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『ナニシテモイイコ』徒然諸々

 こちらは『ナニシテモイイコ』の制作経緯や裏設定、作者がどんなことを考えていたか等を、取り留めもなく綴った記事になります。
 前作二つの記事はリリースから4、5ヶ月後に公開したのですが、ありがたいことに、沢山の方に本作に触れていただいているため、早めに記事を書く運びとなりました。
 お楽しみいただいた方々、誠にありがとうございます。
 未プレイの方も「制作経緯」まではネタバレ無しとなっておりますので、お読みいただいて「面白そう!」と思ったら、是非プレイしてみてくださいませ。

 また、今回の「徒然諸々」はかな~~り長くなっております💧
 最後にお知らせがありますので、そこだけでも見ていってください!!(以下目次から飛べます)


制作経緯

最初のぼんやりとしたコンセプトは、「ラブドールと恋愛するゲーム」でした。
プロトタイプの大体のあらすじは以下の通り。

 主人公(男)は、興味本位で、高性能美少女ヒューマノイドを購入する。ヒューマノイドは主人公のことが好き(という風に設計されている)なので、主人公が望めば、彼女にどんなこともすることが出来た。
 元々社会に馴染めなかった主人公だが、ヒューマノイドと接するうちに、徐々に人と打ち解けられるようになっていく。そして、バイト先で出会った女性と恋人関係に……。人間のような機械と本物の人間、果たしてどちらを選ぶのか。

「どんなに尽くしても人間として見てもらえないヒロイン」「プログラムされた『愛』を本物と捉えるかどうか」といった辺りを描いてみたかったのですが、
・人間のヒロインがヒューマノイドにキャラ負けしてしまう(強くてもテーマとズレる)
・人間のヒロインを抜きにしても、トゥルーエンドがしっくりこない
という理由で没になりました。

ここから今現在のシナリオに至るまでの記憶が曖昧なのですが……

調べた所、これが一番古い呟きのようです。過去作で体をクリックすると反応が返ってくるシステムは何度か作っていたので、それをメインに据えたゲームが作ってみたい、という意味で呟いていました。
 この時点ではシナリオはプロトタイプに近かった気がします。彼女が出来た主人公にヤンデレ化したヒューマノイドちゃんが襲い掛かってくるルートとか、ゴミ捨て場にバラバラにされて捨てられてるヒューマノイドちゃんとかが描きたかったんですよね。

 そして描いてみたのがこちら。

 姿は今とあまり変わらないですね。真っ黒なハイライトの無い目はこの時から決めていましたが、表情は現在よりも幼く穏やかな気がします。
 ちなみに、次に描いたのが一日目のベッドでの立ち絵なので、あれがその次に穏やかです。最初はこんなにあどけなかったのに……。

 主人公の原案も見つけてきました。

 採用されたのは前者でしたが、病んでなさそうなパターンもありました。

 受付の青年に関しては、一発で見た目が決まったので特に原案はありません。そもそも、ただのモブのはずだったんですよね、彼。

タイトル画面初期案

 あと、最初は殴った所が痣になる機能も付けたかったのです。かなり細かい設計が必要になるので実装しませんでしたが。それと、他の客が付けた跡が残ってるの、次の人嫌では?と思ったので。接客毎に直せばいいんじゃね?

 タイトル画面を描く際には、こちらの作品と被らないようにというのも意識しました。最初は仰向けで描いていたのですが、「どこかで見たような……」と思ったら、構図がこちらの作品とそっくりになっていたのです💧危ない危ない。
 ずっと気になっていたものの未プレイだったので、最近ようやく履修させていただきましたが、近いテーマでありながら全く異なるアプローチとなっていて面白かったです。


 やや話が脱線したので、シナリオについて話を戻しますと、一番最初に思いついたシーンは、END1の三枚目のスチルです。
 詳しくは後述しますが、このシーンと、店に通うシステムを思いついてからは、かなり筆が乗るようになりました。


