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明治改暦の影響を残した?長谷川カレンダー作品

平紙カレンダー 長谷川武次郎 / オスマン・エドワーズ / 新井芳宗 『詩歌で巡る日本の暦(1899年カレンダー)』 明治31年(1898年) 東京刊
Edwards, Osman / Hasegawa, Takejiro / Arai, Yoshimune, Japanese Calendar with Verses. Tokyo, 1899 <R23-106>
18x12.5cm, [12pp], original Japanese plane paper, each page covered by tissue with printed calendar, Japanese string binding, “芳宗” stamped on the front cover

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長谷川武次郎・弘文社のカレンダー作品は、日本昔噺シリーズに代わる新機軸として、明治28年(1895年)より発行が開始され、第二次世界大戦中の一時的な中断を除き、毎年の刊行が終わる昭和30年代(1960年代)に至るまでおよそ60年強にわたるロングセラー商品でした。

1898年(明治31年)3月桃の節句と4月の花見。平紙のイラストに薄様のカレンダーが掛けられている

ここで紹介する1898年(明治31年)カレンダー、7月の行事について、タイトルは提灯・竿灯まつり、吹き流し飾り付けを背景に、”賑やかに踊っているところに先祖の魂が提灯に導かれて帰ってくる”、”盆踊り"と解説が付されています。旧暦の7月7日七夕行事(新暦では一月遅れで月8月上旬)を、新暦の7月の行事として紹介している格好になっています。

7月薄様あり
薄様無し

明治改暦は1872年12月31日~1873年1月1日にグレゴリオ暦の導入によって行われました。長谷川武次郎が存命で、カレンダー作品に取り組んでいた頃の日本の伝統年中行事について、新暦の月で行うべきか、旧暦の月で行うべきか、改暦から20年以上経過していましたが、まだまだ揺らぎが存在したものと思われれます。

1898年カレンダー、端午の節句は新暦5月

長谷川・弘文社のカレンダーの最大の特徴は、長谷川作品の中でもその形態において最もバリエーションに富んだ作品群であり、最もコレクション性に溢れる作品群かと思います。ただ本書のようにその明治期の年中行事の考え方についての示唆的な作品も含まれており、そうした点にも、単なるコレクターアイテムにとどまらない、カレンダー作品群の魅力があると言えます。

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