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弱い自分と理想の自分|野口泰斗

profile
#14  野口泰斗
出身高校:都立小石川中等高校
ポジション:DF
献身性とコーチングに長けたCB。誰よりも努力を重ね成長を続け、Bチームキャプテンを経て今季最終節ではリーグ初出場を果たした。

野口泰斗からのラストメッセージ

てつおに卒部ノート締切の日を伝えられて、「締め切りまでに書かなきゃ絶対粗相になるやん。」って思いながら必死に書き始めました。

書き始めると何書いていいか分からなくて、分からなくなって思い返すといろんなことがこの4年間あって、なんか少し泣きそうな気持ちになったりもして。そんな感じで結構悩んだけど、やっぱり自分は最後のリーグ戦の時が1番印象的だったのでその時のことから書きます。


リーグ最終節

4年の本当に最後の最後、ついに自分はリーグのベンチ入りを果たした。
最終節当日、ミーティングでメンバー発表されたとき、応援のみんなとハイタッチする時、ベンチに入ったあと、みんなが笑顔で自分に「出場期待してる!」って応援してくれたのを覚えてる。すごく嬉しかったし、高揚した。「泰斗!緊張してんのか!」直紀。やめてくれ。緊張ほぐすつもりだったんだろうけど緊張しまくり。そういえば試合前日の「T、明日も応援よろしく。」っていう近岡からの悪魔の一言はどういう意図でどういう気持ちで言ったのか気になる。

「俺が出るためにも点とってきてくれ」
試合が始まる前コバと元貴に冗談半分で伝えたけど実際引き分けだったら出れなかっただろうから本気だった。前半、先制を決めたのはコバだった。コバ、大好き。お前いいやつすぎる。3点目のPKをとったのは元貴だった。元貴、お前も大好き。かっこよすぎるって。後半残り10分、近岡に呼ばれた。何点差であっても5バックでやってくれと伝えていたが、まさかの4バック。しかも右サイドバック。え、俺この2年間必死にセンバやってきたけど、、、とも思いつつ相原と交代を待つ。あと1点差くらいつかないかな、そう思ってると工藤が4点目をとってくれた。ちびすけ、こういうとき決めるからずるい。たまにほんとに殺したくなるけどなんか憎めないんだよな。お前点決めた時1番喜んでたの絶対俺。動画で見たら飛び跳ねてた笑。

そんなこんなで4年間追い求めてきたリーグ戦出場の瞬間が来た。みんなが笑顔で迎えてくれた。自分もすごく笑顔だったと思う。コバもナベも北河もハイタッチしてくれた。応援は緊張で最初聞こえなかったけど、徐々に聞こえてきた。
最初の2プレーくらい股抜かれるし、ナベになかなかエグいパス出すしで緊張しまくりだった。でも元貴への縦パスがうまく入ってからは応援の声も聞こえるようになってすごくプレーが楽しかった。応援の声ってやっぱりすごく力になる。みんなめっちゃいい声出てたし、俺なんかいなくてもア式の応援は続いていけるなってすごく安心した。

試合が終わった時は嬉しさとか達成感とか、とにかくポジティブな気持ちで胸がいっぱいになった。コバが泣いてるのを見た瞬間自分も涙が溢れ出した。あー、ほんとに終わったんだ。ほんとにこの4年間死ぬ気で部活に向き合ってきてよかったな。悲しいし、寂しいな。サ式っていいやつばっかだよな。ア式の雰囲気大好きだな。みんなにもう会えなくなるのか。そんな感情が一気に押し寄せて涙が止まらなかった。試合後みんなで大盛り上がりしてる動画は何回でも見れるし一生の宝物になると思う。いま書いててもほんとにア式大好きだなって思う笑


後輩へ

自分はこれからア式で得たものを糧に次のステップに進む。ア式はただサッカーをする集団じゃないと思う。一人一人が悩みとか葛藤とかいろんな壁を抱えていて、それをサッカーを通してみんなで乗り越えて行って人として成長していける、そんな場所であって欲しい。

だからこそ後輩には、「自分で決めたことに本気で向き合うこと」、「つながりを大切にすること」この2つを大切にしてほしい。

まず1つ目について。少し自分語りから始めさせてもらう。

1年の頃、誰よりも下手くそだった自分は出場時間も誰よりも短かった。小松、北河のような恵まれた体格もなく、センターバックからサイドバックに回されてしまった。サイドバックに回ると同期のひときが先発で試合に出ていて、そこでも自分は1番下手で、出場時間も短かった。光誠はいいキック持ってるし、工藤はボールタッチがうまかった。自分には何もないように感じたし、実際何もなかったと思う。

