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「エージェント・オブ・シールド」はMCUのメインタイムラインなのか問題を考える

 どうも、「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」でさっそくバトロックが再登場したことに歓喜の涙を流しているFAQちゃんです。あの噛ませっぷりがたまらなく愛おしい。3000回愛してる。

さて、日本でもやっと「エージェント・オブ・シールド」シーズン7が配信されました。皆さんは最終話まで見ましたか?私は吹き替えと字幕それぞれ1回づつ見ました。

まさにAoS版エンドゲーム!今までの集大成とばかりに過去キャラクターが登場したり、「エージェント・カーター」からエージェント・スーザが合流したり、懐かしいアイテムを使っていたりとにかくファンサービス満載でした。

 そんな「エージェント・オブ・シールド」ですが、MCU、マーベル・シネマティック・ユニバースの一部として数えられながらシーズンを追うごとに関係性が薄くなっていることが度々指摘されております。

というわけで、「エージェント・オブ・シールドはまだMCUに存在しているのか」という疑問に対し、FAQちゃんなりの回答を示していきたいと思います。


注意
この記事には「エージェント・オブ・シールド」シーズン7を含む複数のドラマシリーズ、および「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」までのマーベル・スタジオ作品のネタバレがございます。


サノスの指パッチンが全てを狂わせた

「エージェント・オブ・シールド」は基本的に、映画で起こった出来事を作品にフィードバックしていました。

例えばシーズン1の後半は「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」とリンクしており、ナターシャやスティーブがインサイト計画の闇を暴きS.H.I.E.L.D.とヒドラの関係を暴露しトリスケリオンが崩壊したことで、「エージェント・オブ・シールド」のコールソンチームも危機に陥りました。「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」でソコヴィア協定が発効されてからはインヒューマンズであるデイジーやヨーヨーの行動は協定に縛られてる描写がありますし(シーズン3、シーズン4等)、コールソンが「アントマン」のピムテック事件に言及したりしています(シーズン3)。

しかし大問題が発生します。AoSシーズン6は時系列的には「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」のサノスの指パッチン後ですが、世界の人口が半分になった描写が無かったのです。当然主要メンバーも(死亡したコールソンとフィッツ以外)全員無事。なんならシーズン5後半よりライトハウスで働くS.H.I.E.L.D.エージェントが増えているような描写まであります。
さて、ここでファンは困惑しました。今まで丁寧に映画での出来事を反映していたのに、超おおごとである指パッチンの影響はまったく見当たらない。もしかしてAoSはMCUから離れてしまったのでは?と。

しかしある時点から急にMCUから分離されるなんてことはあるのでしょうか?ドラマ内では一応話が繋がっているのに。この疑問に対し、ファンたちはひとつの結論にたどり着きます。

「もしかして、シーズン5で未来から帰ってきたときに、違う世界に帰ってきてしまったのでは?」

我々はこの説を検証するため、ジャングルの奥地(にある寺院)に向かった。


「エージェント・オブ・シールド」シーズン5とは

 今このnoteを読んでいる方にとっては説明不要かと思いますが、一応簡単にシーズン5の内容をおさらいしておきましょう。

 仮想現実空間フレームワークから帰還し、全ての元凶となったダークホールドをゴーストライダーに託したコールソン、メイ、マック、フィッツ、シモンズ、デイジー、エレナ。フレームワーク内で起こった様々な出来事を一度忘れ、久々の息抜きにダイナーに向かった一行ですが、何者かによってフィッツを除く全員が連れ去られてしまいます。

コールソンたちが目覚めると、そこは宇宙に浮かぶ構造物の中でした。S.H.I.E.L.D.エージェントたちが連れ去られたのは未来、地球が破壊されたあとの2091年、少数の人類がクリー人によって家畜同然に扱われているライトハウスと呼ばれる場所でした。ライトハウスでは「過去から救世主S.H.I.E.L.D.がやってくる」という伝承が残されていたのです。
コールソンたちは現地で出会ったディーク、テスらの助けで順応しつつ、過去に戻るための情報収集をはじめます。

一方その頃、2018年にひとり残されたフィッツ。タルボットの後を継ぎATCUを指揮する空軍のヘイル准将はフィッツを監禁されますが、かつての仲間ランス・ハンターの助力で脱出します。その後クロニコムであるイノックから経緯を聞き、2091年に飛ばされた仲間を助けるため現代のライトハウスへ向かい、自身をコールドスリープし未来で目覚めさせるようイノックに全てを託します。

