2024年5月のプロレス感想

ジェームズ・エリスvsグリンゴ・ロコ(IWN 2024/2/29)

エリスは昔のMJFのよう。
徹底したヒール戦法をグリンゴに対してとっていき、主導権を握ります。
必ずしも最大限有機的に組み合わさっているとは言えませんが
一つ一つのダーティーワークは歴史が答えを示している通り効果のあるものなので
王座戦としての雰囲気づくりという点では成功している。
フェイバリットムーブもクラバット+ロシアンレッグスウィープという
オールドスクールの極致みたいな技で、当人が好きで
このスタイルをやっているというのが伝わってきますね。
一方のグリンゴも安定した働き。彼が著しくミスをした試合を見たことがないですね。
そういう部分でこの試合の枠組みを堅牢にしたのは他ならぬグリンゴです。
目新しさはないが王座戦として両者が適切な貢献をした試合。

***1/4

ロイス・チェンバースvsサム・ヤニス(ROW 2024/4/21)

若き至宝チェンバースが遂に復帰。
驚異的な身体能力はそのままに、以前よりスケール感が増していますね。
そんなチェンバースの復帰戦を務めたヤニス。
初見なのですが、無名レスラーとは思えないほどポイントを押さえています。
スマートな首攻め、ヒートの買い方など、彼も今後に期待させる働きを試合の中で見せ続けた。
終盤の攻防は復帰戦とは思えないほど熱量があり、
このところやや停滞気味だったオセアニアのレスリングシーンに
風穴を開けてくれるのではないかと大いに期待してしまう内容でした。

***1/2

トレイシー・ウィリアムズvsトニー・デッペン(Wild Zero 2023/11/12)

観客は好き勝手に騒いでいますが、そんなことは関係なく二人の世界に没入。
静と動、緊張と緩和。レスリングかくあるべし、ということを理解していますね。
その中でデッペンがヒールとして動く。
とはいえインディーもインディーなので大仰な演出があるわけでもなく、
あくまでキャラクターの一つとして顕現しているというのが奏功しています。
終盤もデスバレーかと思いきやニー・クラッシャーだったりと
この二人らしい変化を加えた持ち技の運び、展開。
CHIKARA系でもあり、縁深いこのカードから想像される面白さは担保されている。

***1/2

フォラステロ&サンソンvsイホ・デ・LAパーク&LAパークJr.vsデモニオ・インフェルナル&トラウマⅡ(AVE 2024/2/3)

前半はとにかく乱戦、乱戦、乱戦。
形式的でなく、全く秩序なんてありはしない。
そこに観客がいようが関係なく、むしろ観客の近くで乱戦を試みているかのよう。
治安悪い系ではなく、正真正銘治安の悪い場外乱闘です。
ルチャ・エクストレマというほど狂ってはいないが、
それでもインディーでこれだけの迫力を出してくれたら熱も入るというもの。
後半は打って変わってまったりとした3ウェイ。
とはいえ王者組が安定したタッグワークを見せたりと一定の評価はできる。
やや試合時間が長いような気はするが、見ておいて損はさせない内容に仕上がっています。

***1/4

カルロス・ザモーラvsエミリアン・ルイス(NEW 2024/2/3)

両者とも久しぶりに見ますが良い方向へ進化を遂げていますね。
ルイスは素人っぽさが消え、パワフルなヒールとして堅実な働き。
王者のザモーラはベビーフェイスとしての立ち居振る舞いがローカル団体では傑出しており、
もう少し上のステージで闘っていてもおかしくない選手ではある。
試合はルイスの首攻めでテンションを維持しながら適切な一進一退。
特別高度な内容ではありませんが、試合が壊れていないというだけで
価値があることを忘れてはいけません。
フィニッシュがチープすぎたのでその点は残念だが、再戦を見据えているという意味では悪くない。

***

オースティン・ルークvsライアン・クランシー(BSP 2024/5/25)

共に技巧派を自認する若手二人ということもあって、レスリングのぶつかりあい。
お互いに心地よい時間、観客も見入ってしまう空間を作り上げるのが上手いですね。
クランシーが意図的にノイズを挿入し、形のみに依拠したレスリングでないのもポイント高い。
そこからクランシーがヒール調に転回し荒っぽく攻め立てます。
どのスタイル、どの土俵に乗っても自分を崩さないクランシー。
また、ルークのフランチャイズプレイヤーとしての立ち回りも見事。
終盤もお互いのターンを設けながら、過度に熱量の押し売りをしない辺りが奥ゆかしい。
二人とも同じ2019年デビューということもあって、今後も高め合って欲しいですね。

***3/4


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