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稀代の名脇役 イヴァン・ラキティッチ

皆さんこんにちは。今回は先日セビージャFCへの移籍が決まったラキティッチについて書いていこうと思います。以前の記事で少し触れましたが、そこも含めつつラキティッチという人物について、ピッチ外の素晴らしい振る舞いも含めて書いていきます。
ぜひ気軽に読んでみてください。


▪️セビリアの王、バルセロナへ

14-15シーズン、セビージャから1人の王様がバルセロナへやってきた。

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その名もイヴァン・ラキティッチ。当時ラキティッチはセビージャで攻撃の要として。
彼が加入した当時のバルセロナはイニエスタ、ブスケツ、シャビ、セスクと、いわゆる”カンテラーノ黄金期”で構成されていた。(セスクはその後チェルシーへ移籍)
歴代でもバルセロナの中盤が最も”バルセロナらしい”時代だったとも言えるだろう。

▪️群を抜いた適応能力

彼がバルセロナで求められた仕事、それはセビージャで発揮していたような攻撃的なものではない。彼がバルセロナで求められた仕事は掃除、つまり影からチームを支える黒子である。どんなに大きな会社でも、どんなに小さな会社でも掃除をする人が欠かせない、それはサッカーでも言える。ラキティッチは主に中盤の右、メッシの後ろを任されたのだ。

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メッシといえば説明する必要のないほどの圧倒的な攻撃力。さらには右サイドバックにはダニ・アウヴェスが君臨しており、攻撃面において文句のつけようのないほどの破壊力を誇っていた。しかしその反面、右サイドの守りは手薄になることは紛れのない事実である。そこで抜擢されたのがラキティッチ。右サイドの広範囲に渡ってのカバー、さらには時折魅せる圧巻のミドル。これは誰もができるような仕事ではない。バルセロナの象徴であるシャビ、イニエスタ、ブスケツにだってこなせないだろう、”ラキティッチにしか”できない仕事なのである。
誰がこのような汚れ仕事をやりたがるだろうか、ましてや本来ならば攻撃的な選手にも関わらず。誰だってこのような仕事は好まないだろう。しかしラキティッチはバルセロナに忠誠を尽くし、文句の一つも言わず遂行したのである。
MSN時代はもちろんのこと、ネイマールが抜けたバルベルデの時代でも彼はチームで重宝された。右のインテリオールはもちろんのこと、中盤の底、センターバックなどそのユーティリティ性から18-19シーズンにはメッシやスアレスらを抜いてチームトップの公式戦出場数を誇り、良くも悪くも堅実なバルベルデバルサを象徴する選手となったのだ。

▪️バルサらしくないプレースタイル

バルセロナといえば美しいパスワークを想像する人も多いだろう。しかしラキティッチはいわゆる”バルセロナらしさ”は兼ね備えていない。シャビのように華麗なターンはできず、イニエスタのように空間を切り裂くドリブルもできず、ブスケツのような視野も兼ね備えていない。そのためラキティッチには弱点がある。自陣に引いた相手には圧倒的なプレーを披露するが、ハイプレスで高強度のチーム相手ではボール保持時の視野の狭さ、プレス回避能力の低さが露呈してしまう。
しかし、シャビより走り、イニエスタより守備を行い、ブスケツより気の利いたプレーをすることができる。彼はチームが美しいサッカーを繰り広げるために泥臭いプレーを厭わない選手であり、彼のようなハードワークできる万能型のMFは近年のバルセロナには必要不可欠。バルセロナのDNAは備えていないが、バルセロナらしい選手にできないことができる選手だった。

▪️ピッチ外での振る舞い

ラキティッチがピッチ内で気の利いたプレーやであることはよくわかったと思うが、その気の利きっぷりはピッチ上だけではない。
新加入の選手がいるとすぐに声をかけ、いち早くチームに馴染めるように手助けをしてくれる。一緒に写真を撮りSNSに載せたり、若手に優しくチームの雰囲気をより良くするために気を遣える選手でもあるのだ。若手にとってラキティッチは先輩というよりは、兄のようでもあり父親のような存在でもあったのだ。

▪️愛する家族

最後にラキティッチの家族に触れてみる。ラキティッチは現在4人家族のお父さんであるが、妻であるマウリさんとの出会いはドラマのような物語である。
シャルケからセビージャ、そしてバルセロナという誰もが夢見るようなキャリアを歩んでいるラキティッチだが、シャルケからセビージャへ移籍する際1つの運命的な出会いがあった。当時セビージャにあるレストランにいたマウリさんになんと一目惚れ。それをきっかけに彼はセビージャに移籍することに決め、猛烈なアピールの末見事結婚するまでに至り、今は家族4人幸せに暮らしている。

サッカー選手はサッカー選手である前に1人の人であり、それぞれが驚くような異なるストーリーを歩んで今の彼らがいる。サッカーを見る際には彼らのサッカー以外の側面にも触れてみると、より一層応援したくたるし、面白くなるだろう。

▪️総括

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14-15シーズンに加入してから6シーズン。歴代のバルセロナの補強の中でも最高の補強の1つであると自信を持って言える。
310試合35ゴール42アシスト、CL1回、LaLiga4回を含む計13ものタイトルをバルセロナにもたらした。
本当にありがとう、ラキティッチ。セビージャでの幸運を祈る。


最後まで読んでいただきありがとうございます。
ではまた。

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