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不思議の国のディストピア

テイラー・スイフトと3ヶ月で別れてたトムヒ。I♡T.SなんてTシャツ着て海岸デートしてたのにどうした…(笑)次世代007候補にもあがっている英国男子主演の本作「ハイ・ライズ」を見ました。見事に「おススメできない偏愛映画」にランクインしたので覚書き。


◆求めよ、されば与えられん

1975年、ロンドン近郊。医者のラング(トム・ヒドルストン)が、最高級タワーマンション“ハイ・ライズ(High-Rise)”へ引っ越してきたところが物語のはじまり。住居人のランクによって階層が分かれており、下層階には一般人、上層階にはスノビズム全開な成金野郎が住んでいます。


40階ペントハウスの住人、建築家ロイヤル(ジェレミー・アイアンズ)、TVプロデューサーのワイルド(ルーク・エヴァンズ)、魅惑のシングルマザー、シャーロット(シエナ・ミラー)等と過ごす日々は少々常軌を逸していて…という話。原作の1970年代ファッションと当時はSFでしかなかった超高層タワマンがいびつな感じを醸し出してよい。これは感想バラけるわ。シュール無秩序意味不明。動物が大好きなひと、グロ描写が苦手な人は回避。セックスドラッグロックンロール大好き!って方はみるがよい。レジ係の役でステイシー・マーティンが出てた。ニンフォマニアックの若きジョー役だった女性、イメージ変わるなぁ。


参考記事

【感想】ハイ・ライズ / 呆然とする難解さ!?悪夢のようなセレブたちの破滅と乱痴気&トムヒの裸体!

A High-Rise collapses into anarchy in this crazed class-warfare comedy


小説は未読。結構なバッドトリップできるらしいので買います。


◆私の知らない世界

映画をみて思い出したのが、「五代ゆう&榊一郎の小説指南」というムック本。2人ともライトノベル出身で、プロ作家がプロ作品をうみだす背景、提案書や世界観のつくりかた、アブストラクトなど対談形式で語っています。

この本の一番の見所は、三題噺から生まれた榊一郎のプロットモデルと、五代ゆうのディストピア短編小説。一挙に100頁ちかく書き上げてしまう五代さんには頭がさがります。

提案書形式で下書きできる榊さんに比べ、五代さんは「こういうキャラクター」「こういう世界観」「キーワードはリボルバー」等、思考過程は書かれているけれどいきなり完成品にとぶので、どうやって物語を推敲・構成したのがマジ不明。3分クッキングか。

しかも怪獣好きらしく、昔の怪獣ドラマや映画を流していると「きしゃー」という雄叫びから電波を受信し勝手に筆が進む、とおっしゃってました。変人!!榊さんには「世界が崩壊しても、五代さんだけはその辺の石版に物語書いてそうだよね、あなたにしかわからない言葉で(笑)」なんて言われていた。すげぇ。

参考:小説を書きたいひとの本 実践・作法


いま手元に本がないのでうろ覚えですが、、五代さんの短編はこんな感じ。

・「非人間的なシステムで運営されている社会に翻弄される男と少女の悲恋」がテーマ
・どでかいキューブ型にすんでいる都市の住人達
一定期間ごとに人間を間引く社会システムでは、突然部屋がリボルバーのように回転し、ランダムに潰されていく
・キューブ都市には階級が存在しており、富裕層と貧困層の住人たちはあいまみえることがない
間引きをされるのは、えてして底辺の人間だが、ある日「富裕層の殺されるべきではない人間」が死んだため、プリーストが調査をはじめる
・主人公のプリーストは社会につかえる「ツール」で、仕事を終えると毎回記憶を消される

超ディストピア感。このあたりが「ハイ・ライズ」に似ているのです。

同じように生殺与奪がシステム化された世界を描いている作品に、
カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」
ロイス・ローリー「ザ・ギバー 記憶を伝える者」
などがあります。

両方映画化されてますね。「ザ・ギバー」は児童書ですが読み応え有り。これを読んだ小中学生が中二病を発症してほしい(本音)

「ザ・ギバー」あらすじ↓

犯罪も飢餓も苦痛も取り除かれ、人々の喜怒哀楽、職業すらコミュニティに管理されたパーフェクトな社会。ここでは12歳になると職業任命を受けるが、ひとり「記憶を受けつぐ者」に選ばれた少年ジョーナスはコミュニティーの在り方に疑問を持ち始めるー


ユートピアもディストピアも、妄想しているうちが花。あのタワーマンションに入居したら、私はどのあたりで死ぬんだろう…と考えてしまった。やられる前にやるがな。

以上です!



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