2024年1月のプロレス感想

ジョードン・ブレイクスvsコナー・ミルズ(WrestleForce 2021/10/23)

丹念にグラウンドの攻防を。
一つ一つの動きにちゃんとした理由があって、筋が通っているのが素晴らしいですね。
形だけ整えればいいという選手が多い中、この二人は違う。
ミルズのペース・チェンジは鮮やかだったし、ブレイクスの反撃方法も
彼のスタイルに基づいている。試合全体の設計図を二人が共通認識として
描けているのが手に取るように伝わってきます。
小会場でも全力を込めて取り組む二人の姿勢を大いに評価したい。

***1/4

青野未来&天職ゆいvs澄川菜摘&夏葵(アクトレス 2023/12/23)

まず一つ。
初見でも分かるように関係性を明示することが出来ていますね。
青野vs澄川を軸に据え、天職と夏葵が二番手として張り合う。タッグの王道です。
青野は団体のトップのようですが自己主張は控えめ。
蹴り含めまだまだ隠し持っているものはありそうでしたがね。
澄川はエルボーの打ち方がいい。いわゆる上手い人のフォームになっている。
また過激度の上限値を考え、技において変則的な部分を織り交ぜているのもグッド。
天職が負けるんだろうなと思わせる典型的な試合の流れでしたが
彼女が今できる最大限の粘りを見せ、試合としての体裁はしっかり作ったのでOKかと。

***1/4

ミラクル・ジェネレーションvsアウトフィールダーズ(Pizza 2023/12/29)

久しぶりにアウトフィールダーズを見ましたがやはり良い。
前から素晴らしいタッグだと思っていましたが、一段と練度が上がっていますね。
マッコイの人を食ったような動き、ハットフィールドの古典技掘り起し。
それらが絶妙なバランスで自己主張し、くどくないギリギリの土俵際で留まっている。
絶対王者のMGも間違いのない働き。キングは型にはまらないアスリート性を発揮できているし
ウォーラーは今風のトレンドの中でも最新最速を行く、正にフラッシュ。
最近はインディー団体でもメジャー的なタッグマッチが増えましたが、
実にインディーらしい開拓精神あふれる試合でした。

***1/2

クロウチェスターvsセンザ・ボルト(GWF 2024/1/7)

ハイフライヤー同士華麗な攻防が中核に据えられるかと思いきや
ボルトのチョップが代表するように熱量高く技を打ち合っていきます。
位置付けとしてはIC王座のようなタイトルなのでしょうが
それを感じさせないインテンシティーの高さ。
クロウチェスターも相手の領域に入り込み、常に相手を上回り続けるという
試合として理想的な放物線を描いていますね。
そして何よりボルトのテンポ、リズム、間合い。
観客を掌に載せているかのような心地よさがあります。
個人的に期待値が高かったのですが、その通り素晴らしい試合でした。

***3/4

ライアン・ムーニーvsグリフィン・マッコイ(CZW 2024/1/7)

初見のムーニー。
技の組み立て方が特徴的ですね。リングギア含めファンの印象に残る努力をしているのは好感。
ただレスラーとして完成形かと言われるとまだまだ発展途上だよ、と返したくなる拙さもある。
そういった部分も考えてやっているなら策士ですが。
一方のマッコイ。CZWのエースとして堂に入った試合運びが良いですね。
それは一部分ではなく、試合全体において常にベストなパフォーマンスを出す努力が出来ていた。
やはりインディーでの経験が彼を大きく育てましたね。
誰にでもお勧めできるほど凄くはないが、インディーも思ったよりやるね、
という感想を持つには充分でした。

***1/4



カンジvsサファイア・リード(RevPro 2024/1/7)

コンテンダー・マッチですが…。
カンジの上手さは周知の通りとして、新鋭サファイアの才気が素晴らしいですね。
2021年デビューながら各団体で重宝されているだけあり、段階の踏み方が理想的。
3本勝負という難しいテーマを見事に乗りこなしている。
1本ごとに求められる要素をしっかりと全うし、ボリュームを増す攻防も流石のもの。
両者とも場面転換のスキルに優れているので、ダレることもないですね。
それこそトニー・ストームやジニーがトップを張っていた頃と比べると
UKの女性部門も代替わりした感じがありますね。新陳代謝がしっかりできており健全です。

***1/2

ジョシュ・アレキサンダーvsファスト・タイム・ムード(Unlimited Wrestling 2023/10/14)

気鋭の若手ムードですが、流石にトップランカーのジョシュを向こうに回すと分が悪い。
個人的に仮想ベイリーのような働きを期待していたのですが、少々高望みしすぎましたね。
しかしこの試合はそれを補うようにジョシュが素晴らしかった。
普段と何ら変わりなく全精力を試合に注ぎ込む。
そのモチベーションとコンディションの高さには敬服しかないです。
ムーンサルト、スピニングツームストンまで出す大盤振る舞い。
ムードの限界値を引き出すキラー・モードで金星に導きました。

***1/2

マット・サイダルvsクロウチェスター(Unlimited Wrestling 2023/10/14)

サイダルの状態が極めて良い。
意識と肉体、やりたいこととやれることに齟齬がなく
昔のようにいらぬ不協和音を漂わせなくなっています。
クロウチェスターもずば抜けた身体能力を見せながら
セコンド介入によるヒールワーク。
このセコンドが少し下手だったのはさておいて、間違いのない最善手を選び続けます。
ある程度の面白さは担保されていたが、想像以上に中身の詰まった内容。

***1/2


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?