Prison Bond(ヴィンテージ土地単)の解説

MTGヴィンテージのデッキ解説が集まるにつれて、以前の一問一答があまりにお粗末(というか何も解説をしていない)ので、改めてPrison Bond(ヴィンテージ土地単)について解説記事を書きたいと思います。決してヴィンテージDiscordのドンである添〇氏に脅されたとかそういう訳ではなく、あくまで自発的に書いたものであることを強調させていただきます。ホントダヨ。

1. デッキリスト

現在(2020年1月時点)の使用リストは下記のとおりです。

Spells:7
4 Crop Rotation
3 Life from the Loam

Artifacts:15
1 Black Lotus
1 Mox Diamond
1 Mox Emerald
3 Null Rod
4 Sphere of Resistance
4 Crucible of Worlds
1 Trinisphere

Enchantments:4
4 Fastbond

Lands:34
4 Bazaar of Baghdad
1 Bojuka Bog
3 Dark Depths
1 Forest
3 Ghost Quarter
1 Glacial Chasm
1 Horizon Canopy
1 Karakas
4 Mishra's Workshop
4 Riftstone Portal
1 Snow-Covered Forest
1 Strip Mine
1 The Tabernacle at Pendrell Vale
4 Thespian's Stage
4 Wasteland

Sideboard:15
3 Elvish Reclaimer
3 Collector Ouphe
1 Carnage Tyrant
3 Force of Vigor
2 Mindbreak Trap
1 Bojuka Bog
1 Forbidden Orchard
1 The Tabernacle at Pendrell Vale

キャプチャ

2. デッキ全体の概観

このデッキのメインボードの勝ち筋は《Dark Depths》と《Thespian’s Stage》コンボから出現するMarit Lageトークンの攻撃しか基本的には存在しません。このコンボを行うには《Dark Depths》と《Thespian’s Stage》の他に2マナ必要であり、通常の土地セットによりこれを行うには4ターン必要です。つまり、4ターン目にMarit Lage出現→5ターン目に攻撃→You Win!となるのですが、1キルもしばしば起こりうるヴィンテージ環境では非常に遅いコンボと言えるでしょう。もはや速度的にはフェアともいえますね。

そこでデッキの戦略としては2通り考えられます。
①相手を遅延させる(土地破壊及びコスト増加系置物)
②自分を加速させる(《Fastbond》)

このデッキの構成上、相手への妨害(=Prison戦略)に重きを置いているため、キープ基準やプレイングは「早期に妨害ができるか否か」を基本的には考えることになります。ただ、一方で《Fastbond》が絡むことで2キルも可能なため、それを狙えるハンドの場合はぶっぱもアリです(例えば、《Fastbond》《Forest》《Thespian's Stage》《Dark Depths》+マナが出る土地2枚)。


3. 各カードの解説

3.1 コスト増加系置物
《Sphere of Resistance》4枚
《Trinisphere》1枚

Prison戦略の要その1。本当は《Trinisphere》を増量したいところですが、制限カードのため1枚で我慢しましょう。一方で、相手が墓荒らしやMUDの場合、相手の土地破壊が刺さって自分が苦しめられることもあるので、置くときは要注意です。


3.2 アーティファクトヘイト
《Null Rod》3枚

Prison戦略の要その2。特にラベジャーショップと逆説ストーム対策です。逆説ストームはこれが無いとメインは勝てません。ただ置けたとしても《Hurkyl's Recall》で戻されてしまうためあまり信用出来ず、同時にコスト増加系置物+土地破壊で完全にロックすることが必要です。
他のデッキにはあまり刺さらないため、少なくしているリストも多いですが、今の逆説環境では増量した方が良いように思います。
メイン戦は上記のコスト増量系置物か《Null Rod》を1tに唱えられることが出来る初手をキープしたいところです。

《Collector Ouphe》サイド3枚
ラベジャーショップと逆説ストームの追加対策です。基本的にはこちらの方が《Hurkyl's Recall》で戻されないため強いのですが、緑マナが出ないことも多く困りものです。ただ、緑マナが出なくても《Force of Vigor》のピッチコストになります。偉い。


3.3 土地破壊
《Strip Mine》1枚
《Wasteland》4枚
《Ghost Quarter》3枚

Prison戦略の要その3。ヴィンテージはレガシーほど《Wasteland》環境ではないため、基本土地が入っていないデッキも多いです。そのため《Ghost Quarter》が実質《Strip Mine》となるケースも多く、主要なアーキタイプの基本土地の有無を覚えておくのが大事だったりもします(デッキ使用者の好みによるところも大きいですが…)。
また《Ghost Quarter》には自分の土地を破壊して《Forest》を持ってくるという役割もあります。特に《Riftstone Portal》を破壊する場合は、他の場に出ている土地次第ですが、使用できるマナ数が増える場合もあり、積極的に狙っていきましょう。ただし、これを実行する場合は、相手が《Wasteland》を構えていないかを確認してから。《Ghost Quarter》の対象とした土地を相手の《Wasteland》で破壊されると、効果がフィズってしまうため、《Forest》を持ってくることが出来ません。要注意。さらに《Ghost Quarter》は相手の《Vanpiric Tutor》等のチュータースペルの直後に打つと、強制《Strip Mine》となります。
《Ghost Quarter》の枚数については諸説ありますが、上記の《Forest》を持ってくる役割と、土地破壊カードを8枚取りたいと考えて、3枚に増量中です。もう少し減らしてもよいかもしれません。

