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【ドイツ事情】 拍手ではなく握り拳で机をたたく #323

※ 音声はコチラ↓ stand.fm で平日の毎朝7時に配信しています。

Hallo zusammen!
Mein Name ist Hiromi Shirai.
『白井博士のドイツ語講座』へようこそ。
白井宏美です。


毎週水曜日はドイツ事情について、私の体験も踏まえてお話しています。


先週の第318回では「手のあげ方に注意」というテーマでお話しました。

その中で、ドイツの大学では意見や質問がある時、人差し指やボールペンをあげるという話をしましたが、ほかにも驚いたことがあります。


大学の講義が終わった時や、誰かがプレゼンをし終わった時、聴いていた学生がみんな握り拳で机をコンコンとたたくのです。


初めて体験した時は何が起こっているのだろうと戸惑いましたが、これは拍手の代わりなのです。

Akademisches Klopfen とも呼ばれています。

akademisch は「大学の、学術的な、アカデミックな」という意味で
Klopfen は「(トントンと)たたくこと、ノック」という意味です。


コンサート、演劇、オペラなどでは、日本と同じように拍手をします。


ではなぜ、大学では拍手ではなく握り拳で机をたたくのでしょうか?


この問題について体系的に研究されていないため、明確な理由はわかっていないのですが、Die Deutsche Welle (DW) の記事によりますといくつか説があるようです。

一つの説は、ドイツの18世紀頃、大学へ新入生を迎え入れる際、太鼓をたたいて歓迎したのですが、教授の講義が気に入らない時も学生は太鼓をたたいたようです。

18世紀末には、学生は不愉快なことがあると、太鼓をたたくだけではなく握り拳で机をたたくようにもなり、それが次第に教授へ拍手を送る意味へと変化していったという説です。


もう一つの説は、大学で講義を受けている学生は片手しか自由に使えないからだというものです。もう片方の手は、ペンやノートを持つのに使っていたので、学生たちは両手を使う拍手から片手でできる机たたきに切り替えたとのことです。


なんともドイツらしい合理的な考え方だなぁと思いました。


大学だけではなく会議などでも拍手ではなく握り拳で机をたたくことがあります。

たとえば、ドイツ映画『ヒトラーのための虐殺会議』の予告編で48秒あたりから、会議が終わって参加者が握り拳で机をたたく様子を見ることができます。

ちなみに、この本予告の16秒あたりで先週お話した「ナチスの敬礼」も出てきます。


皆さんはどのような感想を持たれましたか?


それでは、このあとも素敵な1日を!
Einen schönen Tag noch!
Tschüs!



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