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SNSの中の人|溝口幸太郎

profile
#front staff  溝口幸太郎 ※写真左側
出身高校:県立船橋東高校

YouTubeやSNSを通じてア式の魅力を発信し続けたFS。彼の貢献が小平を燕脂色に染め上げ、チームに活気をもたらした。
 
溝口幸太郎からのラストメッセージ


広報スタッフにはスタメン争いやライバルは存在しないし、プレーでチームに貢献することはできない。一方で自分の熱量次第でいくらでも力を発揮できる。言い換えればチームへの貢献度やパフォーマンスはすべて自分の力量次第になる。より多くのサポーターに一橋の魅力を伝え、会場や配信でポジティブな雰囲気を創り、間接的にでも勝利を引き寄せる。

選手は試合結果という形で日々の努力を体現する。選手同様に、自分も何らかの形で成果を出してチームに還元する必要がある。

自分は 2022 年3月から入部して 2 シーズン、フロントスタッフとして一橋ア式のクリエイティブ(画像・動画)と観客動員を担当させてもらった。簡単に言えば、「SNS の中の人」&「vs 東大@駒沢の運営等をしていた人」だ。一橋サポーターの皆さんには SNSや試合会場といった場面で関わらせていただいた。そういった立場もあり、選手スタッフの努力で 1 部昇格・2 部優勝と素晴らしい結果を掴み取った歴史的な機会を、大勢の一橋サポーターの皆さんと経験することができて本当に良かったと感じている。

スタッフと言っても、監督近岡やコーチ狩野・藤村のような競技面ではなく、部長長島と同じフロントスタッフであり、直接チームの 結果に貢献することは難しい。スタッフとして入部した経緯、ア式での経験を卒ブロとして書いていきたいと思います。 普段チームの状況を1番発信している身だったが、自分のポジションについてはオープンにしたことがなかった。印象深かった駒沢東大戦開催の裏側とクリエイティブについてオープンに語りたいと思う。

長文になりそう。

◆バレー部からサッカー部のスタッフに転換

「やるなら本気で追求する、中途半端なら切り捨てる」

これが俺の性格である。勉強も部活も。

サッカーは小学校まで 5 年間だけスクールに通っていた。しかし自分の限界を感じ、中学高校はバレーボール部に転換、リベロとして出場していた。中学は毎日バレー漬けだったが、高 1 になってバレーよりも一橋受験を第一に置くことを決意した。高校が早くから受験対策しなければ一橋レベルに間に合わなかったこと(結果1浪したけど)、1 年秋の県大会で良い結果を出せたこともあり、この時点でバレー部引退を決意した。バレーへの熱もここで完全に燃え尽きて勉強一筋に切り替えた。

大学では2年の終わりにア式に入るまで、入りたい団体がまだなかった。中高でバレーボールと勉強に注いでいた熱量以上に本気になれる何かを探していた。そんな中、コロナ禍ということもあり、サッカー観戦が趣味になった。ある日、解説担当の戸田和幸さんが一橋ア式の監督であることを知り、そこからSNSやYouTubeで一橋ア式を追うようになった。一橋ア式はスポーツ推薦のない国立大サッカー部であるが、強豪出身選手からなる敵チームに組織的な連携で勝ちに行く。夢があるし、実際勝っているのが凄い。努力の塊が集まった部活だと思う。そんな印象を持ちながら試合配信やINSIDEを見て一橋ア式のちょっとしたファンになった。選手やコーチ陣が本気でサッカーに打ち込んでる姿勢を見て、自分がバレーボールにガチだった思い出が蘇る。「本気の人達と同じ環境にいたい」という欲求が湧いた。加えて、投稿の画像なりハイライトを選手が作っていることを知って、その領域に期待感が湧いた。「熱量ある環境で大学生活を過ごしたい」と感じ始めた。

また、趣味であるサッカーを職業にしたいと考えていたので、将来サッカークラブや J リーグ関係の企業で働きたいという願望が芽生えていた。地元千葉の J クラブでスタジアム運営バイトをしてみたりした。

そんな中、Twitterで近岡と長島がサムネの「スタッフ募集」という投稿が目に入る。どうやら競技スタッフではなく広報の枠でも入部可能であるようだ。将来サッカー関係の仕事に就きたい自分にとって、最適な環境である気がした。

