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1ユーザーがマイナーゲームの人口を増やすには

 前回、AOE2DEの日本人プレイヤー数を推測するという記事を書きました。

 意外に多くの人が興味を持ってくれたようで、それぞれの立ち位置にいる人が、それぞれからみた人数や感想を教えてくれました。
 ざっと書くと、現役1v1ランク勢はだいたい140人程度、今でも初心者向け動画は伸びている、生配信のアーカイブ(youtube, 3時間, 1か月前)の再生数が3000程度、大手コミュニティの初心者サーバーの参加人数が20人程度、という感じです。

 これらを見ても、前の記事は大きく外れていないかなというのが印象ですが、前回の記事で使った"17000~26000"も"1.57%"も大きな所から持ってきた揺れのない数字なので、本当にそうなのかはわかりません。
 ”もし正常ならば”270人から400人はプレイしているだろうということで、現状がどうかはわかりません。
 はっきりと調査された信頼のおける数字が無いのでこれ以上人口について語るのは無意味です。

 今回の話題は、ゲームの人口は5つの階層に分かれていて、それならそれぞれの層を増やすための適切な方法があるのではないか、という話です。
 
 AOE2自体が少々特殊な状況、性質を持ったゲームですが、シングルもマルチもできるマイナーゲームであるという前提で話を進めています。一般的な知名度があったりマルチしかないゲームだと少し話は変わってきます。
 AOE2がマイナーかどうかという議論は置いておきます。日本人プレイヤー数が400前後らしいというフレーズを、メジャーととらえるかマイナーととらえるかはそれぞれですが、少なくともメジャーではないだろうという印象です。

 今回はそんなマイナーゲーム界の人口を増やすにはどうしたらいいか、ということを考えていきたいと思います。

 全文10,000文字とちょっと長めですが、なにか良い案だとか、ご感想ご意見などあれば、ツイッターやここのコメント欄に残していっていただければと思います。

 なお、今回の記事は私の個人的な分析と意見であり、何かを批判しようとする目的で書いたわけではないということをご承知ください。
 また、私自身は統計学や経済学もド素人で、マーケティングなんかにも全く詳しくありません。従って根拠に乏しいと言われたらそれまでです。ご了承ください。

■ユーザーの段階と特徴

・ユーザーの段階

 界隈の人口を増やしたいと思っていたとして、ではどの層、つまりどんな人を増やしたいのかということが問題になります。
 買う人を増やしたいのか、一緒に遊ぶ人を増やしたいのかという問題です。
 だいたいのマーケティングは前者を目的として語られますが、我々ゲーマーにとっては後者が目標となるでしょう。
 1000本売れて100人がマルチで遊んでいるゲームと、10000本売れて100人がマルチで遊んでいるゲームには、(売り上げが悪すぎてサービス終了にならない限りは)我々にとって何の変わりもありません。

 販売数ではなくアクティブプレイヤーが多い方が、何かと自分のプレイ体験に良い影響があるだろうと考えるのは自然なことです。

 ではゲームのユーザーにはどんな階層があるのでしょうか。
 ライトユーザーだのガチ勢だのそういうざっくりとしたものではなく、もう少し細かく次のように階層分けしてみたいと思います。

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 独楽のような形にしてみましたが、これは人口の大小を表すものではありません。ハマり具合(プロセス)の話です。
 上から順に、このゲームのことを知っている層、買ってやってみた層、攻略情報を収集しようとして何かしら調べた層、マルチやコミュニティに参加した層、最後に何かしら作ったり大きな大会に参加した層です。
 各層の内容はゲームによって微妙に異なることでしょうが、とりあえずAOE2であればこうします。

 もう少し詳しく分けられそうな気もしていますが、分かりやすいので5段階とします。
 マーケティングだとAIDMAだのAISASだのは私でも聞いたことがある単語ですが、今回はゲームソフトを買わせることが目的ではなくプレイ人口を増やすことが目的なので、概要は似ていても中身が少し違うかなという印象です。門外漢なのでもっと適切なフレームワークもあるのかもしれません。

・各段階の特徴

 各層の特徴を見てみましょう。
 一番上は知っているけど買っていない、昔CD版やHD版はプレイしたことあるけどDE版は持っていない、自分でやるのは難しそうだから動画や配信は見ている、というユーザーです。そこそこ多いのではないかと思います。
 これ以前の段階に、発売していることを知らない、存在自体を知らないという層があります。