以上が主なPrison戦略用カードです。これらによって、相手を遅くするのがこのデッキの第1目標です。


3.4 加速用カード
《Fastbond》4枚

このデッキの要…、のようで実はそうでもないカード。置けていたら良いが、別に無くても勝てるカード。《Bazaar of Baghdad》で捨てるカードを悩み《Fastbond》を残したせいで負けるゲームも多々あります。
《Fastbond》が強いシチュエーションは、①ゲーム開始時の手札に土地を大量に抱えている場合、②《Life from the Loam》で毎ターン3枚土地が回収出来る場合、③《Crucible of Worlds》が設置してある場合です。これらの状況でない場合は、非常に弱く、なんだこのクソカードは!!となります。


3.5 マナブースト
《Black Lotus》1枚
《Mox Emerald》1枚
《Mox Diamond》1枚
マナ加速、特に1t《Sphere of Resistance》を唱えるために使用する役割が多いです。一方で《Black Lotus》から《Sphere of Resistance》を唱えると、相手と同じだけマナ拘束を受ける可能性もあり、少々悩みものです。持っていない場合は《Black Lotus》の代わりに《Mox Diamond》2枚でも全然問題無いかと思います。さらに初動に重きを置きたい場合は《Mox Diamond》やMoxenを増やす選択肢もアリですが、《Null Rod》の枚数と調整が必要と思われます。

《Mishra's Workshop》4枚
1t《Trinisphere》を行うためのカード。「《Force of Will》を持っているかゲーム!!!」と煽りながら唱えると、相手の苦虫を噛み潰した顔が見られて面白いです。
上記のマナファクトと合わせて7枚のマナ加速があり、ここからコスト増加系置物または《Null Rod》を唱えるのが1tの理想的な動きです。これが出来る初手をキープしたいところですし、デッキ全体としても枚数を調整したいところです。


3.6 その他土地関連スペル
《Crucible of Worlds》4枚
《Life from the Loam》3枚

上記のとおり《Fastbond》と組み合わせると最強です。組み合わせなくとも《Sphere of Resistance》の下で、1枚ずつ相手の土地を破壊するのも十分強いです。
《Life from the Loam》が4枚でないのは、《Crucible of Worlds》も4枚デッキ内にあり、あまりそれぞれ重ね引きしたくないためです。ただ《Crucible of Worlds》と比較して、置物破壊と打ち消しに耐性があるため、3枚にしてます。
これらで土地破壊をしたいがためにこのデッキを組んで使っているのです。性癖。

《Crop Rotation》4枚
《Mental Misstep》の制限により一気にプレイアブルになったカード。《Mental Misstep》が4枚積まれていた時代は、打ち消された場合の土地1枚生贄が痛すぎて、なかなか気軽には唱えられませんでした。
必要に応じて《Mishra's Workshop》や土地破壊カードを持ってくるのはもちろん、《Fastbond》と《Crucible of Worlds》が揃った時に《Glacial Chasm》をもってきて、「土地を追加で置く際に《Fastbond》で1点ダメージを受けますが軽減されまーーすwwwww」という詐欺っぽいムーブをかますこともできます。


3.7 ドローソース
《Bazaar of Baghdad》4枚

このデッキの裏番長。緑単色でドローソースが一切ないこのデッキの潤滑油です。また緑マナが出ない土地(そもそもマナが出ない土地も)が多く採用されているこのデッキでは、《Riftstone Portal》を墓地に送れる貴重な手段でもあります。また《Crucible of Worlds》がある状況で土地を捨てると、実質的に手札枚数は減らず、めちゃ強いです。また《Life from the Loam》で手札を3枚増やしてから使用すれば、毎ターン恒久的に2枚ドローし続けられます。最強か?

