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『Cendrillon palikA』感想/ガラスの靴とハッピーエンド

美しいガラスの街≪透京-トウキョウ-≫。
――この街は、呪われている。

呪いは透京の住人を街に縛りつけていたが、
ガラスを身に着ければ外へと出ることができた。
ただし、日付の変わる0時前に街へ戻らなければ
体はガラスとなり苦しみと絶望の中、死を迎えることになる――。

変わらない日常の中、透京に住む少女は魔法使いに出会う。
彼は少女にガラスの靴と呪いを解く方法を教えた。
“街の中心にある時計≪審判のアストロラーベ≫の時間を動かせ”と。

一方で、6人の男たちにメッセージカードとガラスの靴の片側が届く。
誰かの思惑なのか、それとも神様の悪戯か。

少女は知らない。
呪いに隠された真実もガラスの靴に込められた想いも。
そして幾多の涙と運命が重なり合う、美しくも悲しい物語が幕を開けた――。

(※公式サイトより)

 今回久しぶりに感想記事を書くのはこちら。そもそも乙女ゲームをしばらくクリアできていなかったのでかなり久しぶりだ……今回はかなりリハビリ的というか、感想記事の書き方を思い出す位置付けなのでこれまで以上にざっくばらんに思ったことは滔々と書いていくスタイルにしていこう。

 つまり……これはよい感想ばかりではないということ……です!(ゆ~て発売からかなり経ってるタイトルだし、という感情も込みで)以降ネタバレありかもしれない!

黒禰=スピネル(CV:浪川大輔)

 今回は攻略順に記事を書いていく関係で黒禰から! わたしは○○になってから趣味趣向が変わった……みたいなことはほぼない人間だが、強いて言えば所謂ツンデレ的な属性への忌避感みたいなものは成人してからよりいっそう強化されている気がする。

 そんなことを感想記事で書くな! と思われるかもしれないが、黒禰、序盤のキャラ付けがかなり苦手寄りだったので初回に攻略するキャラクターではなかったかもと嫌な予感に苛まれながらのプレイだった。

 ようやくテンションが上向いたところが7歳年上の昔の女(!)がいることが匂わされたあたりだったのだが、淡い憧れ……レベルのものだったので明確に昔の女ではなかったけれど……。

 昔の女繋がりで行くと、女を介して知り合ったサブキャラクター(真犯人)に言及しておきたい。あまりにも突然の豹変になんだか面白くて笑ってしまったのだが、乙女ゲームのサブキャラクターは特定の攻略キャラクターにルートで豹変することが最早様式美となっているのでああこのパターンかと思いつつプレイした。BADエンドで大逃走の末黒禰の手を引いて透京入りして黒禰が死んでしまったのにはひたすら迂闊~! となったが、愚かな真犯人サブキャラクター枠としては面白かった。

 キスして謎に呪いが解決する展開にはマジでなに? となったのだが、正直未だにどうして呪いが解決したのかわかっていない。わたしが行間をすっ飛ばしてしまったのだろうか……。

紫鳶=クリノクロア(CV:日野聡)

 二人目はこの方、紫鳶。どう見てもメインヒーロー、どう見てもパッケージを飾るべく王子様……と思っていたらほんとうに王族だった。

 王子様という配役からして王族なのは納得なのだが、紫鳶自身が自分が透京に呪いをかけてしまったのか~~!! と苦しんでいたのはよくわからなかった。そもそもヒロインと透京で出会った記憶がある時点で追放されたのはここ数年の出来事なわけで、透京に呪いをかけた本人かも……! はさすがに飛躍しすぎでは……!?

 まあ、『パリカ』の男たちはBADじゃなく……あの……悲恋エンド的な方……で突然あらぬ方向に思考が飛躍し極端な行動に出る傾向が強いので思考の飛躍に一々引っかかっていたら身が保たないので話半分に聞くくらいでちょうどいいかも。透京に呪いがかけられたのは二百年くらい前……とのことだったので、ここ数年で突然お前が罪人! と追放されたという予想は今振り返ってみても面白いな。凄いヒロイックな思想だ。

 飛躍について一度横に置くとして、結局王族ってなんなんだろう。日本とか関西地方とか、現代日本にも通ずる呼び方が出てくる以上舞台となる透京は日本設定なのだろうが、そもそも名前からして和名ではないし……なんだろう……透京ってバチカン市国みたいな位置付けなんだろうか。それにしたって王族がいるのは「???」だけど。

