私とランジャタイの話。

25日から明後日になった本日27日。
私はまだ精神が現実に戻ってきていない。

あの日。
公演の終わりと共に行方をくらませた魔性の女性の姿を求めて、時々スマホのカメラロールを眺めている。
人々のスマホの中にのみ姿を残した、タバコ片手にすまし顔のその女性はもういない。
なんか…アカネさんだけで1本で話が書けそうです。


ひ弱な心身を「25日までは頑張って生きる!」と何とか整えて、無事ゴールテープを切った私は少し燃え尽き気味である。
良いものを見たので尚更だ。
昔から、どうしても素晴らしいものを見ると人生を終わらせても良いと軽率に思うところがある。

素晴らしいものを見たら他に何も見なくて良いような気がしてしまう。
割と早い段階で自分がそういう感覚を持った人間だとは気づいていたんだけど、そういう思考回路を今更どう直せばいいのかよく分からない。

文字を書いている間はそういうことを忘れられる。
思い出を綴る時、私は思い出の中にいられる。
好きなものの話を綴る時、私は好きなものだけを見ていられる。


だから、今日はこんなありきたりなタイトルで始める。
私とランジャタイがどう出会ったのかの話。



一期

…とは言うもののどこから振り返るべきか。
とりあえず、前の記事に書いた通りで私が明確に『ランジャタイ』という人達に意識が向いたのは2023年の年末頃なのは間違いない。


ここに至るきっかけがいまいちハッキリしない。
1つ思い出したのは、いつかのテレビで『ウッチャンナンチャン』をやっていた時のこと。
何となく見ていて、「…なんだったんだ」と思った記憶がなんとなくあった。

元々、お笑いはなんでも好き!というタイプなので話題になり始めている芸人さんの名前はどこかで聞いていることが多い。
ランジャタイも何かで見て知ったうちの1組だったのだろう。


二期

そんな彼らを昨年の晩秋頃にふと思い出して、あの人たちって普段何してるんだろうとYouTubeで検索した事が全ての始まりだと思う。
『まっちゃんはまちゃん』があった。
また「…なんだったんだ」と思った。


ランジャタイという芸人を『万人ウケはたぶん無いが1度ハマったら終わり型』だと思っている。
ハマる時が来るまではただ訳がわからないのだが、ピタッとハマった瞬間を迎えたらもう何でもいけるようになるタイプである。

私がハマった瞬間は『ウィーン少年合唱団』だった。
それまで頭の中はハテナでいっぱいだったのに、このネタで私は吹き出した。陥落。
『風猫』が中級者以上向けだとしたら、これは初級者向けだと思う。
笑いどころや内容が分かりやすい方だから。
他に初級者向けを上げるなら、個人的には『てっしん』をオススメしたい。

芸人として興味を持った私は、彼らの個の部分を知りたくなった。
それまでの印象と言えば、正直「ヤバいと黒い」だけだった。
2023年12月、彼らの本を買うことに繋がる。


本を読んで、印象は変わった。
「どうやら両方ヤバいっぽい…」
まさか、伊藤ちゃんの方もヤバいとは思わなかった。

文章は本当に面白かった。
私は『激ヤバ』の荒々しく叩きつけられるような文章にひたすら殴られて、最後の1文字を読むまで立っているのがやっと…そんな気持ちだった。
読み終えて矢吹丈が燃え尽きているイラストが思い浮かんだ。
滅多に出さない、本に挟まれている読者アンケートの手紙を翌日のうちに書き上げて送った。
伊藤ちゃんの考え方の方向性は私に似ていると思う。
今どきっぽく言うならINFPとかINFJとかの人な気がする。ちなみに私はずっとINFJだ。

『へんなの』はまさに国ちゃんの本だと思った、何から何まで自由奔放。
彼が愛する、作り上げたものを台無しにするという構成への強いこだわりを感じた。
これも美…かな、破壊の美。わからないけど。
朧気に国ちゃんという人が分かって、何か仕掛けがまだあるのではないかとカバーをめくった時の喜びはよく覚えている。


三期

読み終えてまたYouTubeに戻って、ぽんぽこチャンネルでネタ以外を昔から順に見始めた。
相方と言うよりは、友達とひたすらくだらない事をしてゲラゲラ笑っている様子が愛おしくなっていった。

私がランジャタイに小学生時代の楽しそうな男子達を重ねたのもこの時である。
羨ましいし気になるけど決して仲間には入れなかったあの感覚が蘇った。
鼻くそを飛ばして喜び、鏡の中の自分を笑わせることに全力になり。
良い大人ということも忘れて楽しそうな彼らが羨ましいと思った。
知れば知るほどヤバい、だけどちゃんとすべきところはちゃんとしてる2人の深みにハマった。

「この人達を見ていたら、何か面白いものが見られれるかも」
そんな気持ちになった私は、いつか生で会うことを1つの目標にした。
そして『マツクランジャタイ』に辿り着いた。
実際、ランジャタイを見ていたら面白いものが見られるかもという勘は当たったと思う。


影響

ランジャタイがきっかけで、地下芸人という世界があることを知った。
その頃、『水曜日のダウンタウン』でスベリ-1グランプリという企画が放送されエンジンコータローという王者が生まれていた。
その人のことも見たいと思っていたら、3月にライブあることを知った。

その他の出演者の中に荒波タテオさんの名前があった。
ランジャタイ、特に伊藤ちゃんのファンなら彼の名前には聞き覚えがあるだろう。
『激ヤバ』にも頻繁に登場する、伊藤ちゃんが率いる軍団の1人である。

実際にライブに行った、最前列で見た。
地下芸人さんのライブというのは凄かった。
これまで経験したことない異質のゆるさに驚いた。
ランジャタイを好きにならなければ、行きたくても1人参加のハードルを越えられなかった気がする。
エンジンさんと荒波さんにはサインをいただいた。
エンジンさんはサインの経験があまり無くて何を書くか迷わせてしまった。
芸人さんは皆がサインを持ってるものだと思い込んでいた私は少し申し訳ない気持ちになった、それでも捻って書いてくれた。
とても良い人だった。
世の中って色んな人が生きてるんだなと思った。


四期(今)

あの日見た「ウッチャンナンチャン」と言いながら舞台上を縦横無尽に跳ね回る芸人ランジャタイは、今や私の期待である。
国崎さんには好きな事をやり続けて欲しいし、伊藤ちゃんにはまた本を書いて欲しい。
ランジャタイが周りを巻き込んで2人で笑っているところを見てるのが嬉しいと思う。

1つ困っていることといえば、反町隆史さんを見たり『POISON』を聞くと彼らが浮かぶようになったことだろうか。もうGTOのオープニングは普通に見られない体になってしまった。


ちなみに『風猫』は未だ笑える領域に達せていない。
もしかしたら、上級者向けなのかもしれない。
深見千三郎師匠にまで見せてM-1の大一番に持ってきたのだからその可能性はある。
だとしたら、高得点を付けた志らくさんはすごい人だ。
いつかそのラインを越えて、完全に元に戻れなくなる日も近いのかもしれない。(了)

この記事が参加している募集

#推しの芸人

4,428件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?