以下、本編プレイ後推奨です。

 場合によってはこれまでのイメージと解釈違いになる可能性もありますのでご注意ください。







各種設定

 イチコの台詞台本にはかなり詳しく設定を書いていたので、その内容と併せて解説していきます。裏設定に関しては精査が甘い所もあると思うので、温かい目でお読みください笑(台本に書いた設定は一部修正している部分もあります。)


《人物編》

イチコ

【台本に書いた設定】
 本名は一ノ瀬 凪子(いちのせ なぎこ)。イチコは人形になった際に自分で付けた源氏名。
《~18歳》
 中流家庭の両親の元で育つ。家は一軒家。兄弟なし。
 母親から過度な「しつけ」を受けていたが、父親は黙認していた。押入れに閉じ込められた際のトラウマで、暗くて狭い所が実はやや苦手。
 小学校の時は、家に連れて来た友達を母親に追い返され、「友達は選ぶように」言われてから、ほとんど交友関係のない学校生活を送った。
 塾、ピアノ、バレエなど様々な習い事をさせられたが、どれも母親の期待には応えられなかった。
 中学からは反抗心が芽生え始め、高校までそこそこ友達はいた。
 中学は習い事が忙しすぎたため帰宅部。
 高校も部活に所属するすることは出来なかったが、友人の誘いで天文部によく遊びに行っていた。幽霊部員よりよくいた模様。
《18~27歳》
 高校卒業後、東京の企業の営業事務に就職。
 高校の友人たちは、進学したり、地元の会社に就職したため、疎遠になってしまった。
 同僚とは仕事の付き合い以上に仲良くなることはなく、どことなく寂しさを抱えて過ごす。
 就職してから二年後、支部から営業として赴任してきた男がやって来る。気さくだが不思議と嫌ではなく、馬が合い、次第に好意を持つようになる。
関係が始まったのは、飲み会の帰りに酒の勢いでホテルに誘われ、一夜を共にしてからである。
 付き合う前は黒髪の軽めのボブカットで前髪は無かったが、付き合って半年になる頃には、前髪を作り、髪を染め、セミロングの内巻きストレートになっていた。
 付き合って三年(当時24歳)で既によく喧嘩するようになっていたが、彼のことが諦めきれずダラダラと関係を続ける。
 男にとっては最初から最後まで遊び相手という認識だった。
 26歳で妊娠し、27歳で彼と別れ、会社を辞め、一人で出産する。
《27~32歳》
 貯金や、彼から貢がれていたブランド品を売ったお金で生活しながら、
陽人を育てる。
 容姿は気にしていられず、染めていない髪を後ろで束ね、化粧っけのない地味な格好に。
 陽人が一歳になる少し前から就活を始めるが、なかなか受からず、パートを掛け持ちする。
 一年弱かかり、派遣会社に勤めることに決まるが、陽人が三歳の時に病気が発覚する。
 二年間入退院を繰り返しても治療はうまくいかず、容態が急変し、早急に海外での移植手術が受けられなければ助からない状況に至った。
 闇金に手を出そうとした際に、事情を聞いた闇金業者に「借金をしなくても欲しいだけ金を手に入れられる方法がある」と言われ、「人形の店」の店長を紹介される。
 陽人に遺す分の金と引き換えに、臓器を売ることも人形になることも承諾して契約し、両親に陽人のことを託した。
《32~42歳》
 開店当初からの人形として店で勤める。 給与の大半は陽人のために実家へ送っていたが、そのことが陽人に伝わることはなかった。 人と話すことは得意だったため、一時は店のNo.1だったこともあった。 しかし、新しい機種の人形の人気や、他の人形の末路を見てきたこと、終わらない人形としての生活の疲れから、徐々に人気が衰える。 ついに廃棄が検討され始めた時に、主人公と出会う。
【台本ここまで】

