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未来の住職塾のことを話そう Vol.2|塾生座談会より

未来の住職塾NEXT 講師の遠藤卓也です。
未来の住職塾NEXTオンライン R-3は、受講生の二次募集を開始しました(5/25まで)受講を検討なさっている方のご参考になるように、4月に開催したオンライン体験会での「R-2受講生による感想シェア」の全文書き起こしをさせていただきました。

※ 未来の住職塾NEXTでは、5/6にオンライン体験会を開催予定です。

自坊を客観視できる視点を得られた

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松本紹圭塾長(以下、松本塾長) 昨年「未来の住職塾NEXT R-2」を受講なさった2名の方に来ていただきました。未来の住職塾での受講を振り返ってみて、ご自身の体験としてはいかがだったでしょうか?
まずは、高野山真言宗 観音寺の中村一善さんから、お聞かせください。

中村一善さん(以下、中村さん) まずオンラインだったので、移動せずに受講できたのがよかったです。なかなか寺を空けにくい状況でしたので。
あと講義の中でおこなった「SWOT分析」や「環境分析」など、用語としては知っていたのですが実際に自分のお寺にあてはめて考えたことはなかったんですね。それを考える機会をいただいたというのは良かったです。

松本塾長 講義では色々なフレームワークが出てきましたよね。そういう考え方の道具を手に入れたことで、ご自身の考えの整理ができたということでしょうか?

中村さん そうですね。

松本塾長 あとは受講中に他の塾生と一緒に課題に取り組んだりと、コミュニケーションの機会があったかと思うのですが、その辺はどのような体験でした?

中村さん それぞれ様々に個性的な活動をなさっている方が多かったんです。自分がやっていること以外に、色んなお寺の活動を知ることが出来て、大変刺激になりました。また課題では、一つのお寺を色んな角度から見るという経験がすごくよかったです。

松本塾長 特に自分のお寺のことって当事者だから見えない部分もあったりしますよね。そこに他の人の視点が入ることによって「そんな見方もあったのか!」と、あたらしい視点を得ることができたんじゃないかなと思います。

木村共宏講師(以下、木村講師) ご自身のお寺を客観視することは難しいですよね。ついつい「これは絶対変わらない」とか「できない」とか思い込んでしまう。でも案外、誰かに話していると「そうでもないのかな?」と思えたり、違う視点を手に入れられるのは塾生という仲間がいることの大事さかなと、お聞きして思いました。

中村さん 本当にそうですよね。

ビジョンをたてることで個別のアクションが未来に向かって動き始めた

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松本塾長 お寺の事業計画書を書いて、今まさに取り組みはじめたところかと思いますが、いかがですか?

中村さん これまで、来年のことは考えていても10年〜20年先のことまで考えたことはなかったんです。例えば、自分の年齢に20年足したらどうなるのか?とあらためて考えると、今50歳ですから70歳になるんですね。ということは、そろそろ世代交代を考えなければいけないと気がついたんです。それにむけてどうすべきか?と今に遡ってくることで、現在のアクションが浮かび上がってきたというか。個別にやっていた色んな行事ごとが未来に向かって動き始めました。お寺のビジョンをたてられたことが、本当に良かったです。

松本塾長 お寺は一年のサイクルでまわしているので、来年のことは考えても、案外腰を据えて5年後〜10年後〜20年後のお寺のことを考える機会がないですよね。是非、塾生のみなさんにはプログラムを受講している期間を、そういう貴重な時間として捉えてもらたいと思いますね。

木村講師 今のは大事なポイントで、先ほど他の受講生の目線で見るということを「違う視点」とお話しましたけど、20年後の自分、つまり未来の自分というのも、また「違う視点」と捉えられるんですよね。授業の中でも何度か「視点を切り替えて考えてみましょう」とお伝えしたかと思いますが、その部分をしっかりと受け止めていただいて、今に逆算して考えられたとお聞きして、嬉しくなりました。ありがとうございます。

寺族という立場でも参加しやすい雰囲気だった

松本塾長 もうお一方、冨田香澄さんにも伺っていきたいのですが。冨田さんはお立場としては、日蓮宗のお寺のご寺族ということで、どうですか?割合でいうと住職や副住職の方が多いという中で「肩身が狭かった!」とか思いませんでしたか?(笑)大丈夫でしたか?