《Horizon Canopy》1枚
このデッキは《Fastbond》《Crucible of Worlds》《Glacial Chasm》《Bazaar of Baghdad》+土地破壊カードが揃えば自分のデッキのカードを全て墓地に落とすことが出来ます。そこで、以前は墓地のアーティファクトを回収するために《Buried Ruin》が投入されており、これによって《Sphere of Resistance》や《Null Rod》を回収・設置し、その後に相手の土地を破壊しつくしてフィニッシュという形がとられておりました。ただ《Buried Ruin》自体があまり単体で強くないという問題がありました。
そこで上記のカードが揃った後は、自分のデッキのカードを墓地に落としつつ、《Horizon Canopy》が手に入ったら全てドローをすれば良いのでは、ということでこのカードを採用しております(まぁ、《Horizon Canopy》が墓地に落ちる前に、Prison用カードがすべて墓地に落ちる危険はあるのですが…)。


3.8 Marit Lage関連土地
《Thespian's Stage》4枚
《Dark Depths》3枚

このデッキ、メイン戦の唯一の勝ち筋。《Dark Depths》が3枚なのは、このデッキがPrison戦略を中心に据えており、重ね引きをしたくないためです。相手を縛っていればいずれ途中で引くか、墓地から回収出来るか、《Crop Rotation》で持ってこれます。
また、このデッキは《Fastbond》《Crucible of Worlds》《Glacial Chasm》+マナが出る土地+土地破壊カードが揃えば、無限マナが出せるので、それで《Dark Depths》の氷カウンターを30マナ支払って直接取り除くこともあります。
《Thespian's Stage》には色々な役割があります。相手の《Tropical Island》をコピーして緑マナを確保したり、相手が《The Tabernacle at Pendrell Vale》や《Glacial Chasm》を破壊してきたらそれのコピーになって効力を維持したり、《Bazaar of Baghdad》にコピーして倍の速度で山札を削ったり、などなど。


3.9 その他の土地
《Forest》1枚
《Snow-Covered Forest》1枚

なんとなくおしゃれっぽいので1枚ずつ。一応《Predict》や《Unmoored Ego》対策ということにはなりますが、正直なところ現在のヴィンテージ環境では意味はありません。以前はサイドに《Field of the Dead》を入れていた名残でもあります(さすがに遅すぎて抜けました)。

《Riftstone Portal》4枚
貴重な緑マナ源。《Bazaar of Baghdad》で捨てるか《Ghost Quarter》で破壊するか見極めて、出すかハンドに持っているか決めましょう。相手が《Mishra's Workshop》系のデッキの場合で、自分が土地を伸ばしたい場合は、さっさと置くが吉。

《Karakas》1枚
主にオース対策用カード。オースが設置されて誘発してしまったら、とりあえず誘発解決前に《Crop Rotation》で《Karakas》を持ってきておきましょう。解決後では、《Griselbrand》に7枚引かれて打ち消されたり、《Niv-Mizzet, Parun》で1枚引かれてしまったりします。エムラ?それはラッキー!!
その他にも各種サリア、《Leovold, Emissary of Trest》《Lavinia, Azorius Renegade》《Traxos, Scourge of Kroog》《Hogaak, Arisen Necropolis》など、意外とヴィンテージ環境にはレジェンダリークリーチャーが多く、そこそこ役立ちます。逆説的な結果?TPS?知らない子ですね…。

《Bojuka Bog》1枚、サイド1枚
《The Tabernacle at Pendrell Vale》1枚、サイド1枚

主にドレッジ、サバイバル用です。ドレッジに対して慈悲はありません。

《Glacial Chasm》1枚
既に何度も述べたとおり、《Fastbond》のダメージを無視できるすごい奴。即勝ちにもっていくことが出来るキーカード。《Monestry Mentor》を出してきた逆説的な結果に対しては、これを《Thespian's Stage》とともに維持をすれば勝てる場合も。ただし《Bolas's Citadel》のインクの染みや《Tendrils of Agony》はライフルーズのため、これで防ぐことはできません。
また地味にこれをコントロールしているときは、コンバットが出来なくなる点注意しましょう。


3.10 サイドカード
《Elvish Reclaimer》3枚
スーパー輪作マン。サイド後はクリーチャー除去は減ると考えられるため、輪作よりも優先されるケースもあります。3点クロックはなかなか馬鹿にはできません。

《Force of Vigor》3枚
ラベジャーショップ、ゴロススタックス、オース対策、また、せめてもの逆説対策。ただ、逆説側も緑が濃いデッキではこれを承知で、こちらのターン中に《Paradoxical Outcome》を唱えるため、結局あまり対策になっていない説も。

《Mindbreak Trap》2枚
せめてものTPS、DPS対策。1キルをさせない強い意志。逆説対策…には《Force of Vigor》との関係であまりならないことも多いですね。

《Forbidden Orchard》1枚
《Carnage Tyrant》1枚

オース対策。基本的にオースは土地には触れない(変態オースは除く)ため、相手がオースを出してきたらこちらも相手に生物を押し付けましょう。土地を巡る争いになれば、こちらが有利になりますので、《Thespian's Stage》も活用しつつ頑張りましょう。
《Carnage Tyrant》については、ジェスカイコントロール等のロングゲームが想定される相手にも入れます。


解説は以上です。長々とここまでお付き合いいただきましてありがとうございました。上記解説に対する意見やデッキ改良案等がもしあればコメントをいただけると大変有難く思います。

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