 ……長い!!演じていただくキャラなので生涯を全て振り返っていたらこの量になっていました。
 しかし他の人の台本の設定資料を読んだことはないので、これでも短いということもあるかもしれません。わからない。気になる……。

  二人称は基本的に好感度高めの時は「君」、普通or低めの時は「お兄さん」で気持ち分けていました。旅行以降は主人公をだいぶ信用しているので、概ね「君」で統一しています。

 「イチコ」という名前は、作者としては、ワンコのワンをoneに変換してイチコと付けました。なので設定としてはかなり犬ですが、性格は猫っぽいなと思ったり。デザインの元になった犬種などはありません。

 五日目のセーラーワンピースは、作品全体のテーマが「水」のため、関連させてセーラーにしました。
 ちなみにUI画面も、コップの水(三日目後半でイチコが飲んでいた水)、雨の水(四日目後半)、海の水(五日目ラスト)となっています。

主人公

【台本に書いた設定】
 弟の死体が見つかって以降は、母親は逮捕され、施設へ送られました。 虐待の末の子供による殺人としてマスコミやネットに晒され、施設ではいじめられていました。
 高校は電車通学で施設から離れた所へ通ったことで、友人も恋人もでき、会社をクビになるまでは比較的穏やかな生活が出来ていました。 会社の同僚が秘密をばらした理由は、昇進の候補に主人公の名前が挙がっているのを聞き、 嫉妬したからです。主人公は自分が昇進の候補に挙がっていることは知りませんでした。 元恋人の彼女は、至って普通の親と家庭に恵まれていましたが、学校に馴染めず、定時制高校に編入しました。性格は穏やかなため長年関係は続いていましたが、主人公とは育ってきた環境が全く異なるため、価値観にズレがありました。
 主人公にとってイチコは、誰も信用出来なくなっていた時に現れた救いであり、優しかった時の母の愛情のようなものを、もう一度与えてくれた人でもありました。
【台本ここまで】


 主人公の過去回想にも書いた通り、彼はもう一人の「ナニシテモイイコ」です。本作の裏のキャッチコピーとして、" 「何してもいい」とされた人間と人形の話 " というのも考えてました。二日目の回想ラストは台詞なので「何してもいい子」と表記しても良かったのですが、タイトルとの共通性と、微かに聞き取れた言葉ということでカタカナにしました。
 弟殺害の事件後は母親も虐待容疑で逮捕されましたが、「やったのはあの子だ!私は悪くない!」と言い続けていたようです。ある意味親子ですね……(END6を思いながら)。どうしようもない母親ですが、生き方が不器用すぎる人でもあるので、カウンセリングを受けたり、周りに助けてくれる人がいたら、もしかしたら違う未来もあったのかもしれません。

 本編ではやつれた見た目の主人公ですが、会社をクビになる前はもう少しマシでした笑。それでも決して明るい奴ではありませんでしたが、気遣いは出来るので、周りからは「良い人」と思われていたようです。


受付の青年

【台本に書いた設定】
 
受付として働く人形の青年。
首元をよく見ると黒い首輪をしています。あまり目立ちませんが、髪も少し犬耳っぽくなっています。
 店では立場が一番低く、少女型の人形たちからこき使われたり、性処理相手になったりしています。見た目は良いため、閉鎖空間の中で一方的に惚れられることもしばしば。
 自分を下に見ず接してくれるイチコに好意を抱いていましたが、自分では彼女を幸せに出来ないと思い、気持ちを伝えることすら出来ませんでした。
【台本ここまで】


 「黒山」という名前は、バーニーズ・マウンテン・ドッグから取りました。

 立ち絵が描けた後に、「黒くて大きくて耳が目立たない犬」で調べて出てきたワンちゃんです。「黒」い髪の「マウンテン」ドッグで、黒山君というわけです。
 本名は「黒山 皇子(くろやま おうじ)」といいます。名前のことで散々いじられてきたため、下の名前で呼ばれることは好きではありません。イチコもそのことは知っているので「黒山君」と呼んでいますが、喧嘩すると「プリンス」と呼ぶこともあるとか。

 実年齢は主人公より上ですが、イチコよりは下です。三十代前半くらい? 


