見出し画像

匿名の天才たち

こんにちは。今日こそはマジメな記事を…と思っていたのに、気付けばまたも横道に逸れていました。そして、大した内容ではないしサクッと読める分量にまとめようと思っていたのに、ダラダラ書いていたら結構な長文になってしまいました。

ネット上で情報収集する際、私は「5ちゃんねる」(旧:2ちゃんねる、通称5ch)の掲示板もよく見ます。世間一般的には、5chってあまりよろしくはないイメージなのでしょうかね。5chを見るのは今や私の趣味のひとつになりつつあるのですが、ネット上ではないリアルな場で公言する勇気はありません。「スポーツ観戦が趣味です」「読書が趣味です」とかだったら後ろめたい気持ちもなくすんなり言えますが、「趣味は5ちゃんねるです♪」なんて言おうものなら、たとえ周囲に理解のある人がいたとしても、その場の空気が一瞬凍りつくのではないでしょうか。

「5ちゃんねる」という巨大匿名掲示板から連想されるのは「荒らしが多い」。…というのは私の主観ではありますが、実際多いと思います。5chはネット環境さえあれば誰であろうと書き込み可能なので、誹謗中傷やスパム、自作自演と思しき書き込みも多く見られます。

でも、そのような書き込みはほんの一部。「荒らし」は黙ってスルー、これは暗黙の了解です。マナーを守って常識的に書き込んでいる方が大多数なのではないでしょうか。もちろん、板やスレッド次第ではありますが。

そういった、いわゆるまともな書き込みの中には、「おお、なるほど」と思わず頷いてしまうものがいくつもあります。理路整然として大変読みやすく、簡潔な文章なのに核心を突いていたり。

その中でもさらにひときわ私の目を引くのは、「天才」の存在です。

今この記事を読んでくださっている貴方もきっと、出会ったことがあるのではないでしょうか。5chの掲示板に限らず、YahooニュースやYouTubeのコメント欄、もしくはTwitterなどにも時折出現する「逸材」に。

例として持ってくるのは適切かどうか少し悩みましたが、すぐに思いついたのがYouTubeにあったコチラの動画だったので…今回はこれで説明しますね。5chの話をしておきながら、5chの例えでなくてすみません。

『ACガチ勢の俺が選んだACの最も怖いCMトップ10』という動画です(6分弱)。

AC=公共広告機構が制作しているCMは、テレビを観ていればどなたも一度はご覧になったことがあると思います。東日本大震災直後に頻繁に流れた「ぽぽぽぽーん」を筆頭に、社会問題に対して警告したり、啓発するようなCMをたくさん制作されています。

現在ではだいぶマイルドになりましたが、ちょっと前までは結構怖い内容のCMも多かったのですよね。個人的にトラウマになっているCMもいくつかあります。
だけど、怖いからこそ印象に残るし、深く考えさせられるものも非常に多い。この動画で挙げられているCMたちも、今だからこそ流すべきなのでは?と思うくらいです。

前置きが長くなりましたが、今回ピックアップするのは、この動画の冒頭に流れる『DRUGS KILL TEENS(1997)』のCM。青少年の薬物乱用防止を訴える内容になっています。
拘置所の面会室のような部屋で手紙を読んでいるのは、元SMAPの草彅剛さん。後ろで草彅さんのナレーションが入ります。

「カオルは、ひらがなしか書けなくなりました。
 レミは、ビルから飛び降りました。
 ドラッグが、君たちを殺していく。」

ドラッグをやると、最終的にはこんな風になっちゃうよ!というのを示唆している、CM自体は至ってシリアスなものですが、コメント欄をスクロールしていくとこんな書き込みをしている方がいました。

「つよしは......公園で裸で暴れました。」

このコメントを見た瞬間、思わず私は吹き出しました。天才だ、この人。
ネタは、昔ワイドショーを騒がせたあの事件ですね。「裸になって何が悪い!」。数年前の『ガキ使』でも、張本人が例の格好で出演していましたよね。

案の定、コメントへの「グッド」の数がとんでもなく伸びている。たった一行でこんなに多くの人を笑わせられるのって、私にとって羨ましい才能です。すごく真面目な良い内容のCMなのに、それ以降動画を見ても真っ先にこのコメントが頭に浮かんでくるので、全然怖くなくて笑えてしまいます。

例としては不謹慎だったかもしれません。もし不快に思われた方がいらっしゃったら、申し訳ありません。まあ、一例ということで…

ネットの海を泳いでいると、時々こうした「天才」たちに出会います。その多くは本名も分からなければ性別も年齢も職業も不明の、いわば匿名の人々です。
だけどそんな人々だって、世界のどこかで自分と同じ時間を生きている、生身の人間であるワケで。そして、そんな人たちの発信に対して「グッド」や「いいね」を押したりリプライを飛ばしたり、「草」というレスを付けたりする人たちもまた、自分と同様、地球上のどこかでリアルな世界を「生きて」いるのですよね。

私は暇だとついついネットサーフィンをする時間が長くなります。スマホの見過ぎだし、ネットをしている時間を少し減らして他の有意義なことに充てるべきなのでは…とも時々思います。5chなんて、ぶっちゃけ見なくたって生きていくうえでは何の支障もありません。

だけどやめられないのは多分、こうした「天才」に時々出会うことがあるからだと思います。そして、その人々と、さらにそれを取り巻く人々と同じ時間を共有しているという感覚もまた好きなのです。お腹を抱えてゲラゲラ笑うというよりは、画面の前でフフッと鼻息が漏れてしまうような感覚。

そんなワケで、今日も私はスマホを片手にこうしてネットを彷徨っております。今日はどんな天才に出会えるだろう、とワクワクしながら。