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【イベントレポ】起業家「岡田武史」と考える、これからの仕事づくりとは?

超ビジョン・超実践プログラム「Bari Challenge University×774-nanashi-」(以下、BCU×774)の開催に先だって、座談会イベント『起業家「岡田武史」と考える、これからの仕事づくりとは?~あなたの「未来の選択肢」、教えてください。~』を、1/29(土)に開催しました。

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本座談会は、BCU学長、岡田武史と、未来のつくり手としての参加者のみなさんと、「これからの仕事づくり」について考え話し合いました。オンラインで実施し、当日の参加者は84人。日本全国のみならず、ドイツやフィンランドなどの海外からもご参加いただきました。こちらの記事では、イベントの様子をレポートします。

▽本座談会の詳細▽

▽Bari Challenge University×774-nanashi- の詳細▽

未来に生きる人が、生きていける世界をつくる。

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イベントの1部では、起業家としての岡田武史より、参加者の皆さんとの対話のきっかけとして、これまでの経験からくる「これからの仕事づくり」の仮説を、質問形式でお話ししました。

Q.1 企業理念「次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する」を据えて様々な事業をされていますが、これからの時代をどのように考えていますか?

岡田:まずこの企業理念ですが、実は僕は環境保護活動を40年ぐらいやっていて、2002年に南アフリカで行われた環境サミットに、NPOの一員として行きました。

環境の協定や国際条約は、政府同士の利害関係が対立して、なかなかうまくいかないだろうなと思っていたので、それならと、NPO同士がみんなが手つないで、政府や国連にプッシュする、そういうことができないかなと思っていました。

テレビ局の取材の効果もあり、いろんなNPOのトップが僕と対談してくれました。ところが蓋を開けてみると、「あなたの企業は環境に良い商品がありますね。はいこの環境マークをつけても良いですよ。」とスポンサー料を​もらって​やるような活動で、そういう現実を見て絶望して帰ってきました。

そんな時、多摩大学の教授である田坂広志先生と出会いました。田坂先生と会って話してたら、「目に見えない資本にお金が回るような社会になったらまだまだ十分やっていけるよ」と話をされて、そこから僕は「まだ可能性が十分あるかもしれない」と思い直しました。

物の豊かさというのは、数字で表せる高い・安い・売上・GDPのような目に見える資本。そして、心の豊かさは目に見えない資本。数字で表せない、知恵・信頼・共感とかね。そういう物を大切にするような社会だったら持続可能だし、みんながこの地球を守っていけるかもしれない。

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そう考えていたときに会社を経営することになりました。そのため、有名な経営者たちに相談したら、皆さんが「ビジョン・ミッション・理念が大切だ」とおっしゃいました。

僕的には、いやもっと何か経営のハウツーを教えてくださいと思いましたが(笑)、皆さんがおっしゃったので、僕はいろんな会社の企業理念やミッションステートメントをたくさん調べました。ですが、どうもピンときませんでした。

でも、いよいよ会社を立ち上げる時期が迫ってきて、もう企業理念を作らなきゃいけなくなり、今までやってきた社会活動などの根底にある思いを理念にしたんですよ。

「次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する」と。

これからどういう社会になるかは、みんなが不安だと思うし、これからの社会を生きていくのは若い人たちです。僕が教えるとかもうそんな時代じゃない。アインシュタインの名言に「どんな問題も、それをつくり出したときの意識レベルでは解決できない。」というのがありますが、この問題ある世界は僕らが作り出したものだと思っています。

解決策を見つけるのは新しい意識、これからそこを生きていく、今日ここへ参加してくれてるような若い人たちです。これは無責任だけど、僕らはそのための場を整えたり、それができるような背中を押してあげたりとか、そういうことをするべきなんじゃないかなと思っています。

Q2. 未来を切り開く仕事は、どのように作られていくと思いますか?ぜひその背景として、創業から里山スタジアム構想のストーリーを交えながら岡田さんの考えを教えてください。

岡田:リスクを冒してチャレンジしたときに、人がついてくるんだと思いました。自分が有名になる・金持ちになるとは違う、私利私欲のないところに向かって必死になって、リスクを冒してチャレンジしてる人に何かついていきたくなる。そういうもんなんですよね。

僕が最初今治に行った時、「どうせ有名人が来てちょちょっとやって帰るだけだろう」「骨を埋めるつもりあるのか」「無理だよ」など散々言われて、自分の車にガムテープでポスター貼って街中走ったり、駅でビラ配ったり、何しても駄目でした。それで僕らはいろんなことに挑戦しました。

FC今治のスタッフはみんな外から集まってきたので、今治出身の友達がいる人は誰もいません。FC今治の仲間うちでご飯も飲み会も仕事もしていたんです。そのうちに、そうか自分たちが今治の皆さんに会いに行ったり、話しに行ったりしていかなきゃいけないと気づきました。

それこそBUCを立ち上げ、大学生集めたワークショップやったり、孫の手活動でおじいちゃんおばあちゃんの困りごとを解決したり。いろんな試行錯誤をして、そしてようやく去年ぐらいから変わり始めました。よく地方創生には若者の仕事を作ることと言いますが、今治に若者の仕事を作ったって東京の人はきません。

シビックプライドとよく言いますが、ここにいる人が今治を誇り、生き生きと生きてたら、人が集まってくる。地方創生で一番大事なことはそれじゃないでしょうか。

いま、今治は年間で人口が1500人増えています。でも、それがなぜかと言ったら僕らじゃなくて。地元の人たちが生き生きとして楽しそうな発信をSNSでしているんです。そういうのを見たら、行ってみたいなってなりますよね。そういう、今治が今動き出したんです。