陽人

 本編に出てきた彼は高校一年生です。同級生の中ではやや成長早めの模様。
 「母親は自分を捨てた」と思い込んでいるのは、凪子(イチコ)の親(陽人の祖父母)に言われたのもありますが、見舞いの時間も犠牲して凪子が働いていたことも関係しています。陽人が母親に愛されていたことを知ることは一生無いでしょうが、残酷な真実なら知らないほうがマシかもしれません。

 大人になった陽人が主人公の続編、なんてことも考えたことはありましたが、陽人を死なせたらイチコが化けて出そうなので、まず作らないかと。



《場所編》

「店」

【台本に書いた設定】
 特にこれといった店名は決めていませんが、客からは「人形の店」と呼ばれています。
 「人形」は元々は店長が個人用のペットとしてコレクションしていましたが、他人への自慢と副収入のため店を始めました。とはいえ、人形が殺されても新しいものを手に入れればいいという感覚で、あまり執着はありません。受付がイチコを逃がしたことに関しては、人形の分際で逆らったことが気に入らなかったようです。
 ちなみに、店長も脳以外を全て機械化し、中身は60代でも見た目は30代の姿をしています。
 人形が廃棄となる主な理由は、
・人気の低迷
・店の規約違反(脱走未遂など)
・店長の気分
があげられます。特に「店長の気分」に関しては、気に入られていれば生かされることもあれば、人気でも反感を買っただけで処分されることもあるようです。機体ごと廃棄することもあれば、脳だけ廃棄することもあります。
 人形の脳は、外部からの水分と培養液からの栄養で維持されています。
培養液は月一回のペースで交換されています。
 人形はロリっぽいものが多いですが、ロリ巨乳のものやJCくらいの身長のものもあります。
 人形側の取り分は、個人の売上の20%です。
【台本ここまで】


 登場はさせませんでしたが、イチコの他にも「人形」は10~15人くらいいます。イチコは犬風でしたが、猫風の子もいます。もう一人のヒロインとして、猫風ミニスカナース(現No.1、あざとい、めちゃくちゃパンチラする)も初期段階では出そうとしていましたこともありました。しかしシナリオが進むにつれ、イチコと主人公の関係がガチガチに固まってしまったため、『ナニシテモイイコ』としての登場は無しになりました。ちなみにナースの子は、順位が低いクセに偉そうにしているイチコのことが大嫌いです。
 他にはイチコの一年後輩で友達のロリィタの子(順位そこそこ、元ホス狂)なんてのもいたりします。

 黒山の所でチラッと書きましたが、黒山と他の人形に体の関係があるように、嬢の人形同士でもやってる子はやってます。娯楽の少ない環境故の遊びとしてが主ですが、時には愛が芽生えることも……。ただ、同じタイミングで廃棄されることはまずないので、最後は悲しい別れを迎えることになります。
 イチコは店内での恋愛はありませんでしたが、後輩(ロリィタの子ではない)から片想いされたりはしていました。誘われたら乗るのでやることはやっています。

 店長もサブエピソード1辺りで喋らせたかったのですが、特にタイミングがありませんでした笑。外見は金髪(染めてる)で若すぎないイケメンというイメージ。店長は自分の意思で理想の外見になるため「人形」になりました。人間を「人形」にする技術者は店長とまた別でいます。
 やってることはクズですが、臓器や「人形」の売上を本人にきちんと渡しているのは、「俺の主義だから☆」とのこと。「人形」からは、顔とスケベなことへの発想力は認められていますが、クズだしウザいしアブノーマルプレイを強要してくるしで裏では嫌われています。

