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【ドイツ事情】 自己肯定感が高いとは?#313

※ 音声はコチラ↓ stand.fm で平日の毎朝7時に配信しています。

Hallo zusammen!
Mein Name ist Hiromi Shirai.
『白井博士のドイツ語講座』へようこそ。
白井宏美です。


毎週水曜日はドイツ事情について、私の体験も踏まえてお話しています。


前回は「テーブルごとに担当者が決まっている」というテーマでお話しました。

今日はドイツでは「自己肯定感が高いとは?」というテーマでお話します。


日本の内閣府は、平成30(2018)年度に「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」を行っています。

日本を含めた7か国(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、韓国)の満13歳から満29歳までの男女を対象に実施したインターネット調査です。


それによりますと「自分自身に満足している」かどうかという問いに「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」と答えた割合が、ドイツは81.8%なのに対して、日本は45.1%です。

大きな差がありますよね。

また「自分には長所があると感じている」かどうかという問いには
「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」と答えた割合が、ドイツは91.4%なのに対して日本は62.2%で、7か国の中でドイツは最も高く日本は最も低かったのです。


このような自己肯定感が、なぜドイツは高く日本は低いのでしょうか。


様々な要因があるでしょうが、私が身をもって実感していることがあります。


それは、日本人にとって「当たり前にできること」が世界から見ると高水準であることです。


例をあげますね。

ドイツである時、友人の家でパーティーをすることになって、料理もみんなでしようという話になりました。

ドイツ人5~6人と「料理は得意かどうか」って聞き合っていた時、みんな「得意だ!」と自信満々なのです。自信がないのは私だけで「得意というほどではない」と答えていました。

でも、実際に友人宅で料理を始めたら、みんなそれほど上手ではなく、「すごいね!」「上手じゃない!」とびっくりされ私ばかりが褒められました。なんと私が一番料理ができたのです。


「できる」「得意」というレベルが違うのだなあと、とても驚きました。


ドイツ人の友人らは自分の料理の能力に満足し自慢さえできるほどだったのに対して、彼らより上手に料理ができるにも関わらず私は自分の料理の能力に満足できず、こんなのは当たり前で、ましてや長所だなんて思ってもみなかったのです。

それは日本では周りの友人や知り合いがもっと料理が上手だったからです。


また、ある授業で20人ほどの学生たちに聞いてみたことがあります。
「楽器ができるか」と尋ねると、「できない」と答える人が多かったのです。

でも詳しく聞いてみると、全員がリコーダーやハーモニカは吹けますし、ピアノ、エレクトーン、ギター、バイオリン、ドラムなど練習したことがあったのです。

「みんな、楽器ができるじゃないですか。」と私が言うと、「いや、リコーダーとかハーモニカとか吹けるのは当たり前ですし。」とか、ピアノやギターなどについても「そりゃあ簡単な曲なら弾けますけど、できるうちに入らない」と言います。


つまり料理でも楽器でも、日本人ができるレベルが世界から見ると高いのです。

ですから、他の国では「できる」と思えることが、日本では「当たり前」としか思えないのです。

これも自己肯定感が低いという結果が出てしまう理由のひとつだと考えています。


皆さんはどう思われますか?


それでは、このあとも素敵な1日を!
Einen schönen Tag noch!
Tschüs!



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