「大好きなサッカーにピッチ外からも十分に関われる」

「ここなら本気で挑める」


2022年3月、一橋ア式への入部を決意した。

「中高以上の熱量で挑み、チームの勝利に何かしらの形で関わる」という目標を抱いた。

バレー時代みたいに選手としてコートに立ち、直接敵と戦うことができないのは少々寂しいが、新たな環境とポジションで挑めることに期待が溢れていた。

スタッフであり部長の長島に手厚くサポートしてもらいながら自分の役割をもらった。試合情報を SNS を使って一橋サポーターに届 け、コロナ禍でも観戦体験を提供する部署に入った。そしてもう1つ役割をいただいた。7/31 vs 東大、伝統の一戦〝東商戦〟を駒沢 オリンピック公園で有観客開催することになり、観客動員担当として大学サッカー連盟に一時的に入らせてもらった。長島のおかげである。

とは言っても最初はチームにおける自分の存在が不安だった。自分はプレーヤーではないし、競技スタッフやマネージャーでもなく体育会サッカー部に入部し、果たしてチームにプラスな要素をもたらせるか不安でしかなかった。グラウンドに行くと選手が汗水垂らし ながら努力している。その成果が試合でのパフォーマンスとして可視化される。途中からここに入らせてもらったこと、また自分が好きな領域を担わせてもらっている以上、選手同様、自分も何らかの成果を出して価値を出す必要がある。 しかし、SNS業務と駒沢東大戦の準備で超多忙な生活がスタートし、そんな不安はいつの間にかどっかに消えていた。単位も消えていた。

ここからは活動の軸を築いてくれた駒沢有観客開催とクリエイティブの順で語っていきたい。

◆駒沢東大戦の運営 連盟スタッフ兼一橋部員として

2022.7.31 有観客試合@駒沢公園

まず、2022 シーズンのリーグ戦第15節 vs 東大 @駒沢オリンピック公園 の有観客開催について。2020から2022 シーズンにかけてコロナによる無観客試合が続き、試合会場にはOBOGや保護者といった本来一番一橋ア式に身近なサポーターが遠い存在になっていた。このような方々からは小平グラウンド人工芝化寄付なり日々の活動支援といった恩恵を受けているのに、一番肝心な現地観戦が不可となっていた。東京都大学サッカー連盟と当時連盟にいた長島のおかげで、コロナ禍で貴重な有観客開催が決定した。会場は駒沢公園という外部の人も含めたくさんの人達の目に映る場である。

入部から1か月、長島にここでの役割をもらった。観客動員の会場設定・運営管轄である。スタッフとして素晴らしいチャンスだったが、自分にはリーダー的な経験が全くなかったし、素養も何もない状況で責任感強めのポジションが怖すぎた。でも、当時コロナ禍で自分はSNSだけ動かしている状況で、サポーターという存在の実感が0なまま広報業務をやっていたので、自分のパフォーマンスが空回りしている気がした。果たしてどんくらいの人達を相手にSNSやら広報やらが意味があるのか現実世界でその効果を見てみたい好奇心があった。それに、スタジアムバイトの経験も活かせる素晴らしい機会だったので、結局喜んで連盟への参加を決意した。臨時スタッフという形で東京都大学サッカー連盟の学生幹事の方々&社会人と約8名でこのプロジェクトを進めることになる。ちなみに一橋対東大に加えて立教対学習院の2試合の同日有観客開催だった。一橋とは少し離れた活動になってしまうが、一橋に公開試合を提供でき る機会だったので良かった。

連盟での観客動員としての業務はチケットシステムの導入・座席エリア設定・他大学との連絡・マニュアル作成・当日の運営管轄だっ た。

毎試合数百人の観戦者をスタジアムに入れている関東大学サッカー連盟と異なり、東京都大学サッカー連盟には観客動員の基盤が薄 く、ほぼ白紙状態から設定することになった。

コロナ禍で東京都からイベント用感染対策ガイドラインが出されていたので、それを踏まえた導線作り、観戦者個人情報の扱いとか制約を全てクリアした体制に仕上げるのに大量な時間を割いた。座席エリアを4大学分区分し、それぞれのエリア分のメール型チケットを用意することで、観戦者がスマホで自身の席を確認できるようにした。当日は座席エリアが記載されたスマホ画面を入口で提示することで円滑に観戦者が入場できる設定にした。IT 社員でもない俺がこの作業をしているのは意味わからなかったが、無事チケットが機能して観客が入れる環境が整った時には感動した。