 次の層は実際に買ってみた層です。ちょっとプレイした、2週間程度プレイして止めた、チュートリアルとキャンペーンを1,2個やった、シングルで何回か遊んだ、友達ともちょっと遊んだ、そして次のゲームに移ったという人たちです。
 これはかなり多いのではないかと思います。AOE2で言えば手軽に買える値段であることから、"知っている層”よりおおいかもしれません。
 前の記事で3万から8万は日本人購入者がいるだろうということを書きました。国内売り上げ数万本という記録がゲーム業界的にどうかと言われれば微妙ですが、現在の人口から見ればはるかに多い数です。
 こういった層は、ネットニュースでそのゲームシリーズの情報を知ることでしょう。また、動画や配信を見に来るほとんどの層はここと次の層なのではないかと思います。

 買ってみて面白い、ちょっと真面目に遊んでみよう、という人は次の層に進みます。これがある程度積極的に攻略情報を探す人です。AOE2ならば何人進化だとか強い文明だとか、そういう情報を求めてGoogleで検索をかけ、それらのページの表示回数のカウントを回します。そういった情報はだいたい先行しているユーザーが出したものなので、二次コンテンツを消費する人数ということにもなります。
 もちろん指針は攻略情報を見るか見ないかということではなく、ある程度長い期間継続的に遊ぶ人とも言えて、ここがいわゆるライトユーザーといったときに想像しうる範囲の層です。この人数は正確に図ることはできません。キャンペーンだけを遊んでいたり、シングルやごく小規模のローカルコミュニティ(もしくは野良)で遊んでいたりするのです。
 例えば私のツイッターアカウントに反応をくれる大部分の人は、ここの層かなという印象を持っています。そして、ここ以下の層がまとめて、Steam等のデータでアクティブユーザー数としてカウントされるのではないでしょうか。内容にかかわらず週に何度かはゲームを起動する人間です。つまりはここを含めた以下3層が270人~400人(上振れ530人)の内訳です。

 次は自分の実力を基に交流を図りたいという人たちです。
 マルチに参加してみたり、コミュニティに入ってゲームをします。今の対戦ゲームはチュートリアル(もしくはストーリー)が終わったらすぐオンラインという流れが一般的なので、AOE2においてここをどのように位置づけするかは難しい問題なのではないかと思います。
 この層はSNSやディスコードで活発的にコミュニケーションを取り、そのゲームのコミュニティを活性化させます。そのため、ここの数を見てアクティブユーザーがどう、過疎ってる盛り上がってるなどと考える人も中にはいるかもしれません。

 最後は何かしら外に向けて発信している人達の層です。
 印象が強いのは配信や動画を投稿する人たちですが、もちろんそれだけではありません。コミュニティ運営、攻略サイト運営、MOD製作、大会運営、スポンサーといった活動もそうです。もしくは、私はこれが一番大事な存在だと思っているのですが、何かしら世界的な大会に出場するのもこれに含まれるのではないでしょうか。
 とにかく、今やっているプレイヤーはもちろん、知らない層にまで働きかけることができる(消費できる)ものを何かしら作り出したり運営している層です。

・どこに向けてのアクションか

 こんな感じで、一口に人口を増やしたいといっても対象の背景や事情が違うのだから、取る手段やその内容、発信する方向によっては効果の現れ方は違うと考えられます。マーケティング的な言葉を使うなら、コンテクストを意識するべきです。
 同じ図をもう一度載せます。

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 例えばこの記事は一番下の層かそこに加わろうとしている人に向けての記事です。この記事をゲームを買うか悩んでいる人に読ませても、ゲームを買おうと決めるどころか、買うことを止めるまであるでしょう。
 このゲームに限らずたまに的外れな宣伝をしているのを見ることもありますが、人口を増やそうとする場合には、どこの層に向けてのものか、そしてどういう効果を期待するのかはしっかりと設定しておいた方が良いでしょう。もしくは後から分析して方向性が目的と合致しているか見直すべきです。

 ここで言う目的とは、そこに定着させたいのか次の層に動かしたいのかという具体的なものです。
 例えば攻略情報を調べる層を定着させたいなら持続的かつ段階的な情報のアップデートが必要ですし、そこからコミュニティに移動させたいならばコミュニティの宣伝ツイートや雰囲気を知らせる動画を出すなどの方法が考えられます。
 
