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やる気スイッチよりも押しやすい、やる気なしスイッチ、の話

やる気スイッチってどこにあるんだろう?
ちょうど今テスト期間中の息子、「スイッチ入らない」とよく言ってます。うん、なかなか入らないよね。苦笑

見えるものなら押したいやる気スイッチ。なかなか見つけるのも大変、押すのも大変というのが実際のところ。やる気のことを心理学では「動機付け」と言ったりもします。動機付けの話はまた改めて。

さて、やる気スイッチとは逆にとても押しやすい逆のスイッチがあることはご存知ですか。名付けて「やる気なしスイッチ」。何をやっても無駄、どうせ無理、だったらやらない方が良いという諦めの気持ち・・・この状態を心理学では「学習性無力感」と呼びます。

学習性無力感とはなんぞやというと、自分では解決することができない、どうすることもできない、逃げることもできない、避けることもできない、という八方塞がりなストレス状況に置かれると、もはや逃げようとすることさえやめてしまう・・・と言った状態のことです。

有名なセリグマンの犬の実験がありますが、あちこちで紹介されているのでここでは割愛します(実験に使われたワンコがかわいそうで、学生当時に悲しくなりました;)。

子どものスポーツの指導現場でよく目にするシーンではありますが、とにかく指導者にダメ出しをされる。何をやっても怒鳴られる。何なら殴られたり、物まで飛んでくる(最近は少なくなっていると思いたいですが)。

なんでできないんだー!

なんでわからないんだー!

なんでミスするんだー!

「なんで攻撃」に晒されフリーズする選手。あるあるですよね。なんでそんな指導するんだー!(苦笑)

さらにはプレーだけでなく人格まで否定され「どうせお前には無理だ!」「通用すると思ってるのか?!」と言われ続けるといったケースも身近で経験しました。えぇとても身近で。苦笑

とは言え体罰はいけませんよ、暴言はいけませんよ、という常識的な話をここでしようとは思っていません。これらの指導、一体指導の狙いは何でしょう?というところを問題にしたいのです。指導ですから、当然狙いがありますよね?え?ないの?それはもはや指導ではないですよね(すみません、毒吐きました。)。

怒鳴る指導で選手のやる気スイッチが押せる・・・と思っている指導者はどれくらいの割合でしょうか。「突き落とし、叩き潰すことで、強くなる」・・・果たして本当に?その指導、誰のために行われているんでしょう?その声かけをすることで、指導の目的は達成されますかと聞かれたらどうでしょう。

何をやっても繰り返し怒鳴られる。口答えはできないから、何を言われても「はい!」と言うしかなくなる。一見、子どもたちは指導者の言うことを素直に聞いていて、全員が指示に従って統率が取れていて、まとまりがあるように見えてしまう・・・よくある風景とも言えます。でも実際、チームを強くするために、選手を伸ばすために、と思っていたとしても押しているのはやる気スイッチではなく「やる気なしスイッチ」の方だったりするかもしれません。

(多くの指導者は「そういうつもりじゃない」とおっしゃるでしょうし、中には「理不尽を経験させるためだ」とかなんとかの理由をつける方がいるのも存じてます。難しいですね。苦笑)

やる気スイッチ、やる気なしスイッチ

ご自身の指導に納得されている方には届かないでしょうが、もしも「ん?どうだろう?」と思ってくださるのならば、今押してるのはどっちのスイッチなんだろう?そう考えていただけるきっかけになったら嬉しいです。




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