コロナ対策を遵守しなければならない制約のせいで、他にも無数の作業があり、キャパ限界状態のまま準備は試合当日 7.31 の午前3時 まで続いたが、海谷なり長島も自分以上に頑張っている姿を見てギリ持ち堪えた。特に長島はオールの日々を送りながら全体の統括に尽力していて、そのキャパとエネルギーには驚いた。

連盟では様々な大学の人達と話す機会があり、大学サッカーを毎試合開催する裏側で学生幹事がどれだけ多くの仕事をこなしているのか実感できて良かった。

◆試合当日 7.31

入場者数
一橋vs東大 合計607人 一橋サポーター席 233 人 一般席 293 人

ある程度観戦者が来るとは思っていたけど、正直こんなに多くの人が本当に来て感動した。もちろん東大という対戦カードの恩恵もあ るが、実際には広報なり一橋が集客したことでこれだけ集まった。一橋の試合を見たいと思う人、サポーターが数百人単位で実在する。これまでコロナ禍非公開試合で見えなかったサポーターの存在を実感でき、一橋での広報に価値を見出すきっかけになった。

当日の運営は灼熱の太陽の下で地獄だった。観客管理の全体管轄を担ったが、慣れないリーダー役としての立ち回りが難しい。20人の運営スタッフに適切な指示を出して安全に観客が入場できる環境を保つのはきつかった。2時間睡眠からの全日運営で、中高体育館でバレーをしていた身としては慣れない屋外。8時の設営から始まり、第1試合の立教学習院戦後ぶっ倒れ、一橋の人間として重要な第2試合の東大戦までダウンしていた。試合2時間前あたりに会場入りの部員と話して少し回復し、最後の体力で商東戦を迎えた。

時計の針は16時になると、入場ゲートに大量の人が流れ込み、一橋エリアの観客席は一気に埋まった。一橋が集客をしたこともあり、 なんと1部立教学習院戦の倍の入場者数となった。自分達が設定した会場にこれだけ多くの人が来るとやりがいがある。タオルや当日配られたボードを持った人達でエンジに染まった会場、そこで一橋のみんなが躍動する姿を見れて泣きそうになった。自分は一橋の部員 かつ連盟スタッフとしてスタンドから何度か試合を観ていた。運営のためじっくり試合を見れなかったが、工藤の決勝弾が入った時の会場の雰囲気に圧倒された。約300人の一橋サポーターの歓声や拍手が起こり、駒沢は一橋の雰囲気に包まれた。結果この1点で無事 勝利し、試合終了の笛と共に一橋勝利の嬉しさと無事2試合とも安全に観客を迎えられた安心感で一杯になった。試合終了後撤去作業をしているときに、試合を終えたコバからありがとうと言われた時には一橋のためにこの運営をやって良かったと感じた。

駒沢の経験は人生の中で最も濃いものである。3か月かけて整えた観客動員体制のもとで300人近くの一橋サポーターの存在を肉眼で確認できたし、チームとサポーターが一体となって勝利を掴む環境創りに関われたことで少しはチームに貢献できた気がした。

サポーターの存在を実感できたことで、その後の広報にも価値を見出せるようになった。 大学サッカーで広報というのは一見難しく見える。スタッフとして入っていて言うのもあれだが、7.31 までは「誰が公式 SNS やメルマガを見てるのか? 色々画像なり動画なり頑張って作って届いているのか、意味があるのか?」という疑問があった。コロナ禍ではネ ット上でしかサポーターと接点がなく、7.31 までは「サポーター」という言葉が空虚で不自然に感じられた。

7.31 が「数百人のサポーターに、一橋のサッカーをもっと身近に体感してもらいたい」という指針を与えてくれた。試合成績は選手監督のパフォーマンスに起因するが、そこに「応援が少しでもプラスな効果になれば」という目的を持って活動できるようになった。

