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歳を重ねて思う事。『成長』ってなんだ?

最近、やたらと頭の中で旋律のように「成長」というワードが巡り巡る。それはおそらく私ことメイプル楓が住むアパートの隣に、2歳になるテイル君がいるからだろう。お腹の中にいる頃から知っている

加え、2年か3年に一度の周期で子を産むアライグマの親子を庭で見かける機会が増えたからだ。詳しくは知らないがアライグマは2、3年に一度の周期で子供を産むのかもしれない。

気になった人は自分で調べくれ。


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そんな「成長」のワードを頭に巡らせている私は、英語が全くできない。出来ない上に努力もしない。だからタチが悪い。もう海外生活が13年にもなるのに平気で出来ない自分を正当化しているタチの悪さだ。

日本を発った頃、日本に戻る時にはそれなりの成長を達成するまで帰らないと決め込んだものだ。しかし13年前の私は、もういない…。あるとすれば髪の毛が伸びた事ぐらいだろうか。もし13年前の自分に出会えるとしたら、某双子芸人と同じギャグをするだろう。これを成長と言うだろうか?

いや。言わない。

そんな私でも成長を欲する衝動にかられる事がある。しかし成長を実感した事すら忘れかかっている年頃になった私にどうしろというのだ?


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そんな事を軽く悩みに惚けていた時、大きな松ぼっくりと小さな松ぼっくりが目に入ってきた。以前に拾って部屋のオブジェとして飾っているものだ。

(小)松ぼっくり:「お困りですか?」
(大)松ぼっくり:「何に悩んでいるのですか?」


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「ほう?」と放った相手はもちろん松ぼっくりだ。松ぼっくりに話しかけられて驚くより、松ぼっくり風情の所行とは思えぬ愚行に、超常現象を軽く苛立ち受け止めてしまった。

私:「お前等ごときが、人間様の軽く悩みに惚けている時間の相手をすると申すのか?」
(小)松ぼっくり:「はい。何なりと。」
(大)松ぼっくり:「ご主人様には私達を部屋に招いて頂いた恩があります。」


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彼らを部屋に招き入れて約10年程経ったが、今までこのような無礼を働いた事は一度も無かった。彼らもまた私に対する思いがあっての事だろう。ここは主として威厳を保ちつつも、彼らの思いを大切にしなければならないという事か。

松ぼっくりの上に立つ者とは、些か煩わしいものだ。

私:「では尋ねよう。成長とは何だ?」
(小)松ぼっくり:「はい。お答えします。成長とは、人を思いやることです。」
私:「人を思いやるだと?」
(大)松ぼっくり:「はい。人を思いやることです。」
私:「う〜む…」


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成長とは目に見える事を思い描いていたが、松ぼっくり風情が「人を思いやる」などと予想もしていない角度からスーパーど直球を投げてきやがった。ビシバシですやん…。

私:「いや。そうじゃなくてさ。ワシずっと英語喋れへんやん?」
(小)松ぼっくり:「大丈夫です」
(大)松ぼっくり:「大丈夫です」
私:「なんでやねん…」

やはり松ぼっくり風情では欲する答えを手に入れる事は難しいか…。そう思った矢先の事だ。


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(小&大)松ぼっくり:「人を思いやれない人は、成長を欲しません。」
私:「…っっっッッッッッ!!!!!」


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小ぼっくりと大ぼっくりがハモらせながら奏でた一節は、何やら確信の中心を射抜かれたようだった。例えるなら、大昔の英語の吹き替え版によくあったフレーズ、「まさに稲妻の一撃だったよ」が一直線に身体の芯を走り抜けた瞬間だった!

私:「では何か!?成長を欲している今のワシは、人を思いやりたいとでも申すのか!?」
(小&大)松ぼっくり:「はい。そうでございまさす。ご主人様。」


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またしてもハモらせながら返答を奏でた瞬間、私は膝から崩れ落ちそうになった。
思い起こせば人を思いやるなど、永きに渡って拒んできた所作の一つ。それを私の人生で着々と積み上げてきた。
人を思いやるなどと。人を思いやるなどとっッッ!!それを欲しているだと!?

自分を社会不適応者と蔑み、恋愛不適応者と罵ってきた。そうやって人と社会から一線を引いてきたのが私だ。その私が人を思いやりたいだと?馬鹿な事を。やはり所詮は松ぼっくり。複雑に絡まった人間模様など貴様等には到底理解できまい。

そうは言っても身体は正直に震えて反応を見せている。素直に認めよう、松ぼっくり共。今の私は罪悪と救済の狭間とも言うべきか。何とも表現し難い胸中である。

(小&大)松ぼっくり:「ご主人様。ご主人様…」
私:「…なっ!?何だっ!?」
(小&大)松ぼっくり:「人を思いやるという事は、自分という人も思いやる事でもあるんですよ。」


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ノックアウトだ。私は間違いなく松ぼっくり風情と見下した相手に打ちのめされた。
あぁ…そうさ…。自分で自分をかまって欲しかったんだ。しかしそれをやったら惨めだと思っていた…。自分以外のせいにして自分を正当化してたよ。

わかった…。わかったよ相棒。もう十分だ。認めるよ。自分を受け容れる所から始めたらいい。お前達はそう言ってるんだよな。あ〜そうだ。沢山ある!複雑に絡まった人間社会に対応できない事や知らない事が銀河の星ほどある。できない事。知らない事がテンコ盛りや。それが……。ワシや…。

(小&大)松ぼっくり:「できない事と知らない事が沢山あるんですね」
私:「あぁ…そうだ。沢山ある」
(小)松ぼっくり:「それはできない所まで、できるってことですよ」
(大)松ぼっくり:「それは知らない所まで、知ってるってことですよ」


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あぁ…神よ…。神々しい…。もう精神崩壊寸前だ…。あぁ…、そうか…。そう言う事か…。そう言う事だったのか…。できる所、知っている所までを認めてあげたらいい。それを「成長」というのですね。

職場や人間関係で、できない事を「できる」と言い、知らない事を「知っている」と言っている人間模様に煩わしさを覚えていたのはそう言う事か。何もここがゴールと線引きをしなければいい…。ただそれだけの事だったんだ。

わかった。私は今から生まれ変われる。彼らを、そして自分を認めてあげよう。それを少しずつ積み上げていけばいい。あなた方はそう仰っているのですね?


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(小&大)松ぼっくり師匠
「成長とは、可能と不可能の境界線を知る事だよ」

歳を重ねてようやくここまで辿り着いた。できても良い。できなくても良い。いつもそこがスタートラインで、成長にゴールは無い。これで良いんだよねっ!師匠!

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