 「人形」(ヒューマノイド)について補足すると、正確な部類はヒューマノイドではなくサイボーグです。どちらにせよ公になるとマズい組織ではありますが、一番隠したいのが臓器売買の部分のため、そこをカモフラージュするためにヒューマノイドと説明しているのかと。
 似たものにアンドロイドもありますが、元々アンドロイドは男性の人型ロボットのことらしいので、ヒューマノイドと表しました。女性型はガイノイドというそうですが、そこまで知られてないので。
 過去作でアンドロイドと名付けてしまった女児いるんですがね……。

 ところで、イチコが外に出掛けたり逃走した所を見て、こんなことを思った方もいるのではないでしょうか。
 「そのまま警察に通報して店自体潰せば全員自由になれるんじゃ?」
と……。
 そこに関してはしっくりくる辻褄が思い浮かばず、本編では詳しく書きはしませんでした💧
 なんとなく考えているのは、店の外では店に危害が及ぶような思考は出来ないように脳が制御または洗脳されているとか、店に繋がる言葉は出せないように言語野にロックがかかるとか……。買われた「人形」が脱走先で野垂れ死んで第三者に発見されても困ると思うので、そこも足が付かないような対策はしてると思います。作者より店長のほうが悪知恵は働くのでなんとかしているでしょう!(ぶん投げ)
 店の顧客リストには政治家や大企業の社長などもいるようなので、もし事件になったとしても一瞬でもみ消されると思います。
 序盤のギラギラした腕時計の男も、有名企業の社長です。よく自慢話をしてくる常連客として店では有名人だったのでイチコも知っていましたが、おっぱい派なのでイチコは接客したことはありません。
 

商店街

 イチコが地元にいた頃、高校生以前によく買い物に訪れていた商店街です。当時はショッピングモールは無かったため、近くで買い物といえばこの商店街でした。

 喫茶店は、イチコが学生だった頃は放課後に友達とよく通っていました。バリスタの老紳士は当時と同じ店長です。

 喫茶店での「間接キス」はどうしても入れたくて、お茶ならOKという設定を付けた、という裏話もあります。
 一応、イチコが飲めるものの基準としては、
・アルコール分解など臓器を必要としないこと
・内部に汚れが付着しないこと(ある程度は自動洗浄で余分な水分と共に排出するシステムはあり)
と考えています。
 いただいたボイスが「触る」に負けないくらい色っぽくてお気に入りの一つなので、聞くたびに「入れといて良かったなぁ」と思ってます笑。

自然公園

 イチコが小学校低学年以前の頃に、両親に連れてきてもらったことのある場所です。向日葵畑は当時はなく、イチコが地元を離れた後に植えられました。
 イチコが虫取りをしたという「ちゃちな公園」は、陽人と住んでいた家のすぐ近くにあった、普通の公園のことで、この自然公園のことではありません。

主人公 「意外と、色んな所に行ったことあるんだね。」
イチコ 「転々としてたからねー。ちなみに、あの店で四ヶ所目。」
 この台詞の四カ所目、というのが事情を知る前だとわかりづらいのですが、イチコは
地元
→一つ目の会社
→二つ目の会社(息子を育てながら)
→「人形」の店
で、四ヶ所目という意味で話しています。主人公はまだイチコが元人間であることを知らないため、プレイヤーと同じように、店の前にも所有者がいたのか、同じような店が他にもあったのか、などと考えています。

 追いかけっこのシーンは、END1の顛末の示唆として書いてみました。向日葵畑に紛れて消えてしまいそうなシーン、一回書いてみたかったんですよね……。
 勿論主人公はこの先どうなるかは知りませんが、どことなく嫌な予感がし、叫びました。
 

水族館

 この水族館はイチコが地元を出た後に出来たので、イチコも初めてでした。それでも開館から15年以上は経過しているため、若干古さを感じる雰囲気があります。

 動物の自殺に関しては、いくつかのネットの記事を参考にしました。信憑性の高そうな記事を元にはしていますが、確実な情報が知りたい方は書籍を読むことをお勧めします。

↑ の記事の元になったアメリカの論文。
サイト内のリンクが切れていたので貼っておきます。
https://www.wellbeingintlstudiesrepository.org/cgi/viewcontent.cgi?article=1201&context=animsent

