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徒手療法家のためのファシア考察

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ファシアについて徒手療法家が知っておくべき情報を随時更新していきます。またファシアに限らず徒手療法に関する事柄も随時追加していきます。
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#鍼

痛みについて勉強しなおす(18)---小ネタ集(5)---

あまり評判のよろしくない(アクセス数が伸びない)小ネタ集ですが(笑)、あともう少しで終わるので自分のためのノート的にででも最後までやりきります。今回はPFPSの続きで、もう一つ最後に腸脛靭帯炎も一緒にしようと思いましたが1万字を超えてしまったので、アイシングについて紹介します。 アイシングについては私も誤解をしてた部分があったのでちょっと反省しました。例えば 「炎症は体の必要な機能だ!アイシングで炎症を止めてしまうことは治癒過程を遅らせるからアイシングはやめておいたほうが

SBMを勉強してみた Part 11(完) ー私が思ったこと、感じたことー

過去10回にわたって紹介した「SBM(science-based medicine)について」のレクチャーは、私がエビデンスベースで鍼灸マッサージ、骨格筋痛について考えるようになってからの多くの疑問に答えてくれました。そしてますます「エビデンスと科学に基づいたマッサージ」の普及(「マッサージを見直そうキャンペーン)」に励みたいとも思いました。とはいえ、あいも変わらず「◯◯が治る」といって鍼を打ったり、筋硬結を”緩めたり”、関節を矯正していると”主張している”人達を私は否定はし

ファシアとその繋がり(7)---肩〜首〜TMJあたりの繋がり

続けてJulian Bakerのウェビナーから首肩から顎関節あたりの繋がりを紹介していきます。今回のウェビナーは解剖実習中の動画も多いので、スクショでしか紹介できていない今回のブログよりも実際にウェビナーをみてもらうほうがずっとわかりやすいと思います。またこのブログではあくまでもファシアの繋がりだけを紹介していますので、Julianの治療や体に関する考え、ウェビナー受講者との質疑応答までは紹介していません。一講座たったの5ポンド(800円弱)ですし、実際に解剖実習に参加したよ

近況など(2019年8月22日追記あり)

最近ブログを更新できていなくて申し訳ない限りです。言い訳をしますと(笑)、4月の中旬くらいからフラット(いわゆるマンション)にネズミがでるようになり勉強どころじゃないってことがあります(笑。 あと実は2週間位前に日本に1週間帰国していました。帰国する時は必ず誰かマッサージして欲しい人がいるかどうか知り合いに聞くのですが、某プロ野球選手たちがやってほしいとのことで、毎日マッサージしていました。その中の一人の”治療”の概要を紹介することで、このブログ全体の意味がわかるかと思い紹

痛みについて勉強しなおす (2)-② ---神経痛?---(PS.2023年7月18日少し修正)

いわゆる神経痛(坐骨神経痛、胸郭出口症候群、頸肩腕症候群など)の治療で、とくに痛みや凝り感じゃなく、”痺れ”を主訴とした患者さんの治療は苦労しませんか?恥ずかしながら、私がそうでした。その”神経痛”も以前の私は「筋肉のトリガーポイントが原因だ!」として、例えば頸肩腕症候群や胸郭出口症候群なんかもすべて、斜角筋周りの治療メインでしていました。坐骨神経痛も殿筋群や梨状筋狙い撃ちの治療でした(笑。しかし、思い返してみると、そういった患者さんたちが良くなったケース”全て”、「治療後、

痛みについて勉強しなおす (2)−① ---神経痛?神経を圧迫すると痛みがでるのか?---

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痛みについて勉強しなおす(1)

今年の目標の一つである「痛みについての再勉強」。まずはじめに、数年前にオーストラリアで開かれたDavid Butlerの「Treating pain using the brain」を紹介します。正直、私自身この講義を日本語で他の人にわかりやすく伝えるほど理解できているかどうかは怪しいです。英語で聞いていてフンフンと頷いたものの、ブログにしてみたら伝わりにくい表現というか、自分も完璧に理解できているとは思えません。もっと詳しくそして正確には「Explain pain supe

ストレッチの是非(0)---プロローグ---

これからしばらくの間、ストレッチの考察をしていこうと思います。 本来ならば、考察の順序はDoug Richards氏の「Stretching: the Truth(ストレッチの真実)」から始めるべきですが、http://podbay.fm/show/336356622/e/1236549600?autostart=1(ここから動画がダウンロードできます)、先日Eyal Lederman先生の「Functional Stretching」の講習にでて、いろいろと刺激をうけまし

深層筋治療主義に異議あり!(9)---Gil Hedley先生からのメッセージ---

「インテグラル・アナトミー」シリーズ第2巻のパート2の部分で、Gil Hedley先生の治療に対するコメントがありました。その部分を引用します。詳しくはyoutubeで本編を見て下さい。以下の訳は意訳になります。 Again, what needs the work? What is at tissue? Is it this clumping of tissue that inhibits the sliding surfaces from "playing" again

深層筋治療主義に異議あり!(8)---我々は”深層筋”を触れているのか?---

Gil Hedley先生のビデオ「Integral Anatomy」Vol. 1のPart2から、冒頭の数分の抜粋です。私がJulian Baker先生の解剖実習に初めて出た時に感じたことと同じことをこの女性も感じていて、面白いと思い、紹介します。(ご献体から剥がした胴体部の浅層ファシア層のみを触っています) ちなみにこの「Integral Anatomy」シリーズの日本語字幕化の作業では、徹底して     superficial fasciaを浅筋層ではなく、浅層ファシ

深層筋治療主義に異議あり!(7)---Interoception③---

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深層筋治療主義に異議あり!(7)---Interoception②---

今回はInteroceptionに関する生理学的事実などををより詳細に紹介していきます。(例によって私の超訳です。英語が読める人は原文をあたってください) ★[Pleasant to the touch] The Science誌よりこの記事では9歳の女の子の特殊なケースが紹介されています。その子はベッドからジャンプして床に膝で直接着地するという遊び(?笑)が大好きで、膝が「バギッ、ボギッ」と鳴る音が楽しくてしょうがなかったようです(?驚!)つまりその子は痛みを感じないHS

深層筋治療主義に異議あり!(7)---Interoception①---

鍼灸師あん摩マッサージ指圧師として常に頭にある疑問が「○○の症状に対して、鍼とマッサージのどちらが効くか?」ではないでしょうか?私の周りの人たちの意見をまとめると「鍼は内臓疾患系、マッサージは筋骨格系の痛みに有効」と感じている方が多いのではないでしょうか? 鍼が内臓疾患に有効というのは本当か?その根拠となる論文は私の知る限り一切ありません。しかし今回紹介する Interoceptionの再考とC- tactile fiber (C- t線維)の発見はその根拠の一部となるので

深層筋治療主義に異議あり!(6)---治療の心得リスト!---

「深層筋治療主義に異議あり!」シリーズ で述べてきたように、我々の体にはself-regulatory systmen(自己統制システム、脳神経系、内臓、ホルモン、ファシア、血管系などすべての体の組織)が存在し、徒手療法はそのself-regulatory systemに作用して、局所、全体の筋やファシアのトーヌスが変化するということを考慮にいれると、「硬い凝りを圧迫したり、鍼で壊したり」という"機械的に凝りをほぐす"という発想から、我々は脱却していくべきではないでしょうか?