ちいさい。

小さい物が好きで、それは自分が小さい(小柄)だからなのかな〜と思っていましたが、それだけではないのかもしれません。

小さい物だけでなく、小さい世界の様な物、虫かごだったり、おもちゃのブロックで作ったような物だったり。小物の見立のような事だったり。

いくつかの要素や物があることで、そこに小さな世界が生まれるような感じが好きなのかもしれません。

今、僕が住んでいる町は人口3万人以下のわりと小さな町です。

ここに来て12年がたとうとしています。

僕がここに来る一週間前に能登半島地震がありました。

僕はそれをテレビで見ていました。

なので、実際の大変さはわかりません、お話しを聞いて、その時の事を想像してみることしかできません。経験した皆さんの中には、きっとその経験はずっと記憶されていて、消えないものなのかもしれません。

そんな大変な状態のこの町とはうらはらに

埼玉生まれの自分はすぐ近くに海がある事がうれしくて、

毎日のように自転車で夕日を見に行ったり、

ただただ海が見たくて散歩をしにいったりしていました。

ここに来て一年目は車もってませんでした。(なので、自転車で隣町のココスまで行っていました。片道3時間かかります。)

そして、漆という素材と出逢い、おっかなびっくりな日々がはじまりました。

ここに来て最初の1年ぐらいはここの自然に触れながら楽しかったのですが、

2年が過ぎると、急に都会が恋しくなってきました。

金沢や実家の埼玉、ついでに東京にも行って来るのですが、そんな日の前日はわくわくして眠れませんでした。

あれを見に行って、あれを買って、あれを食べて・・・と欲望のリバウンドみたいな状態になりました。

そこから10年がたった今、ギャラリーや美術館があることは都会はうらやましいのですが、物や食に関してはそこまで都会に行ってどうこうしたいという思いが薄れてきました。

もちろん実物を手に取れる、体験するという事は大切なんですが、生活必需品や情報はインターネットで入手出来る物もあります。

というより、都会とか地方とかではなく、この人のこんなギャラリーや作品が見たい!という事が重要になってきました。

つまり、都道府県がどこかという事より、その土地の事というのは大切なんですが、

誰かによって選ばれて集められることによって生まれる「世界=店」を見たいのだと思っています。

ここ1〜2年興味深い場所を再発見しました。

それが結局、ここでした。

2年前ぐらいでしょうか、この町にあるスーパーの中のレストランで日替わり定食を食べていた時の事でした。

味噌汁の具に見た事のない海藻が入っていました。

店員さんに聞いたら「アカモク」でした。

ここに来て10年もたつのに初めて知りました。

というより、まだまだ、能登で食べたことがない物があることを知りました。

もしかしたら、この小さな町をよーく見てみると、まだ知らない、大きな世界が広がっているのかも知れません。

また、この町以外の色んな世界を見た後に、もう一度この町を見て見ると未知との再会があるのだと思います。

この町や、

もっともっと小さな世界がもっともっと大きな世界へと広がればと思います。