自殺した?とされるイルカのキャシーについての記事。
サイト内リンクからキャシーの飼い主が設立した慈善団体のサイトにも飛べます。
サイトもリンクもやや思想強めなので苦手な人は注意。


 太平洋側の海です。
 イチコが中学生の時に一回だけ友達同士で海に行くのを許されたことがあり、その時に来たことがあります。

 イチコも海水浴をしていますが、泳ぐことは出来ません。浮こうとすると沈みます。中身はほぼ金属なので。



各エンドについて

END3

 嫌いではないが決め手もなかったというエンド。一番最初に辿り着きやすいエンドと想定していましたが、初っ端から殴る人もチラホラいたようで……。
 最後に黒背景に縄が軋む音だけが流れ、やがて無音になる演出を入れようとしていたのですが、音無しでプレイしている人がいたら途中で「フリーズか?」と思われそうなのでやめました。現在はエンド名が表示されてから少しすると元の環境音が流れ始めるようになっています。

END4

 三つの選択肢をランダムに選べば行けるため、こちらも辿り着きやすいエンドですね。勘違い男の末路パート1。
 イチコが裸なのは返り血が飛んでも良いようにです。
 好きな相手に言われたらショックな台詞コンプリートセットのようなシーンなので、声付きで初めてテストした時はこちらまでちょっと傷つきました笑。自分が書いたんですけどね!笑

END5

 触り続けると辿り着く、勘違い男の末路パート2。END4でもイチコが逃げる所を見つかっていたら、同じことになっていたでしょう。殴ってはこなかったので、命は見逃して逃げようとしていました。もし脱走に成功していたらEND3の顛末になります。
 このエンドの主人公は一番気持ち悪いと思っています。「しんぱいなの」の所が特にキモいですね。
 しかし、ずっと二人きりで暮らしましたというのは、ある意味ヤンデレメリバエンドでもあります。片方死んでますが。イチコが流した黒い涙は、腐ったイチコの脳と培養液が混ざった汁です。

 ちなみに、白い詰襟ワンピースの立ち絵が後ろで手を組んでいるのは、まだ何か隠しているのかもしれないことを表しています。END5でいうと、隠しているものは指輪になりますね。

END6

 主人公の過去が明らかになる、他とは特殊なエンド。
 END6のみ、受付の青年がイチコを売ってくれません。つまり、彼が記憶を消されないのもこのエンドだけですが、代わりにイチコの凄惨な死体を目撃するという……。
 6回殴るごとに主人公の暗い過去が明らかになっていきますが、最後の「人殺し」は、主人公に対する「だから何?」というメッセージを込めました。殺人事件などで「実は犯人にもつらい過去があって……」という話はよくありますが、それが人の命を奪っていい理由には断じてなりません。主人公がどんな言い訳をしようと、受付の青年にとっては、大切な人の命を奪った人殺しに他ならないのです。
 エンド名が最後に「コ」で終わるものにしなかったのも、このエンドの主人公にそんな生ぬるい名を付ける価値もないと思ったからです。

END2

 心中エンド。
 主人公が唯一正しい方向で積極的だった三日目の「抱きしめる」が、このエンドでは関係しています。ロクな客のいないあの店で、余計なことは聞かずに気にかけてくれたことが、イチコは少なからず嬉しかったのでしょう。

 END2とはズレますが、イチコが陽人に突き飛ばされ、罵倒されるシーン。あそこで主人公が助けに行かず、陽人に何か言ってやることもなく、ただ突っ立っている所が、「コイツはそういう奴だよな」と感じています。所謂主人公像らしくないといいますか。「足が動かない」とモノローグする主人公に「行けよ!!」と何度ツッコんだことか笑。
 勢いとはいえ、三日目の「抱きしめる」は珍しく主人公が「主人公」していたと思います。