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そんなタイミングで、僕が40億の資金調達しなきゃいけなくなりました。FC今治がJ2に行くために1万人のスタジアムが必要になったのです。設計図もでき、工事業者も決まり、あと40億集めるだけになったときは本当に倒れそうでした。

この時、今治に投資してくれって言っても誰もしてくれない。こういうものを作ってこういうふうなことをするんだっていうストーリーに投資してもらおうと思って、365日人が集う心の拠り所となる里山スタジアムを構想しました。

スタジアムの土手を畑にしたり、ワインを取るブドウを植えたり、障害者との通所施設を作ったり。コンクリートで完成した後は朽ちていくだけのようなスタジアムじゃなくて、どんどん緑豊かになって、地元の人の心のよりどころとして365日人が集まってくる里山のようなスタジアムを作るんです。

IT技術やAIが進歩して、人生における失敗が少なくなるのは素晴らしいこと。でも人の幸せってのはそれだけじゃない。困難を乗り越えてまた再チャレンジして、そして成長したり、または人と絆ができて助け合ったり、そういうもう一つの幸せ、これを提供できるのはこの里山スタジアムですと。

それを実現しようと、そうやってホラに近い夢を語り、そしてリスクを冒してチャレンジしてきました。そしたら、本当に無理だろうと思っていた、5000人のスタジアムができ、それが満員になり、そして今度は土地を無償貸与していただき、40億円​の建設資金も調達でき、企業版ふるさと納税を議会が認めてくれ、本当に自分でも信じられないようなことが起こりました。未来って、そうやってできるんですね。

未来っていうのは、最初の一歩を踏み出さないと何も進まない。踏み出すと違う景色が見えてきます。議論してるときにはもう道がないように見える。ところが一歩踏み出すと横に道があるのが見えてきて、また一歩踏み出すと助けてくれる人が出てきます。そこで立ち止まっていると誰も助けてくれません。だから本当に必死になっていたら助けが出てくる、そんなイメージを持っています。

Q3.最後の質問です。今後世界にどんな仕事だったり、事業、組織が生まれてほしいですか。

岡田:僕には3人の子ども、そして孫もいますが、彼らにどういう社会を残すのかと考えています。僕自身は70年戦争がない、高度成長という最高の時代を生きてきました。

僕たちが豊かだと思って作ってきた、それこそ死に物狂いで働いてきた時代を経て、出来上がった社会を見たときに、いまは1100兆円を超える財政赤字で、MMT理論(現代貨幣理論)でどれだけ借金してもいいっていう人もいるけれど、僕は子どもたちに借金を先送りしてるとしか思えないわけです。環境破壊など本当に俺このまま死んでいっていいんだろうかと、ただただその思いがスタートなんですよ。

未来に生きる人たち、これからの仕事やどんな仕事というより、生きていける世界を作っていかなきゃいけないんですよ。

これからの時代、IT革命が進む中で、勝ち組と負け組みたいな感じで分断が起こってくることもあるでしょう。効率だけで、うまく失敗のない人生を歩むだけで満足する人も増えてくると思います。だけど、失敗したけどそれを助け合ったり、またはそこにもう1回立ち上がって成長したりとか、僕はそういう人を残していきたいと思っています。

能力と情熱を生かすプラスの考え方。

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イベントの2部は、座談会形式で3名の参加者からの質問に、岡田や他の参加者が熱いメッセージで応えました。

一歩を踏み出すためのプログラムが、3月にスタート。

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岡田:「BCUを始めたきっかけは、この社会を作っていく、主体的に生きる新しいリーダーを出したいなという思いでした。次の時代を作っていく人が、チャレンジする背中を押したいんですよね。やっぱり僕だって人生の中でいろんな人に背中を押されて、なかなか勇気が出ないときに一歩踏み出せたこともありましたから。そういう意味で、バリチャレはその一歩を踏み出せる背中を押すためのプロジェクトだと思います。

その中で、こういうプロジェクトを本当は1ヶ月やりたいなとか、もっと何かやりたかったなと思う気持ちもありました。そうして、毎回いろんなことにトライして進化させてきました。

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今回、なぜ774と一緒にやることになったのかというと、774は元々はNPO法人ETIC.から紹介されたスペイン・バスク地方の「モンドラゴンチームアカデミー(Mondragon Team Academy:MTA)」の血を引いてるプログラムです。774は、初めて出会う参加者同士でチームを組み、何も無いところからプロダクトやサービスを生み出します。プログラムを修了するには一定の売上を稼ぐことが条件です。

要するに、私たちは経済社会を批判してるみたいだけど、お金がどうやって生み出されてるのかもよくわかってないのに批判してる。「それだったらともかくやってみよう!」というイメージがあって、すごく素晴らしいプログラムだなと思いました。

774とタイアップすることによって、まず今の資本主義の経済がどうやって回ってんだろうということを実感します。それを踏まえて「よし!ここからこうしよう」と一歩を踏み出す、社会変革するリーダーが出てきてくれたらなと、期待しています。

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BCU×774プログラムは、2022年3月25日(金)から始まります。この場に集まる仲間や支援者たちと総がかりで、これからの時代の、新たな仕事づくりに挑んでいきます。実社会での試行錯誤から兆しを掴み、未来を共につくる超実践プログラムにご興味のある方は、以下をご覧ください。

▽Bari Challenge University×774-nanashi- の詳細▽