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ある元銀行員の話① お金の扱い方

私は大学卒業後から約7年半、銀行の支店で働いていました。

最初は首都圏の営業店に配属され、約2年半後に別の営業店に異動になった後は退職までずっと同じ店舗にいました。主に受付担当の方を事務面でフォローする、後方事務に携わっていました。

一昔前、銀行が人気就職先ランキング上位にあった頃と比べると現在はだいぶ状況が変化したように思います。ネットやSNSが普及して多くの人が情報発信できるようになったことも大きいのではないでしょうか。ドラマ『半沢直樹』も流行りましたね。フィクションなので脚色はあれど、リアルな部分もあり「あるある〜」と思いながら観てました。昨年放送された続編はつい最近ツタヤで借りて観始めました。

数年前の話なので現在と状況は異なると思いますが、当時の話を少しずつ書いてみます。あくまで私イチ個人の話なので、銀行全体にあてはまらない場合もあると思います…ご容赦下さい。

お金を扱うということ

銀行といえば当然、「お金」を扱うところなワケです。紙幣、硬貨、それから小切手。現金の扱い方は、入社前後の研修で「基本動作」としてみっちり教え込まれます。

現金を扱う時は、必ず「カルトン」と呼ばれる現金用のトレーに載せる。銀行に行くと必ず見かける、青色だったり緑色だったりするあのトレーです。現金を置いてその場を離れるなんてもってのほか。

紙幣の数え方もきちんとやり方が決まっています。紙の帯でくくられた札束というのは1万円札が100枚で1束になってまして、最近では機械で数える場合がほとんどですが、手で数える方法も教わります。あの、扇みたいに横に広げて数えるヤツですね。私の支店では、1束を制限時間内に正確に数えられるかのテストが定期的にありました。この「札勘定」が私は大の苦手だったので、たびたび不合格になってました。

銀行には、支店の中にある現金を管理する「出納」と呼ばれる業務があります。私の銀行では、新入社員に割り当てられることが多かったです。お金の基本的な扱い方や、お金の流れなどを実務を通じて理解させる、という意味合いがあるのだと思います。

100万円の札束はもちろん、1千万円の大束、時には1億円の現金も取り扱います。初めてジュラルミンケースに入った1億円パックをこの目で見た時はギョッとしました。こんなにお金があったなら10万くらい自分が貰っても分からないのでは…なんて思いますが、残念ながら銀行の事務は非常にしっかりしたシステムになってるので、余裕でバレます。とんでもないことになります。っていうか犯罪ですよね。

支店の現金の在庫を管理するのも出納の仕事です。足りなくなったらもちろんダメだし、多すぎても銀行全体のお金が上手く回らなくなるので本店から怒られます。例えば、この日はあのお客様が1千万単位で出金の予定だと事前に分かっている場合や、出金が多いであろう連休前などは多めに現金を用意しておきます。少なければ本店から社内便でもらいますし、逆に増えすぎたお金は本店へ送ります。

今回はひとまずこの辺で終わります。次回へ続く(かも)