 「そう。」や「うん。」といった短いボイスも作中にいくつかありますが、聞いているとどれも声色が使い分けられていて、「すごいなぁ」と感じた思い出。END2の相槌は特に重みがあります。

END1


  これは、何してもいいとされた「人形」と、彼女に出会ってしまった「愚か者」の物語。

 
本作の概要として、紹介文にはこう記していました。
 愛する人をこの世に残してでも死を選んだ主人公は、最も失いたくなかったものを失った世界で生きねばならなくなりました。主人公の選択は愚かであり、彼が受けた呪いは因果応報ですが、死=悪だと私自身が割り切れないのも事実です。

 これまで、「あなたが好きだから生きてほしい」「私のぶんまで生きてほしい」という話は書いてきました。
 しかし、本作の主人公の場合、生きてもイチコはいつかいなくなります。過去に犯した罪は消えず、すぐにイチコのように信じられる人と出会えるほど、世の中甘くはありません。イチコは主人公に「生きてほしい」と望みましたが、その言葉にずっと責任は取れないことを考えると、無責任とも言えます。
 今やSNSで「死にたい」と呟けば、「いつか良いこともありますよ!」「○○さんがいなくなったら寂しいです!」などといった言葉がすぐに飛んでくるでしょう。一体その内の何人が、その言葉に、その人の人生に、責任が取れるのでしょうか。それでも我々は、死にたい人への無責任な生を望んでやみません。

 どう考えてもつらい未来しか待っていない主人公に対し、責任の取れないイチコはどう声を掛ければいいのか。そう考えながら夜の窓辺でのシーンは書きましたが、結局、「生きてみるしかない」という結論に至ってしまいました。生きた先に希望があるかどうかは、実際に生きてみることでしかわからないのです。

 イチコが自分のために死んだことで、主人公が今後自死を選べば、イチコの死を無駄にすることになりました。自殺によって自殺を止めるという、なんとも皮肉な呪いです。
 作者である私も一時期、未来が真っ暗闇にしか見えない時期がありました。今でも時折、この先どうなるのか不安になることがあります。ですが、もし私が死を選べば、「生きてほしい」と願うこの作品の説得力は皆無となるでしょう。私自身もまた、イチコにより呪われたのだと思います。
 そして、イチコと五日間を過ごした皆様も、どうか、きちんと呪われていますように。この先どうにもならないくらい、つらいことがあった際は、イチコから受けた呪いを思い出してもらえれば幸いです。

 補足ですが、主人公の名前を呼ぶシーンでは「大翔(ひろと)」と呼んでもらっていました。ボリュームを大きくすると実はボイスが付いているのがわかると思います。ただ、プレイヤーには何と呼んでいるのかほぼわからないようにしてあるので、まず聞き取れないかと。

サブエピソード1

 本編ではなんとなく察するまでだった、店と「人形」の真相を補足するために書きました。
 この話では、本編ではモブだった受付の青年視点にしてみました。三人の中でわりと善人のようになってしまいましたが、彼も彼で過去にかなりあくどいことはしていたと思います。薬物中毒者には「買いに来るほうが悪い」、金を騙し取られた老人には「富の再分配だ」なんて思っていたような奴かと。彼が「人形」になれたのは、仲間の中で唯一薬物をやっていなかったからです。一回試したことはあっても合わなかったそうな。
 受付と関係があったことで失恋のような気持ちになった方もいるようですが、もし受付の青年がイチコに告白したとしてもスパッと断られるのでご安心ください(?)。最初の注意書きにも書いた通り、本作は恋愛ゲームではなく、陽人とその他の間には越えられない分厚い壁があるのです。

サブエピソード2

 イチコの過去と走馬灯。設定資料のほうが詳しいことは書いてあります。
 普通に、妊娠した途端に恋人が逃げたのでも良かったのですが、END4の展開に対して悪人要素が弱いと思ったので、不倫の話を加えてみました。
 つまり、メインの三人は全員「良い人」ではありません。

