母へ

私は決してあなたが嫌いなわけではなく
見捨てるつもりなんて更々ない。

ただ、今後もそばにいるために
今は離れる必要があって

私は今、あなたが思っている以上に

あなたの言動全てが
あなたと同じ空間にいる時間が
あなたが私の全てを把握しようとする事が
あなたを疎ましく思う自分自身が

ストレスになりすぎて耐えられない。

このまま私が嫁にも行けずに
子供を持つ事もできずに
一人で年老いたとして

あなたは年老いた私の世話をし続けることができないでしょう。

私はそうなる未来を見越して
家族を持った妹たちや
未来のある甥っ子達に負担をかけたくなくて

『一人で死んでいくための貯金』を
ある時からずっとしてきた。

その貯金を切り崩してまで
あなたと距離を置くために確保した一人暮らしの部屋で

毎日どんな思いで過ごしているか
わかりますか

毎月どんな思いで
自分の生活費全てよりも高い金額を
あなたの口座に振り込んでいるか
わかりますか

口を開けば癖のように
『お金がない』と繰り返すあなたに

どんな気持ちで
毎度同行した買い物の費用を一緒に払っっているかわかりますか

お金に執着はありません。

お金で解決出来る事なら
したいとすら最近は思ってます。

そんなに悲しいことはない、とも
同じぐらい思ってます。

ずっと一緒に
ばあちゃんの介護をしてきたからこそ
年老いていく家族との関わりが
楽しいことばかりではないって

一番わかってると思ってたけど

老いを受け入れたくない気持ちはわかるし
私自身も受け入れたくないと思う部分もある

日に日に話の通じなくなるあなたが
時には何かに取り憑かれたかのように
突然怒ったり叫んだり

かと思ったら
一瞬にして人が変わったように
妹たちには穏やかに接したり

私が全力で伝えた願いや気持ちも
瞬時に聞いていなかったことにされて

泣きながら訴えた思いや希望も
夜が明けたら何もかも幻。

もう疲れたし

正直付き合いきれないし

いい加減、解放して欲しい。

一人になる事の何がいけないの？

家族が一緒にいないことが
なぜ悪なの？

私はあなたを嫌いになったわけでも
見捨てたわけでもない

ただ、一緒にいたくない。

元気なうちに、離れたい。

感謝はしてる。

ここまで私が生きてこられたのは
母が私の世話をし続けてきてくれたから。

でも

必要以上にいつまでも世話を焼いて
何もかも先回りして手を出して

ありとあらゆる判断を
自分だけの答えで下せなかった37年間で

どれだけ私が
自分への自信を失ってきたか

人としての劣等感を味わってきたか

わかりますか。

私は自立がしたい。

強い思いで頑張ってきた貯金を崩してまで
親子の間に物理的な距離を作る事を

私がどれだけ大切にしているか

簡単に親のエゴで
ぶっ潰さないで欲しい。

口では軽はずみに
『信頼してる』なんて言うけど

信頼されていると感じたことなんて
一度もないし

それがどれだけ辛かったか
どんなに悲しいか

どんなに説明しても伝わらないことが
どれだけ苦しいか

きっとわからないだろうし
もうわかってくれなくてもいいけど

どうか
もう私を解放してくれませんか。

物理的に離れたところで
一生親子なんだから

どんなに疎ましく思ったって
見捨てたりはしないんだから

お願いだから
せめてお互いが元気なうちだけでも

私の事は放っておいてくれませんか。

疲れた時に帰りたい場所　であって欲しい
と、ずっと願っている【実家】は

私にとっては
疲れている時ほど帰りたくない場所で

出来ることなら
帰りたくないし、会いたくない。

毎日そんなことを本気で思いながら
毎日それをあなたに伝えられずに
こうして生きている事が

帰らなければならない場所 と化した
【実家】という空間に
息が詰まる思いで帰っていると知ったら

あなたは
どう思うんだろう。

また狂ったように罵声を浴びせて
私を奈落の底に突き落としてから

何事もなかったかのように
朝を迎えるのかもね。

はぁ、スッキリした。