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選択と実行|六角勇人

profile
#71  六角勇人
出身高校:都立三鷹高校
ポジション:MF、DF
長い手足を活かしたボールキープが持ち味の長身MF。部活動と資格試験の勉強を両立し、今季リーグ戦にも出場した。

六角勇人からのラストメッセージ

12/5、締切ギリギリでこのブログを書いてます。最近は常にそわそわしています。いや、そわそわというよりは不安です。というか大不安です。それは予備試験論文式試験の合否が気になって気になって仕方ないからです。「これは受かってんじゃね?」と思う日もあれば、「うわ、間違いなく落ちてるわ」と思う日もあります。その不安のせいで最近は何度も何度も誰かの合格体験記やら不合格体験記やらを漁っては自分の都合のいいように解釈して落ち着くという23年間生きてきた中で一番生産性のない行為を繰り返しています。そんな中で、結果が出ていない今だからこそ、結果の良し悪しに左右されることなく、4年間で自分がした「選択と実行」の振り返り、そしてそこから学んだことを綴っておきたいと思います。


4年間で様々な選択をしてきました。伊藤塾に入塾することだったり、予備試験を受験することだったり。じゃんけんをするしないだってそうだし、フリーの時間に何をするかだってそう。大から小まで、サッカーから勉強まで様々な選択をしてきました。全部振り返るにはあまりに紙幅が足りないので、数えきれないほどしてきた選択の中で最も悩みに悩んで決断した選択について振り返ります。それは、2度の休部の決断です。1度目は3年生時、2度目は4年生時。多分合計して10ヶ月くらいは勉強だけしてました。この10ヶ月はびっくりするくらい無色透明で起伏のないものでした。毎日起きて六法を開いて、過去問を解いたり、論証を呪文のように唱え続けたり、答練の復習をしたり。やることに多少の変化はあれど常に何かを読んで何かを書いているという点では同じです。1度目について。休部するかしないかかなり悩みました。3年生時にリーグ戦に出て活躍したい、サッカーを楽しみたいという気持ちと、2年生時に短答すら大差落ちしたことからくる将来への不安が天秤にかかりました。悩んだ結果、ここで必死に勉強して貯金しておけば最後4年生時にまたみんなと最初から最後までサッカーできると考え休部することにしました。ただ、この見通しはあまりに甘く、浅はかなものでした。休部中毎日必死に勉強したけど短答合格がやっとで、論文合格なんていうのは夢のまた夢。正直、勉強だけに集中すれば受かるだろう程度に思っていましたが勘違いが過ぎました。結局、論文の手応えはないまま休部期間は終わりチームに合流しました。2度目について。1度目とは比にならないくらい悩みました。競技としてサッカーをできる最後のチャンスだったし、何よりサ式のみんなとサッカーするのが大好きだった自分にとって最後の1年の大半を捨てるというのはとても悲しいことです。3年生時に新チームになってからはずっとAチームでプレーできていたしリーグ戦に絡んでいける感覚もありました。チームを勝たせるなんてことも…。言い過ぎました。僕が休部するまでは1勝2敗だったのに、僕が休部して試合に出なくなった瞬間8連勝?くらいして何なら優勝しました。ただ、僕がいたらもうちょっと負けていたかもしれないけど、Aチームにいてリーグ戦に喰らいつきながらサッカーを楽しむ機会があったことは間違いないと思います。その機会を捨てるかどうか、そんな選択を迫られました。ここまでサッカーが好きなら、Aチームでリーグ戦に絡みながらプレーすることが好きなら休部しなきゃいいとも思います。ただ、企業法務の弁護士として活躍したいという目標もあります。その目標を達成するための一つのメルクマールとして考えていたのが学部での予備試験合格です。学部最後ここで予備試験に合格していち早く実務法曹になりたいという強い思いがありました。2つどちらの思いも強過ぎて決断にすごく時間がかかりました。朝起きて部活に行ってみんなに会うと楽し過ぎて「休部はないな」と思い、家に帰って法律に向き合うとわからな過ぎて「休部しないと終わるな」と思い… そんな感情の揺れ動きの中で色んな人にも相談して休部を決断しました。


休部して得たものはもちろん大きいです。苦手な民法だって短答は満点取れたし、論文も喰らいつけるくらいにはなったと思います(喰らいついててください、お願いします)。商法だって割と得意になったし、飲み会で適当な文言や条文でひと笑い取れるようにもなりました。最後が一番大きいですね。ただ、失ったものも大きいです。あんなに感情が揺れ動くような経験はもうしないでしょう。復帰してから見た首位攻防戦、対日大文理戦。1点を争う緊張感やそれを制した時の感情の昂りを経験できるような試合だったと思います。もちろん休部してなかったら試合に絡めただろうとか、ベンチに入れただろうとかそんな驕ったことは言うつもりもないし、言えるわけもない。ただ、日々の活動を共有することで、試合に一緒に向かっていくことで、出てる人達と同じ「ような」感情を享受することはできたと思います。そんな機会を失いました。得たものと失ったものを単に比較して休部が成功だったとか失敗だったとかを判断することはできないけどそのくらい何かが変わる選択だったと思います。

以上が、自分がした大きな選択です。ただ、ここまでは過去に起きた事実とか思いの羅列で記録のようなものです。最後のブログということで、この経験を通して学んだこと、これから心に留めておきたいことを記したいと思います。

それは、「その日、その時、最善のことをする」ということです。物事には選択と実行の2つの段階があります。休部のことで言えば、僕は休部するという選択をし、勉強するという実行をしました。選択の段階では様々な考慮要素を加味して休部するかしないかについての最善の選択をし、選択に応じて勉強にひたすら励むか、サッカーに傾注しながら勉強するという実行をする。実行中、実行の過程や結果を受けて選択をただ後悔することはよくあると思いますが、それは違うということに気づきました。もちろん、選択の過程を反省し、次の選択に活かすということは必要だと思います。ただ、選択に応じた実行段階に移ったのであればその選択をした自分を尊重し、精一杯実行に集中する必要があります。休部中よく、リーグ戦でチームが勝利するのを見るごとに羨ましいだとかサッカーしていればよかっただとかを思っていました。ただ、その感情からは何も生まれません。休部するという選択をした以上、その時の自分にできることはただひたすらに予備試験合格に向けて勉強することだけです。

自分にとってマイナスの出来事や感情が起きた時にその人の実際を見てとることができるのだと僕は思っています。どんなに負の出来事や感情が自分に起きたとしてもその時にできる最善のことを実行するという意識を持ちつづけることが肝要であると4年間を通じて学びました。簡単なようで簡単じゃないこの意識こそが着実に一歩ずつ前に進んでいく最も良い方策であると。この意識を持って企業法務で活躍する法曹になるべくこれからも精進していきたいと思います。


最後に

両親へ ここまで精神的にも経済的にも支えてくれてありがとう。おかげで無事に大学は卒業できそうです。まだ法曹にはなれてないけどいち早く実務法曹になって恩返しできるように頑張ります。これからもよろしくお願いします。


サ式へ 2度も休部してるのに何も文句を言わず受け入れてくれてありがとう。みんなが就活とか部活に必死に取り組んでいるのが一つのモチベーションになってた。追いつき追い越せでこれから頑張ります。一緒にサッカーするの最高に楽しかったです。就職決まったら就職おめやらせてください。もちろん合格おめも開催させていただきます。これからもよろしくお願いします。


後輩へ 応援しています。がんば!


六角勇人

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