 そしてできることなら、その宣伝手段でどれくらいの人に届きそうかということも考えた方が良いでしょう。
 例えば、私がAOE2で役に立つMODを作ったとしても、私のフォロワー数が400程度のツイッターアカウントで宣伝するだけでは、必要としている人のところには届かないし、将来的に必要とするかもしれない人にも届きません。
 そうであるなら、検索されそうな形で記事を書いておいたり、比較的多くの人が見てくれていて後からでも目に留まりそうな動画で告知したりという手段が必要です。

■各層に有効な手段は

 人口を増やすというのは、どこの層に対して何を目的としているのでしょうか。知っている人を増やしたいのでしょうか、買った人を増やしたいのでしょうか、それともコミュニティ参加人数を増やしたいのでしょうか。しつこいようですが、もう一度図を載せます。

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 各層の境界線には、2本の線を書きました。
 これは次の階層に移動するハードルだと思ってください。各層を増やすには、どうしても前(上)の層からハードルを越えさせなければいけません

 まずは無数にいるSteamユーザーやゲームファンを、このゲームを知っているという状況にしなければいけません。そして知っている人に買わせなければいけません。買った人が攻略情報を調べた時、ちゃんと情報があって、”ゲームが分からなくて投げた”という状況になることを防がなければなりません。ある程度ゲームに慣れた人が、楽しくマルチをできる状況になければなりません。その楽しい状況がもっと長く続くように何かできる、良い方法を見つけなければいけません。

 このようになっていると想定するなら、どの層を増やしたいのか、次の階層に移動させたいのか定着させたいのか、コンテンツを作るときには考えなければならないのです。

 次からはいよいよ具体的な案を見て行きたいと思います。

1.このゲームを知っている人を増やすには

 ここでの方法は容易であるように見えて、我々一般ユーザーが取れる手段はそうありません。
 流行っている形式で動画を作るのがせいぜいです。ほかにはインフルエンサーが動画や配信上でプレイをする、Steamの広告や類似ゲームでたまたま目にする、youtubeでおすすめに出てくる、SNSで拡散される、ローカルコミュニティに直接広めるなどが該当するでしょう。
 一番手っ取り早いのは運営が案件や広告を連発することですが、マイナー界ではそういったことは期待できません。
 邪道ですが、他のゲームでフォロワーを稼いでから本命のゲームをやるというステマ紛いな方法もあります。

 そして、このゲームを知らないという人が見に来る可能性があるコンテンツには、ゲームの概要やルール説明が必要です。例えば動画シリーズのPart1の冒頭や、大手メディアのニュースサイトでの説明文がそれにあたります。ゲームの説明をすることで、とりあえずは知っている状態を作り出せ、それが次のハードルを越える前提条件になります。

2.買う人を増やすには

 "買いたいと思えるかどうか"は個人の感性やゲームの出来によるので難しい話ですが、宣伝に工夫のしようはありそうです。
 このゲームではこんな体験ができますよ、実際にやってみると面白いですよ、自分はこれくらいハマりましたよ、という文言はこの買う層を増やすためのものです。運営側の努力で言えば、セールも買ってみるかという人を増やすためです。

 こういった層を増やすための宣伝は、多少そのゲームの本質から外れていたとしても、一般的に見たゲームの魅力について語らなければいけないでしょう。必要なのは分かりやすさです。
 AOE2なら「自分でも町を作ってみたい、大規模な軍隊を編制して敵国を蹂躙してみたい」と思わなければいけません。画面が地味、何をやっているか分かりづらいというのが、ここでの障害になってきます。
 直近の例で言うとAOE4のトレイラーではここをかなり意識した作りになっていると思いました。

 現役プレイヤーからすれば「AOE2の醍醐味は戦術の相性や内政の完成度から繰り出される素早い攻め、文明を読んでの戦術選択だ」と感じる人もいるとは思いますが、それはこの次の層に伝えるべき内容であって、ここに向けての話ではありません
 そういった抽象的とも言えるフレーズは"何やってるかわかりにくいからいいや"になり兼ねません。

