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BitMEXのETHUSDについての解説

BitMEXでETHUSDの無期限スワップ取引が始まった。調達レートは-0.75% ~ +0.75%と Bitcoinの上下2倍まで動き得るので面白いし、まだBotが生息していない(8/9追記、Bot出てきたみたい)市場なので平和的に取引ができる。しかし、この取引の定義がUSD基軸通貨の自分にとっては直観的には分かりにくかったので解説記事を書いてみようと思い立った。

あらかじめ断っておくが、この商品はQuanto Forwardという部類に属する、立派なエキゾチック・デリバティブ商品である。

https://www.financialencyclopedia.net/derivatives/q/quanto-forward.html

取引価格

これは単純で、米ドル建てのETH価格にリンクしたレートでBid/Askが立っており、その価格でポジションを立てる事ができる。例えば499/500でマーケットが立っていたら、価格@500で1枚ロングしたり、価格@499で1枚ショートしたりができる、という事になる。

なお、「リンク」とは、別途Noteに書いた通り資金調達率によってロング/ショートのポジション取りにインセンティブを持たせる事によって現物価格に追従するように設計されている、という意味だ。このBitMEXのETHUSDで取引しているものは現物ETHとは全く異なるデリバティブ取引であり、もし裁定取引をする人がいなくなれば、ETHUSD価格はあっという間に現物価格と乖離する事となるだろう。

儲け

例えば、@500で1枚ロングしたとして、価格が上昇し@550で売れるといくらの儲けになるか?
答えは

( 550 - 500 ) x 0.000001 XBT = 0.000050 XBT = 5000sat

すなわち、ETHUSD価格が1ドル上昇すると、元々の定義にある通り100sat儲かるわけなので、その50倍で5000sat の儲けとなる。下落の場合はその逆だ。

XBT建てでいくら儲かるかの計算は単純で分かりやすい。

米ドル基軸通貨の場合の考え方

ここから話はトリッキーになる。
ビットコインを基軸通貨としている人の場合は上記の通りであるが、米ドル基軸通貨の人の場合には、「じゃ、5000satは米ドルでいくらなの?」という話だ。
今のXBT価格が7500ドルだとすると、

( 0.00005 x 7500 ) = $0.375 = 37.5cent

がドル建ての儲けだ。
しかし、上記の式をみてわかる通り、儲けの額がXBTUSDのレートに依存してしまっている。米ドル基軸通貨の人にとって自分の儲けがXBTの価格の影響を受けてしまうのは不本意というものだ。実際どのように影響を受けるか、以下に表にした。(なお、0が増えると読む気をなくすので、ETHUSDスワップを10,000 枚を買う事を前提とした。)

@500で10,000枚ロングエントリーしたとして、@600に値上がりしたとすると、1XBT儲かる事になる。が、ドル建ての世界においてこの儲けはXBTUSDの価格の居所次第である。

単純に ETH1.00 を米ドルベースで買いたい場合

では、単純にETH/USDの現物を1枚買うのと同じリスクをBitMEXのETHUSDで買うためにはこのスワップ契約を何枚買えばいいのか?答えは、 

N = 1/B x 1,000,000
N : 購入枚数
B: 米ドル建てXBT価格

である。例えば、XBTUSDが7500だった場合、1ETHロングと同じポジションを取るためには ETHUSDを 1 / 7500 x 1,000,000 = 133.333枚を購入する必要がある。

以下に算出過程を示す。

1) USDMTM = E x N / 1,000,000 x B
2) USDMTM' = ( E + $1.00 ) x N / 1,000,000 x B
3) USDMTM' - USDMTM = $1.00

E : 当初の ETHUSD 価格
B : XBTUSD 価格 (不変とする)
N : 購入枚数
USDMTM : USD建て評価額 

1) 式は、ETHUSD契約をロングした際の評価額を表し、2)式はそれが1ドル上がった際の評価額を表す。その差は3) 式で定義する通り1.00ドルであり、この3式をNについて解くと結局ETHUSD価格が消えて購入すべき枚数はXBTUSDの価格にのみ依存することがわかる。

ETHUSD購入枚数ズレ

しかし、ここで問題が生じる。先の枚数の式を再掲すると、

N = 1/XBTUSD x 1,000,000
N : 購入枚数

購入枚数はXBTUSD価格に依存しているため、例えばXBTが値下がりするとNが増加してしまう。

例えばXBTUSD が 7500から 7000 に値下がりしたとすると、必要購入枚数は

1) 1 / 7500 x 1e6 = 133.3333
2) 1 / 7000 x 1e6 = 142.8571

これをもう少し範囲を拡大してグラフに示すと以下の通りとなる。まぁ、普通の反比例のグラフだ。

従って、例えばBitMEXのETHUSDのショートを使って手持ちのETHの価格ヘッジをしようとすると、XBTUSDの価格を見ながらETHUSDの購入枚数を調整していく事になる。

しかも、
・ETHUSDをショートしてヘッジしていて、
・XBTUSDが値下がりしているとして、
・ETHUSDの売りヘッジ量増やさなきゃ、
・あれ?ETHUSDも値下がりしているぞ
という事になると、ETHUSDの値段が下がっている時に、それをさらに売り増しする事になる。逆にXBTUSDの値段が上がるとオーバーヘッジになるのでETHUSDを買い戻すことになるのだが、この時にETHUSDもまとめて値上がりしていると、高く買うことになる。結果として損失が発生するのでこのような取引には注意が必要だ。

面白いところは、上記の逆のシナリオである。つまり
・ETHUSDをショートしてヘッジしていて、
・XBTUSDが値下がりしているとして、
・ETHUSDの売りヘッジ量を増やさなきゃ
・おや?ETHUSDは値上がりしているぞ
とすると、ETHUSDの売り増しを高い価格で行う事になる。逆にXBTUSDの値段が上がってETHUSDを買い戻すときに、ETHUSDは値下がりしているとすると、安く買い戻す事になる。これにより儲けが出てくるわけなのだが、残念ながらこのシナリオが発生する可能性はETHUSD vs XBTUSDの価格相関を見るに、高くなさそうである。

そろそろ、BitMEXと周辺取引所からデルタニュートラルでお金稼ぐ記事を書こうかな。

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FcukOKsan

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プログラマ、機関投資家向けデリバティブ金融商品組成、仮想通貨トレーダー/採掘者Tw: @FcukOKsan

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