冨田香澄さん(以下、冨田さん) いや、むしろ寺族の立場で色々な方と交流する場というのが、今までなかったんです。宗門内の講座でも「寺族でもいいですよ」と書いてはあるのですが、意を決して飛び込んだら自分ひとりしか寺族の立場の人がいないということもあったりして(笑)やっぱり「出にくい」という気持ちがあった中で、未来の住職塾では「ウェルカム!」という感じがあり、対等な立場で色んな方の意見を聞けたり、おしゃべりできたことが私にとってはものすごく良かったですね。

松本塾長 実際、宗派の研修というのは「参加可」とあっても、行ってみたら雰囲気が違ったというお話は聞きます。未来の住職塾は女性の率も年々あがっていることもありますし、様々な立場の方が集まっていることが前提なので、どんな立場でも気後れすることはないかなと思いますね。

総代さん檀家さん含めて、お寺全体の雰囲気が変わった

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松本塾長 寺族という立場で参加されて、お寺内でのコミュニケーションにも変化がありましたか?

冨田さん ちょうど、未来の住職塾の受講を決めたときから、うちのお寺では今までなかった総代会を定例化したんです。それは住職塾の講義と並行してほぼ同じような回数で開かれました。
最初は住職塾という名称の塾を私が受けることが総代さんにどう思われるかという心配もあったので、特に総代さんには言わずに受けたんですね(笑)でも途中で、もう言ってしまえと思ってお話ししてみたところ、総代さんはじめ檀家さんから「他のお寺の事例を聞ける機会があるならどんどん聞いて、客観的な目でみてうちのお寺はどうなんだ?ということを視野にいれていかなければいけないよね」という話しをしていただいたので、私がひとつのパイプとなって皆さんに情報共有をするということができました。それでものすごく、檀家さんとのコミュニケーションもとりやすくなり、客観的に自坊を見れるようになったし、計画的に将来を見据えていきましょうという話もしやすくなったので、お寺全体の雰囲気が変わったというか色んなことに取り組むスピードもあがったなという感じがありますね。

松本塾長 それは嬉しいですね。未来の住職塾の受講を、お寺を変革していくきっかけに使っていただきたいということはすごく強い思いとしてあります。それは自分自身でお寺の事業計画を書くということもそうですが、これを出しとして使ってもらって「こんな課題が出たから皆で相談したいんだけど」というような声がけもどんどんやってもらえたら嬉しいです。というのも、なかなか普段何もないところでおもむろに総代さんに「これからのお寺のビジョンを考えましょう!」と言うと、身構えちゃうようなところがありそうです(笑)でも「私はこんな塾に通っていて、こんな課題があるから付き合ってもらえませんか?」と言うとハードルが下がると、結構多くの塾生が仰っているので。そしてまたその時に、住職塾で聞いた事例の話もできるので「こういうことを具体的にやっているお寺がありますよ」とか、お伝えすると「そうなんだ」と、お寺に関わっている人の視野も広がっていく。そんな風にも使っていただけたらと思いますね。

木村講師 冨田さんのお寺の総代さん、非常にいい方ですね(笑)お寺を客観的にみるということが本当に大事なポイントだと思うのですが、お寺業界は特に「主観とのたたかい」だなと僕は思ってます。「そんなことは、ワシは好かん」とかですね(笑)好き嫌いでものごとの判断がされると議論になりませんよね。そういった意味で第三者的な事実であるとか、様々な事例やデータを用いることで、客観性のある議論にもっていくというのが、お寺の運営には重要なことかなと。
塾で知ることのできる事例や周りの塾生の目も使うことが、ご自坊の檀家さんや関わりのある方を説得するためにも少しは役に立つのではないかと思っています。そういった意味では冨田さんのお寺ではうまくつかっていただけたのではないかと。まだまだ始まったばかりかと思いますが、引き続きそういった形で頑張って頂ければと思います。

冨田さん ありがとうございます。

難しいのは計画を実行段階まで落とし込むこと

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松本塾長 難易度はどうでしたか?R-3をやっていくにあたっても、参考にしたいですが。

木村講師 5段階で難易度をあらわすとしたらどうでしょう?

