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一切ggらない。うろ覚え映画評論

アマプラの上位に注目の映画としてピックアップされていたので見ました。

「ギルティ」というヨーロッパの映画です。

欧米かどっかの映画賞にノミネートされていて、ドラム叩いてる青年と音楽教師がちちくりあい啀み合いのラストでどんちゃかするセッションて映画もそれに受賞してるらしいです。

ちなみに1ヶ月位前に鑑賞しました。斬新さは皆無ですが唸る部分も多少あったので無理やり記憶をひねり出していきます。


主人公は一般人からの通報を受けて、近くの警察に出動要請させる司令室みたいなとこで電話番してる40代の白人男性。左手薬指には指輪。

殆どくだらない通報ばかりで辟易している男のもとに一本の電話。

『助けて、旦那にさらわれた、子供がいる』

夜中に同じ女から何度も掛かってくる。どうせ酔っぱらいだろうと鼻で笑っていたが、段々と不穏さが増し、発信元をサーチして近場で巡回してる警官に出動要請をはかる。

その間も女からの電話が続き色々と情報を聞き出していたが、男の声に制されて電話が途絶えた。それから少し経って

『・・・・』「大丈夫か?」

『もう掛けてくるな、どうせ警察に言うんだろ』「旦那か?今どこにいる」

ツーツーツー、切れてしまった。ぼーっと待ってると、さきほど要請した警官から電話が入った。

「追ってる車間違えたわ」

呆然とする主人公。だから公僕は使えねえんだよ税金ドロがなんて言ってないけども、そんな面持ちで再び発信元を確認し、追跡するよう指示する。

どっかの警察署のオバサンにも互いに通信しながらやり取りする。そーいやガキ二人いるって言ってたな。てことで女の情報元から割り出し子供がいるであろう家に電話をしてみる。

『はいもひもひ、マミー?いないよ。ダディーが極度のDVで折檻中毒だからヤベえつっておうち飛び出してっちゃったよ。マミーはやく帰ってきてうわーーん』

なるほど家庭内トラブルか。女の話では旦那とは別居ぐらし。状況を察した主人公は子供を保護すべく家へ警察を手配する。優秀な男だよコイツは。

次に旦那をチェック。過去を探るとどうやら前科者。この旦那が嫁引っ張って何処行くつもりなんだと考える。そこで警察官時代の元相方に旦那の家行って漁ってくれと談判。途中で思い出したが、この二人は警察官時代に銃を誤射して追跡中の犯人を殺しちゃった過去があり裁判沙汰になってるらしい。撃ったのが主人公ね。

久々に女から電話。謎の空間に閉じ込められた!と発狂。かなり取り乱している様子。

その後、子供の家に向かっていた警察官から一報。家には電話に出た子はいるがもうひとり見当たらない。家の奥に入っていく警官。扉を開ける音。絶句。

「どうしたんだ」

聞くと警官はうなだれた感じで応える。『死んでいる』と。生後間もない赤ん坊が無残に殺されていた。

それを聞いた主人公は愕然とした後に大発狂。ファーッ○!つって頭につけてたマイクと受話器を机にバチコーンと投げつける。その衝撃で机の裂け目から重力崩壊が発生し超新星爆発が起こり男は冷たい黒色矮星となりましたとさってレベルのブチギレ具合。

度々思うけど海外の映画やドラマ(特にアメリカ)で見られる物に当たるシーン。これ教育に良くないですよねっていつも思います。こーいうシーン見た若者は「あ、キレたら物に当たって発散するんだな」て刷り込まれる。演出としてでも不快ですしファーッ○でギリギリ抑えとけって話です。脳の構造が違うんでしょうね。日本人もキレたらしますけど外人は度を超えて破壊しますから。

投げつけられたデンソー(知らんけど)のマイクだって解せんでしょ。工場のラインに乗った時はピカピカでさ、ボクはこれから人間の役に立つんだい。て栄光の出荷をされてきてこの仕打ですからね。物に感情移入するタイプの筆者には見ていて辛いものがあります。どっちも病気だなこれ(笑)

そして冷静になった主人公。数秒だけ落ち着いてから静かにヘッドホンマイクを装着。ってすぐ付けるんかい。だったら投げるなよ。

周りの同僚から退勤時間だぞ帰って休めと言われる。しかし主人公はこの事件の家族と自分の境遇とを重ねているらしく、正義感をもって孤軍奮闘のサビ残を始める。

警察署のババアに連絡。「進展はあったか」、無いとの返答。恐る恐るも死んだ子供の母親に電話をするが全く繋がらない。そもそも緊急性高い仕事なのに保留機能もない電話で腹が立ってくる。ワンオペで何人も相手にするのは限界があるだろう。一回受話器置いてまた繋いでって非常に効率が悪い。

一人悩んでいると電話が鳴る。旦那の身辺調査に当たらせている元相方からだ。

『探してみたよ。家の中荒れ放題でなあ。どうするよ』

「手紙かなんか探ってくれ、旦那が何処に向かおうとしてるかが掴めるかも知れない」

『無茶言うなよ、手紙の山だぜ何百通もある。夜が明けちまうぜ』

「明日の裁判の一件、忘れてないだろうな。頼むよ」

『あれはお前が・・・分かったよやるよ』

どうやら主人公は誤謝事件で証人の相方と口裏を合わせて事件を丸く収めようとしているらしい。互いに失職を畏れ、なあなあの関係である。これが原因で妻にも愛想を尽かされているありさま。

