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【ドイツ事情】ガス、石油なしでドイツの冬を越せる? #376

※ 音声はコチラ↓ stand.fm で平日の毎朝7時に配信しています。

Hallo zusammen!
Mein Name ist Hiromi Shirai.
『白井博士のドイツ語講座』へようこそ。
白井宏美です。


毎週水曜日はドイツ事情について、私の体験も踏まえてお話しています。


先週の第371回では「さすがに中国と距離を取り始める」というテーマでお話しました。


今日は「ガス、石油なしでドイツの冬を越せる?」というテーマでお話します。


ドイツでは去年の今頃、ロシアのウクライナ侵攻の影響もあり連日、ガス・電力不足、エネルギー危機が叫ばれ、暖房の設定温度を低くするように、シャワーの回数を減らすようになど注意が呼びかけられていました。

私はそれについて「もう快適な冬は過ごせない!?」というテーマで第160回にお話しました。

その後もどうなるのか心配していましたが、なんと今後は大変なことになりそうです。


というのは、ドイツ連邦議会(下院)が8日、暖房法案、建造物エネルギー法案を可決したからです。

来年1月以降、ガスや石油による暖房システムの新設を原則禁止して、新設される住宅の暖房設備は少なくとも65%の再生可能エネルギーで運転することを義務付けるという法案です。


国民の反発が強く、産業界にも衝撃が広がっているようです。
「緑の党」が主導しましたが、政権内でも対立が起こっています。


現在、ドイツでは主にガスが暖房に使われているというのに困ったことになりそうです。
2022年には4300万のアパートと一戸建てのほぼ半数が天然ガスで暖房されています。
2位は石油暖房ほぼ4分の1を占めます。


連邦政府は、「既存の暖房システムを直ちに交換する義務はない」と述べており、多くの規制が施行されるのは数年後とのことです。

それでも2045年には、すべて再生可能エネルギーにする計画です。


は使って良いというのがおもしろいところですけどね。


近年、暖房システムはますます高額になっています。
ドイツ消費者団体連合会(Verbraucherzentrale Bundesverband)によりますと、2021年にはヒートポンプが設置費込みで20,000ユーロだったところが、2年後には平均31,000ユーロになりました。
ペレット暖房システムについても、2021年1月には工事費込みで27,000ユーロだったものが、2023年3月には37,000ユーロとなり、37%の値上げとなりました。

国から補助金が出るとはいえ、大きな出費になるでしょう。
特に、低所得層の暮らしはさらに厳しくなるでしょうね。


北海道よりも北に位置するドイツの冬は本当に寒いです。私もドイツでマイナス20度を体験したことがあります。

石油やガスを使えなくするなんて、考えただけでもゾッとします。
不安定で不十分な暖房は命にかかわります。


今後のドイツの冬が心配でなりません。


皆さんはどう思われますか?


それでは、また明日。
Bis morgen.
Tschüs!


【参考HP】


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