 これは完全にただの覚え書きなのだが、ヒロインの兄から「俺達の家系は、やっぱり時計から離れられないんだな……」と語られた(=兄は一族の使命を知っていた)のは紫鳶ルートだけだったのが不思議だった。ライター複数人いるから情報が統一されていないのか、あるいはメインヒーロールートだからこそのサービスなのかどちらなんだろう。

泣虎=ピオニー(CV:鳥海浩輔)

 三人目は泣虎。プレイ当時につけていたメモに「今までで一番よかったかも」と書かれていたが恐らくは兄弟要素への加点だと思われる。正直これまでのルートのテンションについていけなかったためイマイチ乗り切れていなかったのだが、ここでようやくちょっと気持ちが前のめりになった感があった。やっぱり兄に崇拝に近い感情を抱いている弟というテーマ、永遠に擦れるし……。

 ただ、綸燈のスタンスは正直よくわからなかった。泣虎を突き放してみたり、泣虎の代わりに時計塔に閉じこめられてみたり……。一番理不尽だなと思ったのは時計塔にひとり封じ込められることを選んだ泣虎を止めなかった場合に迎えるBADエンドで弟失った報い! とかいって刺すところだった。これはシンプルに泣虎と対話をしなかった自業自得だろ。

憂漣=ミュラー(CV:内田雄馬)

 四人目、憂漣。プレイ当時のメモには「賢キャラのはずなのにアホな理由で発狂しすぎでは?」としか書かれていなかったので、多分そういうお話だったんだと思う。記憶を掘り起こしてみようとしばらく考えてみたり、スチルを眺めてみたりしたが、なんか話を聞かないオタクみたいな男だったな……ということしか思い出せなかった。

綸燈=ウェステリア(CV:興津和幸)

 五人目、綸燈。ここからネタバレあり! と公式から注意喚起をされている攻略キャラクターたちだ。泣虎ルートを先にクリアしているからこそ綸燈が一体裏でなにをしているのか知っている状態での攻略になるのだが、唐突な記憶喪失は結構無理矢理で笑ってしまった。まあ、わたしはヒロインが記憶喪失なのをいいことに自宅に軟禁し新婚生活ロールプレイに励んでいるような自己愛が強い男が好きなので綸燈ルートはわりと好きな方向性だった。

 年齢が32歳だと開示された時は思わず「冗談?」と思ったのだが、どうやら冗談ではないらしい。インナーチャイルドを抱えた32歳の「永遠」を求める男、アルバロ・ガレイとフィガロ・ガルシアの重ね技みたいだな。

 そういえばここに来てようやく綸燈が泣虎のガチ兄であることに気がついた。施設などでの兄弟分かと勝手に思っていた……まさかほんとうに血が繋がっていたとは……今更の気づき……。

廻螺=アマルリック(CV:花江夏樹)

 六人目、廻螺。ビジュアル的にはそこまで刺さらないキャラクターなのだが、ストーリーがちゃんとしているなあと思ったのは廻螺がはじめてだった。

 これまで度々話していることではあるが、インナーチャイルドやイマジナリーフレンドを飼っている男が好きなので廻螺はドストレートにイマジナリーフレンドを飼っていてよかった。本人はイマジナリーフレンドじゃないって言ってたけど、それはどう見てもイマジナリーフレンドでは? イマジナリーフレンドですよね? と躙り寄ってしまった。

 廻螺に失踪した兄がいるという設定があるが、人一人が行方不明になれるほど透京ってデカいんだ……と改めて透京ってなんなんだろうという気持ちになった。

歌紫歌=ガレ(CV:杉山紀彰)

 ラスト、歌紫歌。最後の最後まで透京のことがわからず、ハルモニアが一体なんなのかもよくわからなかった……。CV:村瀬歩の中性的なボイスがめちゃくちゃいいこと以外なにもわからなかった……そもそもエリス(漢字表記忘れちゃった)の男嫌い設定は必要だったのだろうか? 乙女ゲームヒロインの友人キャラクターのマイルド百合感、攻略キャラクターたちに唾つけません! と事前に宣言するための味付けのような気がしてしまいなんだか毎回苦笑いしてしまう。

 ヒロインの両親の死に纏わるあれこれに真相的なことがあるのかな~と思っていたのだが、どうやらこれまでのルートで語られていた通り0時をすぎてしまった(あるいは硝子を落とした)ことによる事故死がすべてなんだろうか。そこに真相があるのかと思っていたので、なんだか肩透かし感があったが魔法使いにしてほんとうに二百年の時を生きた王族枠であることが最後に開示されたのでまとめ的な位置付けとしてはちょうどよい味付けかもしれない。


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