女(母親)から電話が来た。

『閉じ込められて怖い苦しい。どうか電話を切らないで』

自分の妻に投影しながら母親としての女を優しく気遣い宥める。

「大丈夫だ、子供は無事だった。ただあなたのいる場所を必死で探してる。」

『もうどうしたらいいの』

「旦那は危険だ。そこに戻ってきたら攻撃するんだ。近くになんかないか」

『暗くて見えない・・・固いブロックがあったわ』

「よし、それで殴るんだ。そして旦那が倒れたところで遠くへ逃げるんだ」

『殺されるわ』

「心配ない。君なら出来る。頑張るんだ」

電話口からエンジン音が聴こえてきた。息を飲む主人公。黙して期を待つ女。

ガチャ、『イヤャー!』重く鈍い音が聞こえ何かが倒れる音がした。

「もし・・・・」電話は切れていた。

薄暗い個室で立ち竦む。長い沈黙。この、事あるごとに流れる主人公の表情と静寂のアンサンブルが良い。

プルルル!脳裏を劈く着信音にハッと我に返り受話器を取る。

『俺だ。』「ああ相方か」

『見つかったよ』「何が見つかったんだ」

『精神病院の通院記録だ、女の名前で○○だ』「!?」

「わかったもう帰っていい」『明日はどうするんだ』

「いいんだもう帰れ・・・・ありがとう」『ああ、これくらい平気さ』

精神病院のカルテ、名前は旦那ではなく妻の名前だった。まさか。

発信元から周辺を調べる。精神病院が目と鼻の先にある。やばい。

実は旦那に誘拐され被害者だと思っていた女は精神錯乱を起こして自分の子供を殺していたのだ。もうひとりの子供が勘違いしていたのは、暴れた母親を制止しようと揉み合いになっていたのを目撃したのだろう。

ーーすったもんだがありまして、旦那刺して飛び出していった女が橋の上から電話を掛けてきた。自暴自棄になった女を宥めようと必死でネゴシエートする主人公。

咄嗟に家内との拗れや仕事で過ちを犯して配属を外されているなどの失敗談を連連と語りはじめる。マーケティングなんかでよく用いられる行動心理学の手法ですね。上から物を言うのではなく、低頭して同じ目線で共感を誘う。「やれば出来る」「皆やっている」調よりも「私も出来なかった」「失敗は成功のもと」的なマイナス面を可能性にシフトさせる手管。

電話の向こうからサイレンが聞こえてくる。女は何かを諦めたように

『あなたって優しいのね』

と残して電話が切れた。

うなだれる主人公。また暴れないように投げられそうな物を抑える周囲、は冗談として空虚な時間が部屋を包む。

少しして電話が鳴る。コンタクトを取り続けていた警察署のバ、おばさんからだ。どうやら、さきほど現場に駆けつけた警官が女を無事に保護したらしい。『お手柄ね』と労いを掛けられ表情が固まる主人公。静かに席を立つ。

同僚と思われる数人に注目されながらトボトボと歩く。寸刻、立ち止まったかと思うと部屋のドアを開けて外へ出ていく。扉の向こうから目映(まばゆ)い光が主人公を照らして終幕。


ラストシーンを見て筆者が感じたのは(CUBEのラストやんけ)でしたが、考えてみればどちらも希望的なシメって事なんだろうなと。

終盤に主人公が考え込む(表情が固まる)場面ていうのは、女に自分の心情と現状を暴露して楽になった。そして死んだと思われた女が実は助かっていて、これから苦難の中で生きて行かねばならない苛酷な現実と自身とをオーバーラップしたのではないか、と思うわけです。ゆえに最後は光(明るい未来)に向かって歩みだした、てことを表現してるんじゃないでしょうか。

んー。ストーリーは実に在り来たりですけども。約1時間半を音声と表情だけで乗り切ったのは見事ですね。乗り切ったっていうのは、映画作品としてストーリーもアイデアも凝ってませんから、完全に表現勝負なわけです。(低予算につっこむのは邪推)

視聴者は人間の表情以外に、聞こえてくる音と声に集中して二重の想像を強制される。場面転換はほぼ無いので、我々が事件の場面風景と心象風景を電話越しで想像するしか無い。こうなると一人称視点といいますか、主人公目線で物語が進行していく形になるんですね。同じ電話でもフォーンブースていうゴミ映画よりよっぽど作品に没入できる仕様になっています。矛盾してるかも知れませんが、イマジナリー映画と言えるでしょう。想像しないと置いてけぼり。もちろん映画自体はフィクションですが。

小難しい推理トリックや政治や時事なんて放り込まなくて正解。見る側の脳のキャパ超えそうですし、そんなことしたら評価下がっていたんだろうな。

忘れちゃいけない、殆ど通話のシーンですが、それを緊張感ある演技で乗り切った俳優さんには拍手ですね。退屈に感じなかったですもん。凄いよ。

今作がネットフリックス?でリメイクされるそうですね。演じるのは筆者の大好きなジェイク・ギレンホール! これは見たい。本作を見て、俺もやりてえなーって感じたそうですよ。どっかの記事で読みました。ジェイクはかなりの演技派なので楽しみですね。リメイク視聴後に比較としてまた本作も見ることになるかも。二重に楽しみだ。






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