「上手い奴の方が長く出て、下手なやつが少ししか出ない。それで下手なやつは上手い奴に追いつけるのか」

答えはNOだ。

だからがむしゃらに自主練をした。土日の練習試合を終えた日曜、月曜。必ず自分は土手に行き走り込みとボールタッチの練習をした。「大学から技術が劇的に上がることはない」という戸田さんの言葉をすごく覚えている。ただ、それは絶望を与えるものではなかった。劇的には上がらなくても、努力を重ねることで上がることには上がる。そう信じてただひたすらに練習をした。本当にサッカーに全力を捧げた日々だった。結果としてどうだったか。正直自分は上手くなったと思う。あれだけ毎日ブチギレられていた江口さんに「お前最近上手くなったな」って言われた時、yo-yoテストで上位に食い込んだ時、サタデーリーグに出れた時、初めてAチームに上がった時、練習中なぜか自分のプレーにだけ拍手が出た時、リーグ最終節に出れた時。そういう全ての瞬間に成長を感じたし、目標に少しずつ近づいていることに喜びを感じた。

でもそんなプラスの瞬間よりもマイナスの瞬間の方が多かったし、その瞬間にどれだけ踏ん張れるかが目標達成に向けてはすごく重要だと思う。
サタデーでベンチに入れなかった時、スタメンを外された時、怪我をした時、同期や後輩がAに上がり取り残された時、やっと上がれたAからBに落ちた時、伝説のCチームにメンバー入りした時。どの瞬間もめちゃくちゃ悔しくて泣きそうだったし、グラウンドに行きたくなくなったし、自主練もサボりたくなった。
でもそこでサボったら今まで積み上げてきた自分の努力、信念、目標とかを全部否定して壊すことになる。

「なんでこんなに頑張ってるのにダメなんだ」「自分の方があいつよりもいいはずだ」

そんなことを何度思ったことか。
でもその度に近岡がよく言う、「謙虚になる」という言葉を思い出した。

これは、部活をやる上でもそうだし、何かを行う上で、自分を充実させるために1番重要なことだと思う。自分の目標に対して自分の努力の量、質が足りているのかを謙虚に見つめ直すことはすごく大事だ。他人を妬んでも、愚痴を言ってても仕方ない。だから、何度壁にぶつかって嫌な気持ちになることがあっても、気持ちを切り替えて目標と自分の位置を見つめ直し、前に進む。弱い自分と向き合うことで理想の自分に少しずつ近づいていく。目標達成の近道なんかなくて、そうした地道で泥臭い努力だけが成功への道だと4年間で学んだ。

2つ目のつながりを大事にするっていうのは1つ目を成功させる重要な鍵だと思う。ア式にいると辛いこともあるし、辞めたくなることもあると思う(俺も何回か辞めたくなった笑)。そんな中で自分を繋ぎ止めてくれたのはやっぱり同期であり、先輩であり、後輩みんなの力だったと思う。ア式はいじりの文化がすごくて、「こいつマジで人間か?」って思うような発言も多々みられると思うんだけど、みんな実はいいやつであることは間違いない(工藤と元貴も)。自分は最後の1年間、同じセンターバックとして北河の背中を見て頑張れてほんとに良かったと思う。自分ができないことを聞いたらしっかり教えてくれるし、プレーを見ているだけでこうなりたいなって勇気付けられてきた。

何かに悩んでる時って他のみんなが全部うまくいっているように見えて、みんなと話すのが少し億劫になったりする時があると思う。特にBにいる選手はAにいる選手と距離が生まれがちだ。でもそんなとき、ア式の輪から出て行くんじゃなくて、その輪の力を信じて頼ってほしい。絶対みんな本気になって考えてくれるし、後になって全部笑い話になるはず。ちなみに俺はフジとの電話でめっちゃ泣いたことがある笑。


最後に

自分は3年の初めに「自分のような下手くそな選手でもリーグ戦に出れることを示し、みんなの指針となる」という目標を立てました。何か落ち込んだ時、自分の存在を思い出して、「野口がリーグ戦出れたんだから自分も頑張れる」と思ってもらえれば本望です。みんながどんな目標を持っているのかわからないけど、本気でその目標に向き合えば絶対いい結果がついてくるはずです。死ぬほど貪欲に、がむしゃらに、そして楽しむ気持ちを忘れずに大学生活を謳歌してください。

来年からは、借金に追われながらも社会人として働き、お金を貯める予定なので困った時、悩んだ時はいつでも呼んでください。ちゃんと美味しいご飯奢ります。

4年間本当にありがとうございました。
See you at the top.

Taito Noguchi

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