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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

孵道に対する考え

はじめに

この記事にはゲーム本編のネタバレ及び軽度の性的単語が含まれています。
・ゲーム内容を知らない方
・軽度であってもそれに対して不快感を覚える方
は読むのを控えてください。

あらすじ


ある夏の放課後、主人公の『僕』は道の真ん中で立ちつくしていた。
先生の言っていたことがどうも気になるのだ。

「皆さんいいですか? 帰り道は危険がいっぱいです」

「無事に帰れるまで、絶対に振り返ってはいけません」

「何があってもまっすぐ進むこと。忘れないでくださいね」

――どうして振り返っちゃいけないんだろう?
――何かよくないことでも起こるのかな?

あとからやって来た友だちに急かされ、僕は歩き出す。

……ふと、うしろから声が聞こえたような気がした。

引用元↓


本題

まず最初に『僕』を含む生徒たちは精液(精子)である
孵るとは孵化のこと。山道とは産道のことであり、この産道を進む彼らが精子であることは確実だろう。
ゲーム開始時に先生から伝えられる警告。産道である膣内は酸性に保たれており、精子にとって過ごしやすい環境ではない。だから「孵り道は大変危険」なのだ。そして道に転がる無数の男子生徒の身体の一部は酸性によって溶けた精子だと考えられる。

END1 けいこく

どうして守ってくれないの
先生からしたら当然の言である。せっかく送り出した生徒が山道に入ることもせず戻ってきたのだから。それは泣き叫びたくもなる。
そして生徒たちが精子であることからこのENDは男性器から放出した精液が膣へと入ること無く外へと出てきてしまったことに対する嘆きなのだろう。

END2 おかえり

あの気味の悪い異形とその手に持たれた白い布。布は溢れた精液を拭き取るための布巾やティッシュペーパーの類いであろうか。そしてそれを持つ異形。個性を持たない精子であっても生きて、形を成そうとしていることに変わりはない。それを殺す存在は彼らからしたらバケモノ以外の何者でもないと想像するに難くない。

END3 おねだり

両耳両目の欠けた少女。男子生徒が精子であればこの女子生徒は卵子であると考えるべきか。正確なところはわからない。しかし彼女は耳と目を欲しがっていた。そして前方から生徒のもとへと向かってくる。彼女は男子生徒から耳と目を奪い去ったあとどこへ向かうのだろうか。来た道を戻るのか。それとも学校すなわち膣の外へと向かうのか。

END4 みちづれ END5 ぎまん

萎びたカエルを持った女性がちょっかいを出してくる。
わからない……。「私の卵を知らない?」「卵を探して!」と叫んでいるが女性の形を取っているのに彼女は卵子じゃないのか?
口から垂れる目玉のような物体の連なったもの。これはカエルの卵だ。卵を喪ったショックで狂い、見境なく卵を手に入れようと躍起になっているのだろうか。

END5~6間の道のり

女性を無視して進んでいくと寺に辿り着く。そこには老婆が座っていて、主人公が進むべき道を示してくれる。寺ということで仏教において左右がどんな意味を持つのか調べてみると、右には極楽浄土。左には衆生という意味があるらしい。示された通り右手側に向かうと子宮らしき建物が見えてくるが、子宮は生命が生まれる場所であり、胎児が出ていくときは来た道を引き返すため左手側に進むことになる。流石に深く考えすぎだろうか……。

END6 はいぼく END7 ゆだん

子宮に辿り着くとそこには先に走っていった男子生徒達がいた。しかし子宮に着いた彼らは死んでしまったという。そして主人公に遊びを仕掛けてくる。
この遊びの結果による結末がEND6 はいぼくEND7 ゆだんだ。

・だるまさんが転んだ
主人公は鬼の生徒が背後を向いている間に一歩また一歩と歩みを進めていく。しかし鬼の生徒が酷いのだ。この鬼言い切る前にこちらを振り返る。
とても自分勝手な鬼とそれを許す同級生たち。彼らは進むことができず、ここに停滞することになったので自分勝手に振る舞うのも仕方ないことかもしれない。
・旗揚げ
私にはどんな意図があって旗揚げが選ばれたのか理解出来なかったため省略
・かごめかごめ
この童謡の一説には囚人説というものが存在する。この場合囚人は主人公であり、次のENDから囚人に悲劇をもたらす下手人は主人公の背後に着いてきている友人だと推測できる。