 しかし、イチコが陽人を愛していたのは本当だったと思います。

パスワード「note」
 ↓

https://poipiku.com/1245534/7545113.html


???(シークレット)

 ふりーむからだと短い後日談のみになっているのですが、こちらはノベコレのバッジ用に、リリースの少し前に書いた話です。ノベコレからだとバッジとして首輪と指輪を受け取ることが出来ますので、ふりーむで遊んだ方で気になる方はお試しあれ。
 急遽付け加えたので展開はご都合といえばご都合なのですが、誰かに首輪と指輪を渡してもらうなら、と考えた際に白羽の矢が立ったのが、バリスタ爺さんでした。バリスタの老紳士は、台詞のある人物の中ではちゃんと良い人です。家族でも友達でもない話し相手になってくれたり、試験勉強を頑張っていたら珈琲のおかわりをサービスしてくれたりしていました。
 主人公に凪子の話をしてくれたのは、本当は凪子の知り合いであると、長年の勘でわかったからだと思います。



余談


 本作を制作する上で様々な所から影響を受けているのですが、その中で特に外せないのがこちら。

 民子(ピンクホルマリン)さんにキャラクター化してもらった設定を元に、私が絵にしたものです。現在は「珊瑚」という名前が付いており、追加設定にもご協力させていただいております。
 追加設定は私が考えたとはいえ、イチコと珊瑚、気づくとだいぶ似た二人になっていました……。民子さんには二人の設定については把握していただいております。

 すなわち、イチコを気に入っていただけた方なら、珊瑚もお気に召すこと間違いありません!!
 遊びたいと思ったそこのあなた!!遊べるんです!!!

 リリースはまだまだ先のようですが、ビジュアルノベルとして制作は決定しております。配布形式は限定公開か一般公開か未定だそうですが、沢山応援の声があれば一般公開されるかも……?遊んでみたいと思った方は、是非発信してみてくださいね!



 『ナニシテモイイコ』のテストプレイにご協力いただいた方のゲームも配信されております。どちらもクオリティがすごいので、面白そうと思った方は是非に。
『Re:quiem[Spring is in the air.]』

『魔女-faust-』



最後に(お知らせあり)

 大変長くなりましたが、ここまでお読みいただいた方、ありがとうございます。現時点でこれまで一番長かった『稲荷様の子』の記事を超え、12000字を突破しております……ゲーム一本作れる字数……。

 でも、それでも、まだまだ語り足りないのです……。特にボイス……裏設定に文字数を取られすぎて、合間合間に触れるくらいじゃ全く足りないのです……。
 皆様もボイスの話、聞きたくはありませんか……?
 しかも声優さんの生の声で聞けたら、素敵だとは思いませんか……?



  聞けます!!!!!



  10月14日夜!!!ナニシテモイイコ対談、配信決定!!!!!


 イチコの声を担当いただいた菜月なこさんのご厚意で、対談をしてもらえることになりました!
 日時は都合により変更の可能性がありますので、最新のお知らせはTwitterよりご確認ください。
 ネタバレ有りで質問したりされたり、様々なことをお話できたらと考えておりますので、お楽しみに!!

【2022/10/15 追記】
 無事配信終了しました!
 アーカイブ残ってますので是非ご覧ください♪


 もう一点、お知らせです。
 2022年10月22日(土) 18時00分~23日(日) 17時50分まで開催される、クリエイターズ文化祭に出店いたします。オンラインイベントです。
 無配は間に合えば置けたらと思っておりますが、なるべく会場にいる予定ですので、ぜひお越しください。

 また、上記イベント終了日まで、受注生産グッズを販売しております。
 現在予約を受け付けておりますので、お見逃しなく!(受付もあるよ)


 
 それでは、お読みいただきありがとうございました!
  10月14日にお会いしましょう!!


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