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ミキモト真珠島を訪ねたアメリカ経済使節団が携えていた京都案内書
京都市役所 / 浅山富之助 『京都』 昭和9年 西陣織カバー装丁 京都刊
The Kyoto Municipal Government / Asayama, Tominosuke, Kyoto, Kyoto, 1934 <R24-25>
19x26cm, 112pp (Text page 56pp, plate 5pp), original Nishijin Textile cover, string binding, presentation card pasted on the preface, itinerary of “American Economic Mission” inserted
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本書は第二次世界大戦前の京都を紹介したアルバムです。京都の観光地とその産品の写真に紹介文を添えて、京都特産の西陣織のカバーで紐綴じ製本した趣のある一冊です。
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大学等の所蔵情報で調べる限りですと、本書は1928年、1931年、1934年、1938年と比較的頻繁に版を重ねていたことが窺えます。
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本書1934年版は第13代市長浅山富之助時代に発売されたものです。前文の市長の名前が印刷ではなく、着脱式の名刺となっていますが、張り替え可能な着脱式にしておけば仮に市長の交代があっても、発行した観光案内が無駄にならない工夫であったのかもしれません(1928年から1938年まで、第10代土岐嘉平、11代森田茂、12代大森吉五郎、13代浅山富之助、14代市村慶三と5人が名前を連ねている)
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なお本書には以前の所有者が残したであろう興味深い一枚の旅程表メモが添えられています。メモの内容としては、この資料の所有者であったアメリカ経済使節団が、三重県鳥羽市の御木本一家を訪ねて昼食、その後に御木本真珠島を訪ねて真珠の養殖と加工の現場を見学するというものです。内容から判断して、ここで言及されているのは真珠の販売で世界一を誇る”ミキモト”のことで間違いないようです。
資料には4月16日(火曜日)と日付・曜日のみ記載されていて、年までは解りません。ただ、4月16日が火曜日であった年を割り出すと、1935年、1940年、もしくは戦後の1946年の可能性がでてきます。
企業の動向としては、戦前の1935年か1940年であれば、1930年代以降ミキモトはロサンゼルス、シカゴ、サンフランシスコとアメリカへの出店を続けていたため、それに合わせてアメリカ側からの経済使節団の訪問を受けていた可能性があります。
また1946年であれば、第二次世界大戦の敗戦後の日本の外貨稼ぎのために、ミキモト創業者であった御木本幸吉がアメリカ関係者を積極的に養殖場へ招いていたことで知られており、その時の経済使節団の一つの可能性もあります。
傍証的ではありますが、本品は観光資料としてだけでなく、日本の企業史を知る上でも興味深い資料と言えます。
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