中村さん 難易度でいうと、マーケティング用語の言葉をご存知無い方は、慣れるまでは難しいと感じるかもしれません。私は若干馴染みがあったので、MAX 5とは言えないのですが(笑)3〜4くらいですかね、、、。
冨田さん 私は3くらいかなと思いますね。用語自体は全くゼロからではななかったのですが。特に難しいなと思ったのは、受講している間は「わかった気になる」のですが、それをいざ現場で明日から法務に活かすとなると、やっぱまだできていないなという自己評価になります。結局「なんのために学ぶか?」と考えたら、お寺の現場で活かさなければならないので、そこへの切り替えというか実行レベルまでに落とし込む難易度としては高かったと感じています。

松本塾長 うーん、それはその通りだと思います。

冨田さん ただ、ある時から吹っ切れたタイミングがあって、「理解してからやろう」ではなく、やってしまってから皆さんからの苦言も含めて、ご意見をいただこうと切り替えたんです。その瞬間から、よくもわるくもトライ・アンド・エラーのスピードが急加速したので、失敗したとしても周りの人からすぐに救済していただけたこともあって、アクションを結果につなげることが早くなってきました。最初は苦しかったとしても、どこかで吹っ切れるタイミングがあれば、楽しみながらやっていけるんじゃないかと私は思いますね。

松本塾長 お寺の事業計画も「やるために書くもの」なので、実際につかってどんどん進めていただくと。書いた時点では「こうかな」と思っても、歩み始めたら「違ったな」ということもありますので、その都度どんどん修正をしながら、今の冨田さんが言われたようにトライ・アンド・エラー、どんどんやってみることにチャレンジしていただきたいですね。

木村講師 用語について講義の中でご説明はちゃんとしますが、敢えて世間で使われる用語をそのまま使っています。やっぱり世間の用語に慣れて頂きたいなと思うので、説明をした上でその言葉を使っています。同じ様に、ITツールもつかっていただきます。オンラインの塾になりましたし。「住職塾に参加しているお坊さんはマーケティング用語も知っていれば、ITリテラシーも高い」ようになっていただきたいと思い、敢えてそのようにしています。
そして実行性において難易度が高いのは当たり前です。経営というのはNPOでも会社でも同じです。海外では宗教法人、病院、学校、全部NPOとしてマネジメントの教科書がありますが、日本においてはお寺ではマネジメントというものはあまり重要視されてきませんでした。ですからそのマネジメントを学び、実行することは言ってみれば、中小企業の社長さんになっていただくことに等しいのです。聞いただけでできるようになったら凄いことですけど、普通はわかった気になって「あれ?」となるのが当然です。冨田さんが仰ってくださったように、トライ・アンド・エラーを繰り返していただくしかないですね。

松本塾長 オンラインの良い点として、講義の録画データが共有されるので何度でも見て復習できるということがあります。昨年の受講生で一つの講義を10回くらい観たという方もいましたね。お参りに行く途中の車でずっと聴いていたら「最初はなかなかわからなかったけど、聴いているうちに段々とわかってきました」と仰っていて。
あと、もちろんわからないことがあれば質問していただければ、私たち講師も答えていきますので、ご安心ください。

中村さん、冨田さん、ありがとうございました!

未来の住職塾NEXT R-3 オンライン体験会のおしらせ

2021年6月より開講となる「未来の住職塾 NEXT R-3」は、宗教・宗派を超えた宗教者達が共に学び、変化の激しい社会において持続可能な寺院(および伝統仏教寺院に準ずる運営形態を持つ宗教施設)の姿を描き、計画・実践するためのオンラインの塾です。

今回はオンライン体験会ということで「未来の住職塾 NEXT R-3」での学びの内容や進め方についての説明&ミニ講義や、昨年の受講生による感想シェアリングなど、まさに塾の雰囲気を体験していただける内容になっています。

オンライン化の他にも「フェロー/奨学生」としての受講といった新しい要素があるため、これから初めて受講を検討している方のみならず、過去に旧プログラムを受講された方にもご参考になるかと思います。
無料のオンライン体験会ですので、ぜひ気軽にお誘い合わせの上ご参加ください!

未来の住職塾NEXT R-3 オンライン説明会
日時:2021年5月6日(木) 13:00-14:30
出演:松本紹圭塾長、木村共宏講師
方法:Zoomミーティング
参加費:無料
申し込み:下記のリンク先Peatixにてお申し込み


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