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そもそもFRって何?どこからきたの?

なんか、いきなり銀座のバーのマスターから褒められちゃいました。

ということで、クリプトトレーダーの皆様。ここのFundingRateについて、そもそも何なのよ?ってのを、需要が無いかもしれないけども、酔っぱらった勢いで解説しちゃいたいと思います。

酔っぱらった勢い → calvados のレモンソーダ割りを飲みつつ書いてます。
calvados をなんて買ったかというと、こんな酔っぱらったかわいい鳥の動画を見て、リンゴの発酵したのはうまそうだなぁ、と思ったためです。

さて、FRって何?

って言うと、

Funding Rate の頭文字です。
日本語訳だと「資金調達率」って訳されてますね。

この「資金調達率」、確かに Funding Rate の直訳として、その原義としてもとても正しいんですが、Perpetual Swap / 無期限先物を取引してるだけの人からしたら、

し、資金なんて調達してねーし・・・
だれが好き好んで借金しとるんやねん!!!

って突っ込みたくなると思います。資金調達してないのに資金調達の金利を払わされるんですか?と。ミナミの帝王でもないのに、なぜか金利を受け取れるんですか?と。ワイ、貸金業法大丈夫かいな、法定利息超えて払っちゃったりしてないかしら?ア〇ィーレ法律事務所出てこないかしら?とか、いろいろ心配事は絶えません。

結論、FRの正体はスワップポイントです。

いきなりそんな事言われても、シンジローですよね。
スワップポイントって何?っていうと、FRです、って答えちゃうんです。つまり、FRとスワポは同じ事を言っています。シンジロー構文なんです。

デリバティブなんです

FXのスワップポイントなら、皆さんなんとなく雰囲気つかめますか?

暗号資産/仮想通貨取引における Perpetual Swap ってのは、FXとほぼ同じ仕組みなんです。なので、FRの受け払いってのはFXにおけるスワップポイントの受け払いとほぼ同じです。

さて、FXのスワップポイントで、ドル円でドルロングだと、

日本円は低金利で、米ドルは高金利だから、米ドルロングすると金利もらえちゃいますよ

って説明がそこかしこでされてると思います。

これ、わかったつもりになるけど、米ドル買うと米ドル金利がもらえる、とか、そういう単純な話では無いんです。

FXで取引してるのって、外貨預金と同じだけど、なぜか預けたお金の数倍の金額の取引できちゃうやつって思ってませんか?
(例えば、米ドルロングするとは、海外旅行の時と同じように実際に円を売却して米ドルを購入してる。それが、なぜか預けた資金の何倍もの取引金額でできちゃう・・・)

違います。

FXで取引してるのはデリバティブです。円の現金を渡して、ドルの現金をもらってるのではありません。今の相場でいうと、取引相手に諭吉1枚・英世3枚(13000円)渡して、ベンジャミンフランクリン1枚($100)もらってるわけではありません。

FXで取引しているのは、実は「「明日、13000円を渡すので、100ドルくださいね」っていう約束」です。(ドルロング/円ショートの場合。わかりやすさの為、ちょっとデフォルメしてます)

なので、ドル1枚ロング~~~、とか言って、ボタンをポチっとしても、ポチった瞬間には、あなたの口座からお金は一銭も動いてません。ただ「明日ドルをもらって円を渡しますね!」っていう約束を交わしただけにすぎません。

で、明日になったら何が起きるか、っていうと、

「あの、、、ドル円の現金の交換を、もう1日先延ばしに、、、しませんか?」

っていう、合意が自動的に行われます。そして、いざ翌日になると、同じように交換をもう1日先延ばしにします。

ここが大事なところです。

そうすると、あなたは円の支払いを一日先延ばしにする代わりに、ドルの受け取りも1日先延ばしになるのです。いわばツケですね。

あなたの目線からすると、相手からドルを受け取るツケ。
その代わり、相手に円を支払うツケ。

なので、あなたはドルを相手に「貸している」事になるのです。
そして、相手に対する円の支払いも先延ばしにしているので、あなたは円を「借りている」事になります。

これがスワップポイント=資金調達率の正体です。

本来、受払すべきであったドル・円のそれぞれの代金の受払を先延ばしにする代わりに、先延ばしについてくる金利を受け取り/支払う必要があります。それがスワップポイント=FRの正体です。