END8 こうふく

かごめかごめを終えた主人公の首をねじ切るために友人が直接危害を加えてくる。この行動に対し抵抗をしない場合このENDを迎えることになるが、END名であるこうふくには抵抗をやめるという意味の降伏の他に、子宮の中での楽しい遊びに興じ続けることができるという意味の幸福があると考えられる。というのも、死んだ男子生徒達は遊ぶことを喜びに感じている。主人公も同じように死んでしまえば彼らと同じになるのだろうと推測できるからだ。

END9 みんないっしょ

数多の妨害をはねのけた主人公の先には女性がいた。この女性は子宮にいることや手を伸ばして繋がった主人公と共に溶けていくことから卵子なのだろう。
このとき手を伸ばすことを諦めるとEND9 みんないっしょに辿り着く。
END9は振り返ることで他の男子生徒と同じ存在になる。彼らは永遠に遊び続けるのだろうか。

END10 かえりみち

数多の妨害をはねのけた主人公の先には女性がいた。この女性は子宮にいることや手を伸ばして繋がった主人公と共に溶けていくことから卵子なのだろう。
このとき手を伸ばし続けることで主人公は女性と繋がり溶けていく。精子と卵子が一つに混じり合うことで新たな命が生まれてくるのだ。
スタッフロール中背景で流れている水中。これは胎児が保護されている羊水だ。最後のシーンに道中登場したおばあさんが現われるが、「この道をお戻りなさい。決して振り返ってはいけないよ」と伝えてくる。「この道をお戻りなさい」は以前膣内を進んできた精子に対しての言であり、続く「決して振り返ってはいけないよ」は赤子となったソレは出ていかなければ亡くなってしまうからだ。帰り道であり孵り道。とても素晴らしい終わり方だと思えるワンシーンだった。

クリア後の追記

・END3について
もしかすると彼女は未成熟卵子だったのかもしれない。END10に登場する女性と違いこの女子生徒は未熟な身体と言ってもいいだろう。精子が生きていなければいけないように卵子も未成熟ではいけない。
そして未成熟であるからこそ精子との正しい結合の仕方がわからない。ただ自分に欠けた箇所を補えば産声をあげることができると信じて奪ったのだ……。しかし彼女は気付いているのだろうか。歯も足りていないということに。

・END4 END5について
女子生徒が未熟性卵子ならばこの女性は寿命の近い卵子かもしれない。皺のできた両手。そして彼女の持つ萎びたカエルは寿命が近いことを表現するための比喩だろうか。自分に卵子としての能力がなくなったことを知りながらも諦めることができず「カエルの卵」それも黒い点があることからオタマジャクシとして生まれることができる結合済みの卵たちを口にし、それでもなお自らに卵子としての能力がないことを嘆く。
男子生徒に対して語りかけるのは寿命を迎えかけている私にもチャンスがあるのではないかという考えがあってのものかもしれない。そして耳を傾けず歩み続ける男子生徒に対しての「死ね」という発言。これから胎児として生きる可能性のある精子に対するこの発言は、精子と結合し命へと生まれ変わる卵子としては看過できない発言だ。このことから彼女は既に卵子としては死んでいるが、それを認められないナニカになっている可能性すらある。

・END5~6間の道のり
子宮はボロボロであった。上記に登場する女子生徒と女性。彼女たちが未熟性卵子と寿命の近い卵子であり、女性があのような凶行に走っていたことを加味すると、もしかすると母胎は適齢期を越え、その子宮は活動の限界が近いのかもしれない。と頭に浮かんでしまった。

おわりに

ここまで読んでくれた酔狂な読者諸君に対して感謝の言葉を。
ありがとうございます

全回収特典はこれから見るため間違ったことばかり書いていたら笑って許してくれ。
読者諸君はこのゲームを遊んだだろうか。遊んでいないなら是非とも遊んでみてほしい。



ところでだが、私は孵道というタイトルとゲームのホラー要素を知ったときに「走るチルノ(辛口)」を思い出した。理由は……まぁ察して欲しい。

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