 余談ですがSteamChartsによれば、DLCの情報が発表された12月頭から最高同接数が伸び、DLCが発売された2021年1月は同接数の最高値を更新していました。そこから徐々に下がりましたが、平均値は伸びています。買った層の数の多さと次の層の増加を示す資料でしょう。

3.攻略情報を見るような人を増やすには

 AOE2は分かりづらいゲームなのでぱっと触っただけでは「これだけ面白いゲームなのだ」と実感することが困難です。
 もちろん普通にやっても面白いのですが、中には面白さを把握できずに2週間程度で止めてしまう人もかなり多いはずです。

 そういうわけで、ここで大事になってくるのがこれまでの下地です。
 買う動機となった動画や配信、ストアページ、レビューで、どれだけ魅力的なことが流せているのか、どれだけこういうプレイがしたいと思わせたかということです。
 そして、必要な攻略情報がしっかりあること、探しやすい状況であること、理解しやすいものであることが重要です。

 ただこれらも、自分にはできそうにないから見てるだけでいいや、と思わせかねない諸刃の剣です。高度なゲーム性はこの段階に来るのを止めさせてしまいかねないのです。

 私自身で振り返ってみると、APEXがそうです。読み合い、戦術性、撃ち合いの緊張感、スキルの巧緻など、配信や動画を見てる限りは面白そうです。
 一方でその楽しさを自分が味わえそうかといえば別です。そもそも土台にはある程度のエイム力や集中力が必要となってくるわけです。実際にプレイしてみると余裕が全然ない事にも気が付いてしまいます。1年ほど前、80時間ほどやってプラチナ3と4を行ったり来たりしてるときにやめました。

 そんなわけでもう私のPCにはAPEXは入っていないのですが、それでも配信や動画は興味がある人の枠なら見に行っています。しかし、ブームが起きたタルコフやヴァロラントには手を出す気がありません。
 もしくは将棋などのボードゲームもそうです。

 これと同じことがAOE2でも起こることでしょう。ある程度ゲームの事をしっていて、もうゲームはやっていないけどゲームのことは一通り分かっているしコンテンツは見ているという人が、一つ前の"買ってみた層"の中にいるのです。

 だから私は一時停止を推奨しますし、キャンペーンを重視しているのです。

 この展開の仕方は一足飛びのようにも見えますが、世間的に大流行りしていて一緒にプレイする仲間が手軽に作れるゲームではない以上、個人的には良い手段だと思っています。ある程度時間が経てばこのゲームの魅力には気が付くことができます。AOE2は毎度1からゲームを始めるので、ゲーム自体のリプレイ性は強いのです。
 買った後にやり続けてもらうことが、ひとまず大事なのです。マルチこそが至高と思うのは分かります。そして自由にそう思えばいいでしょう。

 ですが、今やっている人数とやめていった人数、つまりは買った人と今でも起動している人の差というのはここのハードルの高さがあります。買った人数は数万人いるの(だろう)に、起動しているプレイヤー数は400人程度なのです。

 買った後、ここの層にたどり着けるかどうか、ここに定着するかどうかというのは、現役プレイヤーが努力できる最大の部分です。

 難しい話ではありますが、様々なレベル帯に合わせたコンテンツをそれぞれ分けて発信することが重要なのではないでしょうか。AOE2で言えばキャンペーン攻略と縛りを加えた対AI戦とマルチ対戦動画では、その動画を見たいと思う人というのが微妙に違ってくるのが想像できると思います。
 APEXで言うなら、キャラのバックストーリー解説と、キャラや武器の基本的な使い方立ち回り講座動画と、細やかな戦闘技術解説講座では、視聴者層がある程度は違ってくることでしょう。

 全く違う方向から私の活動で言えば、MODを作ってプレイしやすい環境を作る、日本語の情報を提供するといった活動も、ここの層に定着させるために役立つことでしょう。

4.マルチやコミュニティに入る人を増やすには

 AOE2では公式のマッチングシステムが長い間機能不全を起こしていたために特にその色が強いのですが、対戦ゲームにはほぼ必ずファンコミュニティがあることだろうと思います。
 そしてAOE2に限らず、マイナータイトルのプレイヤーであれば、そのコミュニティのみが最後の希望となっている場合も多いのではないでしょうか。

 マルチやコミュニティに参加する人を増やすには、そこのメリットや魅力を伝えるしかありません。
 内情、実情は知りませんが、今より活発にしたいと思うのであれば、何か考える必要があります。