さて、支払いを先延ばしにしている間に現物(お札の交換とか)為替レートが動きますね。すると、それに連動して先延ばしにしている決済金額も調整する必要があります。

その調整分が「含み益」「含み損」として証拠金から差し引かれる事になります。

金利が違うよね

さて、ご存知の通り、現在、日本円を銀行に預けても全然利息がもらえません。(かつては、10000円預けたら年に700円とか利息もらえる時代もあったんですよ)他方、アメリカはコロナ後のインフレ退治とか言って、金利を上げ始めています。

現状、円を借りるときの金利は非常に低く、米ドルを借りる時の金利はそれよりも遥かに高くなっています。

先に述べた通り、FXの取引においては、「交換する金額の支払いを先延ばし」にしているので、その分(1日分)の金利を相互に決済する必要があります。

あなたがドルロングの場合、相手からのドルの受け取りを1日待ってあげるので、1日分のドル金利を受け取る事になりますし、その代わり、1日、相手に対して円を支払わないので、そのぶん、円の金利を支払います。

この時、現在の市場環境では「ドル金利 > 円金利」なので、ドルロングの場合その差額をスワップポイントとして受け取る事になるのです。

(実は、ドル金利・円金利から計算される理論的なFXの価格というのがあるのですが、現実のFXの価格はそこからもズレていて、そのズレの部分もまとめてスワップポイントとして決済されています。そのうち気が向いたら解説記事書きますが、ここを深く掘りたい方はhttps://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2007/data/wp07j13.pdf  とか読むといいかもしれません)

ビットコインの場合は?

受け渡しを先延ばしにするよ、っていう考え方は同じです。

ビットコインの "Perpetual Swap" と呼ばれているものは、実際にビットコインを買っているのではなく、「明日ビットコインをもらうから、代金も明日支払うね」っていう約束をしているにすぎません。(以下、為替の世界のFXの事を暗号資産の世界のPerpetual Swapと表します)

もう4年も前ですが、こんな記事を書きました。

ここでも「資金調達率」の説明をしてますが、FXと同じことです。

Perpetual Swap でBTCをロングする場合、「明日BTCください。その代わり明日代金の米ドルを払います」っていう契約を今日行う事と同義です。

引用の記事ではBitMEXの話をしてますが、bybit でも、binance でも、OKXでも、どこでも同じです。

BTCロングの場合にFRを支払うケースが多いですが、その場合、このFR、すなわち資金調達率の内訳を分解すると、BTC金利 < 米ドル金利、という結論に帰着します。Perpetual SwapにおいてBTCロングとは、BTCの受け取りを1日先延ばし=BTCを相手に貸していて、同時に米ドルを相手から借りている、という状態になります。したがって、BTC金利<米ドル金利、であれば、相手にスワップポイントを支払う必要があるのです。

なお、FXと異なり、暗号資産では各取引所では8時間ごとの金利の授受になってます(FTXは1時間)ので、このような決済が8時間ごとに行われる事になるのです。

金利が先か、Perpetual Swap の価格が先か

よく市場を観察している方だとご存知だと思いますが、現物の価格(実際にUSDTやUSDC等を相手に渡してBTCをもらう取引)とPerpetual Swap の価格にはわずかに差があります。

で、実際に取引所のルールを見てみると、Perpetual Swap がまず市場参加者によって発見され、FRはその価格を元に計算される、という事になっています。(実は、この辺はFXのスワップポイントと異なる)

Perpetual Swap では、「手元にBTCを持ってないけども、明日BTCを相手に渡してUSDを受け取る」という取引が簡単にできます。
なぜなら、Perpetual Swap は「受け渡しの約束」に過ぎず、明日になれば、実際のBTC / USD の受け渡しはさらにその翌日に延期されるため、手元にBTCを保有しておく必要が無いためです。

すると、現物ではやりづらい「手元にBTC無いけど売る」ってのがやりやすくなります。(もしPerpetual Swapが無い世界でショートをやろうとすると、1.現物借りる、2. 市場で借りてきた現物を売る、3.借りた現物を返す際に市場から現物を買い戻す、4.貸主に現物を返却する、という、作業が必要です)

