見出し画像

酒井順子(1966.9.15- )「人はなぜエッセイを書くのか 日本エッセイ小史 第二回 「随筆」と「エッセイ」の違い」『小説現代』2020年10月号

『小説現代』2020年10月号
講談社 2020年9月23日発売
https://www.amazon.co.jp//dp/B08HTBB2TC

酒井順子(1966.9.15- )
「人はなぜエッセイを書くのか
日本エッセイ小史
第二回 「随筆」と「エッセイ」の違い」
p.310-315
2022年10月15日読了

「日本において、「随筆」を「エッセイ」に変えたと言われているのは
伊丹十三氏[1933.5.15-1997.12.20]です。そのデビュー作
『ヨーロッパ退屈日記』は1965年、31歳の時に刊行された作品です。

ある年代のある種の男性達にとって、この本の登場はエポックメイキングな出来事であったようで、[2005年に復刊された]新潮文庫版の解説を書いた関川夏央[1949.11.25- ]は、
「『ヨーロッパ退屈日記』は、1965年の高校生にとって一大衝撃だった」
と、その原稿を始めています。」
p.311
https://www.amazon.co.jp/dp/4101167311

「1964年には『平凡パンチ』が創刊され、スピード・スリル・セックスといった、若者を夢中にさせる情報を提供していました。が、伊丹十三がエッセイで書いた自らの生活は、『平凡パンチ』とはレベルの違うカッコよさ。ちなみに「カッコいい」は、この頃の若者の間で爆発的に流行した言葉でした。」
p.312

「エッセイストとして伊丹十三を世に出したのは、
山口瞳氏[1926.1.19-1995.8.30]でした。
編集者だった山口氏が仕事を発注していたデザイナーが、
21歳の伊丹十三。その後、伊丹がヨーロッパ滞在のことを
書いた原稿を、寿屋(現・サントリー)
『洋酒天国』編集部にいた山口氏が同誌に掲載したのです。

山口氏は、
『ヨーロッパ退屈日記』が日本のエッセイの嚆矢的存在であったことをよく知っていたことでしょう。」
p.312

「井上ひさし氏[1934.11.16-2010.4.9]は、
[講談社エッセイ賞(1985-2018)]
選考委員を25年間務められたのですが、
選評において何度か書かれているのが、
「エッセイとは自慢話のことである」
という文章です。

自分はこんな体験をした。
こんなことを考えている……
といった記述は全て自慢であり、
それらの自慢に様々な工夫を施し、
臭みを抜いて読者に提供するのが
エッセイなのだ、と。」
p.314

酒井順子『日本エッセイ小史 人はなぜエッセイを書くのか』
講談社 20023年4月刊224ページ 1760円
https://www.amazon.co.jp/dp/4065310067

読書メーター
酒井順子の本棚(登録冊数35冊 刊行年月順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11092015

小説現代の本棚(登録冊数39冊)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11791810

https://note.com/fe1955/n/nb74e11adb53b
酒井順子(1966.9.15- )
「人はなぜエッセイを書くのか
日本エッセイ小史
第一回 エッセイという謎」
『小説現代』2020年9月号


https://note.com/fe1955/n/n2a3ce8bcd110
酒井順子(1966.9.15- )
「人はなぜエッセイを書くのか
日本エッセイ小史
第二回 「随筆」と「エッセイ」の違い」
『小説現代』2020年10月号


https://note.com/fe1955/n/neaf2f72c9ac5
酒井順子(1966.9.15- )
「人はなぜエッセイを書くのか
日本エッセイ小史
第三回 変わりゆく「コラム」」
『小説現代』2020年11月号


https://note.com/fe1955/n/ndcd7ce009b50
酒井順子(1966.9.15- )
「人はなぜエッセイを書くのか
日本エッセイ小史
第四回 「昭和軽薄体」の時代」
『小説現代』2020年12月号



https://note.com/fe1955/n/n1474f3c18934
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第一回 初めての女性誌連載」
『小説新潮』2022年8月号


https://note.com/fe1955/n/n5789709a4899
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
 第二回 『ゼロの焦点』の表と裏」
『小説新潮』2022年9月号


https://note.com/fe1955/n/n3f15b2dc39d9
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第三回 お嬢さん探偵の限界」
『小説新潮』2022年10月号


https://note.com/fe1955/n/nd73f79dc9dd9
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第四回 初めての恋愛小説」
『小説新潮』2022年11月号


https://note.com/fe1955/n/ncc1a2176c33c
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
 第五回 転落するお嬢さん達」
『小説新潮』2022年12月号


https://note.com/fe1955/n/n644b2c0ce468
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第六回 『婦人公論』における松本清張 1」
『小説新潮』2023年1月号

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?