグを大きなジップロックに入れ、その周りに緩衝材(プチプチでも雑紙でもOKとのこと)を巻きました。ちなみにこのプチプチはリサイクル資材です。

ヤマトのクール便で集荷をお願いし(着払いの伝票も協会から配布されます)、指定した日に預けるだけ。流れは非常にスムーズです。

ちなみに、保清をしていれば、搾乳の方法は問われないようです。手動の搾乳器(ピジョン)もいただきましたが、私は使い慣れている電動搾乳器(ピジョン)を継続して使っています。
母乳用のフリーザーバッグも、不足するようであれば協会から追加分が届きます。ありがたいシステムです。

配送から数日後、協会から受取完了のハガキが届きました。

受取完了のハガキ。手書きでお礼のメッセージが。

手書きの文字が嬉しいです。
このハガキ、毎回届くようです。お心遣い、ありがとうございます。

誰かの生きる力になるのなら

母乳バンクのドナーに登録するまでの経緯や、実際の搾乳〜配送の流れなどを簡単に綴ってみました。
ドナーをいつまで続けるかは決めていませんが、第二子と私の体調と相談しながら、また家族との生活に支障のない範囲で、続けていきたいと思っています。

ドナー登録を考えている、誰かの参考になったら嬉しいです。

おまけ

ちなみに私は、千葉県流山市で産前・産後の女性向けのコンディショニング事業をしています。整体やピラティスで体を整え、妊娠〜出産、産後をより健康に過ごしてもらうお手伝いをしています。
興味がある方がいましたら、インスタDMにてご連絡ください。


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