 対人戦ができる実力を持つ日本人を増やせばマルチやコミュニティの人口問題は解決する、という考え方もわかります。私も同じ考えを持っています。

 とはいっても、マルチで戦える実力を身につけたから(AIでは物足りなくなったから)マルチをしに行くのか、マルチをしたいからマルチができる実力を身に着けるのか、という2つのプロセスがある事は認識すべきかもしれません。
 どちらの層を押し上げようとするかによって、それぞれ違った情報やアプローチが必要になることでしょう。

 いずれにしても、買ったし動画も配信も攻略情報も見ているけど参戦する気にはなれないという人はおそらく沢山いて、そんな人たちに何か特別な魅力を伝えなければここへのハードルを越えさせることはできません。

 例えば私がそうです。
 こんなに色々言っていますが、私自身はコミュニティに入っていません。

 ある経緯からマルチやコミュニティの恐ろしさを知っていたからなのですが、そうやって始めた活動なゆえに入っていない方が都合がよく、今でもコミュニティに入っていません。
 私の話は特殊すぎるので参考にならないにしても、外からみてハードルもリスクも高いというのは思う部分です。

 一人で遊んでて十分楽しいのに、マルチ参戦して何が楽しいんだ、そのリスクやエネルギーに見合った楽しみがあるのか、得られるのかというわけです。

 民度の問題でしょうか。オンラインゲームの流行り廃りを語るとき、すぐ民度の話になります。

 私は違うと思います。
 確かにAOE2は相手の作った物を目の前でぶっこわすという闇のゲームですが、噂によればFPSもMOBAも決して民度が高いとは思えません。それでも流行っています。人口が少ないからこそより悪い部分が目立つという見方もできますが、人口が多いからこそ民度が悪いという話もあるのです。民度と人口に直接因果関係はないでしょう。

 他のゲームと違うのは何でしょうか。
 一つ差があるとすれば、対戦相手です。対戦相手がAIの時、どのゲームジャンルでもだいたい単調になって面白みにかけます。オフラインFPSよりオンラインFPSの方が面白いのは、敵が思いもしない方法で来る可能性があったり、勝ったり負けたりのバランスがとれているからです。

 オフラインゲームは勝てなければ商品にならないので、絶対に勝てるようにできています。
 一方で正常なマッチングシステムがあるオンラインゲームでは、勝てない可能性が5割あります。そういう状況で勝てるようにあれこれ策をめぐらす、という点において高い魅力があれば、オンラインである必要が出てくるということになります。
 そういう視点で見ると、AOE2はAIの難易度設定は無限大なので、マルチに行く必要が無いといえばないのです。

 つまり、マルチの優位性を押し出したコンテンツを出していけば、コミュニティやマルチの人数を押し上げたり定着させられるでしょう。
 一つ注意が必要なことがあります。コミュニティの魅力を伝える際に、良い雰囲気であるというのは重要です。大前提です。大前提ですが、仮に広報のつもりなら危険性は認識しておくべきです。
 仲の良さをアピールするようなコンテンツはそこに入りたいと思う人を増やすものではありません。参入しない理由と定着しない理由を勘違いしてはいけません。求人に笑顔がたえない職場ですと書くようなものかもしれませんし、排他性を強めるものかもしれません。

 こんなゲームが体験できる、こんなゲームができて楽しかった、こんな情報が得られた、ということに重きを置いた情報が外に出てくると、入ってみたいと思える人も増えるかもしれません。社内レクリエーションのBBQの写真のようなものでは困りますが。

5.コンテンツを出す人を増やすには

 数々のハードルを越えてきた人で、人口を増やしたい、知って欲しいと思う人がなにか作り始めます。
 ここが増えることで、先ほども書きましたが、各段階の人々を次の階層に押し上げたり、定着させたりといったことが期待できます。

 しかし、これはもはやどうしたらいいか分かりません。
 もう運営の努力なのではないでしょうか。実際にAOE2の運営はMOD製作者と良くコミュニケーションをとってきました。バグ報告に対するレスポンスだけではなく、開発方法やデータの対応表を公開するといったサポートを、この1年半かなりしっかりしていました。
 ほかにも、運営開発側が常に新しいプレイ体験を提供してくれれば、ユーザーはそれについての攻略情報や動画を出し始めることでしょう。