また、レバレッジをかけやすいのもPerpetual Swap の特徴です。1BTCの買いを入れるにしても、手元に1BTCの代金を保有している必要はありません。契約した内容は「BTCを明日もらう代わりにUSDを明日払うね」という「差額の決済の約束」をしているに過ぎない為です。1日に10%価格が動くとしたら、1BTC = 400万円であれば、40万円あれば1BTCの取引は可能という事になります。

さて、このようにロングするにもショートするにも簡単便利な Perpetual Swap なのですが、そうすると何が起きるかっていうと、「やりすぎ」ちゃうんです。人間の悲しい性ですね。市場参加者の強欲な所が価格によく表れてきます。

強気の参加者が多い場合、現物買うよりもレバレッジをかけてPerpetual買った方が資金効率が良い。結果、Perpetual価格が現物価格よりも上に乖離します。逆もまた然りです。弱気な参加者が多い場合、Perpetual価格は現物価格よりも下に乖離します。

それ以外にも、ヘッジニーズが強い(暗号資産界隈でよくみられる現象としては、とある将来の一時点にトークンを保有しているとエアドロの権利が確定するけども、トークン価格の下落からは身を守りたい)参加者が多いと、みんな現物を買ってPerpetualを売るのでPerpの価格が現物より下に乖離します。最近だとOMG祭りは楽しかったですね。

それ以外にも様々な理由で現物とPerpetual の間には価格差(乖離)ができるのですが、この価格差が出ると、金利 (FR) のやり取りが発生します。

価格差と金利の関係とは?

Perpetualの価格はあくまでも「現物の受け渡しを延期する」事を前提とした、とはいえ、交換するならこのレートだよね、っていう価格です。なので、基本的には現物価格と同じ(厳密にいうと少し違うのだけど)価格になる筈です。

ところが、前段で述べた通り、いろいろな理由(要は需給の歪みなのですが)で現物価格との差が発生してしまいます。

さて、BTCにはBTCの、USDにはUSDの金利がもともと存在する筈で、例えば、BTCをレンディングに回すと金利もらえますよね。USDも預金に出すと金利もらえる、あるいは借りてくるなら金利を払う事になります。

でもPerpetual Swap の価格はこのBTCやUSDの貸し借りの金利はさておき、市場で出会ったところに定まります。

もしPerpetual SwapにFRの概念がついてこないとどうなるかというと、Perpetual Swap でBTCロングしつつ、実際にBTCを借りてきてUSDは預金に出して・・・とかごにょごにょする事で裁定取引が可能になります。

ここを掘り始めるとデリバティブの教科書が一冊書きあがっちゃって大変なのでやりませんが、とにかくPerpetual Swapと現物取引の間で無リスクでお金が儲かっちゃう事になり、その裁定を埋める方向の取引に Perpetual Swapの価格がズレる事になります。(実は、これで現物とPerpetual Swapの間で価格がズレまくってたのがbitFlyerのかつてのFXです)

実はそれでも取引は成り立つ(FRの受払が無いスワップは先物取引と同義なので)のですが、そうするとPerpetual Swapと現物の価格が際限なくズレていってしまう事になり、「決済を先延ばしにする事を繰り返す」という商品性を維持する上で不便なのです。(BTC価格とPerpetual Swap 価格があまりにも違い過ぎてワケワカラン、ってなります)ということで、その価格のズレの部分を先に受け渡す事で、Perpetual Swap の価格を「なんちゃって」現物価格と同じ程度に維持する工夫を導入する事にし、それが8時間毎のFRの授受という事になります。

つまり、Perpetual Swap では、決済の先延ばしにまつわる暗黙的なBTCおよびUSDの貸し借りが行われており、その上で現物 / Perpetual Swap の乖離を防ぐためのお金のやりとりも必要で、この「お金のやりとり」はこの暗黙的な貸借に対する「金利」として考える事ができるよね、という事で、これらをまとめて Funding Rate ( 資金調達率 ) と呼ぶ事にしたよ、という事でした。

以上、酔っぱらった状態で書いてるのでTypo等あるかもしれませんが、とりあえず勢いで公開しちゃいます。



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