◆一橋のクリエイティブ

以上のような背景があって本気で広報・クリエイティブをやるエンジンがかかった。それ以降、より多くのOBOG 保護者や外部の人達が現地応援をしてくれるように工夫しながらクリエイティブ(画像・動画作成)を展開した。この領域は自分が入部する前からクオリテ ィが高いものばかりで、一橋のアイデンティティでもあると認識していた。選手兼画像作成をしている部員を見て感心したと同時に、 スタッフならもっとこの領域を拡大できると考えていた。大学サッカーではほぼ全チームが専用ソフトを使ってスタメン画像や速報、 告知画像を作っている。自分はやるならガチで追求する人間なので(なので中途半端な勉強は切り捨てた)、一橋を大学サッカー界のクリエイティブにおける一番上に立たせたかった。それに、デザインなりコンテンツの魅力が高ければサポーターに一橋ア式の魅力を伝えやすくなる。

2023 シーズン開幕前に画像担当者達でデザインの一貫性を出す旨のミーティングを開き、SNSにあがるデザインには統一感を出すようにした。シックなエンジと落ち着きのあるテイストを意識している。プロのデザイナーではないので改善点はいくらでもあるが、サポ ーター・選手両方が試合へのモチベを上げられるコンテンツであることが大事だった。3年時に浦和レッズファンクラブでインターンをしていたので、そこで得た経験も活用しながら、サポーター目線でのコンテンツ創りを意識した。

また、ピッチサイドの動画を大量生産してきたが、目的としては「コロナ禍で見れない試合内容を可視化すること」「臨場感ある映像 を通して現地観戦を促進する」ことであった。再生回数やインプレッションより、「見た人が一橋ア式にどのようなイメージを持ったり、応援意欲に直結するか」という閲覧効果の部分が重要である。
※ちなみにその再生回数について余談

今シーズン一橋ア式再生回数ランキング1位は
5.3 万回・2年 FW 三浦君の東大戦ゴールシーンです。おめでとうございますー
動画⇩
https://www.instagram.com/reel/CxaWedvvdVY/?utm_source=ig_web_copy_link&igshid=MzRlODBiNWFlZA==

リーグ戦やサタデーなど試合日の小平キャンパスには今シーズンからのぼりと横断幕を設置している。エンジのホーム会場で一橋だけの雰囲気を創り出す。あの雰囲気でチームが勝つ姿は快感だ。

◆おわりに

「チームの勝利に何かしらの形で関わる」という目標を持って、大学2年終盤からの1年・7カ月だけ一橋ア式に所属させていただい たが、「サポーターが集うエンジの小平グラウンド」を創り出すことで少しは間接的にでも勝利を引き寄せる雰囲気を作れたんじゃな いかと思っている。

2シーズンだけだったが濃い経験ができたし、素晴らしいチームメイト達に囲まれた環境で過ごすことができ入部という選択をして正解だった。独特なポジションで入部したけど、広く活動の場をいただけた。そんな寛容な皆には感謝しかない。

色々書いてきたが、タスクの中で不十分であったり、周りと上手く協力して作品をつくるといった部分で失敗してしまうことが多々あった。それでも良い方向に持って行ってくれた人達のおかげでなんとかなったりした。他にも部署のマネジメントだったり色々反省点もあったが、社会人になる前に自分の苦手分野にも気づけるよい機会だったと思う。

来年は1部の舞台ということで、よりアグレッシブな試合をサポーターの立場から応援できるので楽しみです。みんなのことを応援してますが、特に船橋市出身の快速ウィンガー赤金君と同校出身の可愛い森田君のプレーに期待してます。そしてクリエイティブ担当なりスタッフのみなさんにも期待してます。
話変わりますが、元Bコーチ藤村くんにもかまってあげてください 大学院の2年間たぶん暇なんで。

僕はなぜか4年になって大学に週3で登校しており、登校するたびに国立キャンパスにて後輩のだれかと会っている気がします。そのため引退しても今あんまり寂しくないです。これを書いている本日も、4年山下がストーリーで紹介していたカレー屋さんに行ったら セ式3人組がいました。水曜1限ではまた別の方々に「なんでここいるんすか」と言われ恥ずかしいです。 頑張って単位回収して卒業します。

部員、サポーター、連盟で仲良くしてくれたみなさん、ありがとうございました!

溝口幸太郎


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