 ユーザーから見たとき、ここに至るハードルとしてゲームの実力の問題と出力する技能の問題があります。
 ゲームの実力があまり高くなければ、そこまで面白いと思わせる事ができないかもしれません。もしくは"へたくそが何言ってるんだ"と思われるかもしれません。そういった心理的なハードルがあります。
 もう一つは製作技能です。配信なら配信すること自体に技術と環境が必要です。面白い喋りができるかどうかも問題です。喋りながら見苦しくないプレイができるかどうかも分かりません。

 すでに発信している側が、ここの層を増やすために何かできることと言えば、その際に気を付けたことだとか、やって良かったことなどのノウハウを提供していけばそこの人口は増えるかもしれません。増えないかもしれません。

 今まで人口を増やす対象について書いてきましたが、人口を増やすには、結局のところここの層の数がなければ話にならないのです。
 通常であれば、買って、一通り遊んで、それでおしまいです。それを先行プレイヤーであるこの層が引き止めるのです。

 あとは世界レベルで戦える人を増やすというのも、大きな手段です。例えば日本人が世界で活躍しメディアの目に留まるような結果を残せば、少なからず注目を集め、各層を大きく厚くすることでしょう。
 しかし当然のことながら、それは私の扱える範囲を大きく超えているので書くことはできません。
 これはあらゆる分野でも同じことが言えそうですが、日本という立地的に、どうしようもない原因があるのかもしれません。

 海外で大きな大会が開かれていたとしても、言語の壁、Pingの壁、時差の壁、法律の壁など色々な障害があります。そこを乗り越えて活躍しているのですから、並大抵のことではないでしょう。

・下から上を増やすという考え

 次の層に移動しやすいかどうかを見るとき、ハードルを下げる、ハードルを越える手助けをするのも重要ですが、次の層の人口が多いということも重要です。

 下の層の厚みを増すことで、上も増えるだろうという考えです。
 例を挙げるならコミュニティが活発なので、攻略情報を見たりシングルで色々遊ぶだけだったけど、コミュニティやマルチに参加してみようという動きです。もしくは、ゲームを買ったからゲームの事を知らない友人を誘ってみるという動きです。
 トップダウンで増やすのか、ボトムアップで増やすのか、と言い換えることも出来そうですが、中間層を増やすことは両方の効果が期待できます。

■おわりに

 今回はAOE2DEの各人口層にどのような人がいるのかということや、各層に働きかける手段を考えてきました。

 例外や実情と乖離したところなど、細かいところで的外れなことを書いたかもしれませんが、なにか発信するのであればどういった人たちを増やしたいかということを意識した方法が必要だということは、決して外れていないと考えています。そして、どれだけやっても十分ということはありえません。マーケティングという分野に身を置いている人からすれば恐らくごく普通の初歩的な話だったことでしょう。

 正直今回書いたことはAOE2界で言えば、本当に数人にしか需要がいないだろうし、その数人もすでに分かっている事だったかもしれません。急に必死になってどうしたのと思う方もいたかもしれません。

 自分でもどうしたのとは思いますが、そろそろAOE4が発売(2021年10月)されるのです。乗り換え時期というのはAOE2界にとって鬼門だったということは忘れてはいけません。AOE2は20年続いてきたのだから、なんとなーくこの先も続くだろうなというイメージはありますが、それは各転換期に尽力してくださった方々あってのことです。
 それぞれの節目で大きく人口が減ったというのは、外から見ていても思いますし、中から見ていても感じる方は多いのではないでしょうか。

 AOE4がちゃんとAOE2プレイヤーが楽しめる出来なのか、方向なのか、そして楽しめる状態が整うか、落ち着くかというのは全く分かりません
 移行も例によって遅々として進まないかもしれません。
 AOE4でAOE2に新規が入ってくる可能性だって大いにあり得ます。もしAOE4がぽしゃった時、AOE2が受け皿として機能していれば、人口を増やす要因にもできるかもしれないのです。

 今回書いたことは確かに机上の空論だったり、既知の事柄かもしれませんが、それでもこれから何かしようと考えている方の役にたてば幸いです。
 ここまでお読みくださりありがとうございました。何か意見や案があれば、是非可能な範囲で実行してみてください。

 なお、私自身の活動がどうであったかという話は、また機会があれば書こうと思います。


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