2091年のライトハウス。支配しているクリー人カサイアスは、人間をインヒューマンズとして覚醒させ他種族向けにオークションを行っていました。カサイアスに気に入られたシモンズは給仕として召し上げられ、ディークに裏切られたデイジーは監禁されてしまいます。オークションにかけられるデイジー。その危機を救ったのは、コールドスリープから目覚め、バイヤーとしてライトハウスに紛れ込んでいたフィッツでした。
エージェントは一度破壊された地球へ降下し、そこでタイムトラベルの元凶であるモノリスの一部を発見、回収します。

マックの指揮下でカサイアスに反旗を翻すライトハウスの住民たち。一致団結してカサイアスを撃破し、S.H.I.E.L.D.一行はインヒューマンズの少年フリントの力でモノリスを再創造、イノックの命と引き換えに2018年に帰還しました。

2018年、謎の電波の発信源に向かったコールソンらは発信機を回収。しかしそれはヘイルが仕掛けた罠でした。発信機はライトハウスで爆発、3つのモノリスが巻き込まれ、破壊と同時にマルチバースであるフィアー・ディメンションへ繋がる裂け目が生まれます。

フィッツとコールソンの活躍によって裂け目を塞いだS.H.I.E.L.D.。フィッツとシモンズは結婚式を挙げます。しかし、コールソンはロキに殺された際の傷あとから壊死が広がり、死期が近づいていました。

その後ヘイルはコールソンを自身の基地に捕縛します。軍人とは仮の姿で、ヒドラとしての立場を明かしたヘイルはS.H.I.E.L.D.と手を組むことを提案します。ニューヨーク決戦のあと、チタウリの宇宙船の中から出てきた発信器を使い、ヒドラは複数の宇宙民族と交信をしていたのです。”同盟”と呼ばれる会議にコールソンを招いたヘイル。コールソンはそこで、宇宙人の脅威を肌で感じます。

一方タルボットもまたヘイルに捕まり、宇宙人の脅威を知らされていました。ヘイルはタルボットに協力を依頼しますが拒否をしたタルボットはヒドラ式洗脳を受けます。洗脳への抵抗や地球を守ろうとする気持ちからタルボットは自身にグラヴィトニウムを注入、重力を操るグラヴィトンとなり、同盟を配下に。同盟のメンバーであるクリー人から、真の敵はサノスだと知らされたコールソンとタルボットは地球を守る決意を固めますが、タルボットは体内のグラヴィトニウムに耐え切れず人格が豹変。暴走をはじめます。

コールソンを助けるため、S.H.I.E.L.D.はかつての”デスロック計画”で使われた血清を入手します。しかしコールソンを助けるということは、地球は破壊されクリー人に支配される未来を迎えるということです。それを望まないコールソンはデイジーのガントレットに血清を隠します。タルボットは未来を見通す力を持つインヒューマンズ、ロビンによってシカゴの地下にさらに多くのグラヴィトニウムが眠っていることを知り、それを吸収し始めました。力を蓄えるタルボットの元にデイジーが到着。戦闘ははじまります。タルボット=グラヴィトンの強大な力に圧倒されるデイジーですが、ガントレットに隠された血清に気づき注入、強化されたクェイクの力でタルボットを宇宙に放逐し、地球の崩壊を回避します。

ロビンとその母親ポリーを保護するマック、メイ、フィッツですが、落下する破片が直撃しフィッツは息を引き取ります。シモンズは今も宇宙のどこかで漂っている”現在の”フィッツを見つける旅に出ることを決心します。また、コールソンはメイと共におだやかに余生を過ごすことを決め、物語は幕を下ろします。


タイムラインの変更とマルチバース

さて、「エージェント・オブ・シールド」S5ではMCUの中でも特に重要な出来事が起こっています。地球の崩壊です。

タルボットの暴走により、本来のタイムラインでは2018年に地球が崩壊。ライトハウスで生き延びた一部の人類を除き、絶滅します。はっきりと描かれていませんが、2091年の地球の残骸を見る限りアベンジャーズ基地やサンクタム・サンクトラムも破壊されているとみて間違いないでしょう。2018年時点で地球に唯一存在するインフィニティ・ストーン、マインド・ストーンの所有者であるヴィジョンも同時に破壊されたとしたら、サノスは指パッチンができないわけですから宇宙の人口が半分になることもありません。もっとも、地球の人口は半分どころか99%減ったわけですが。

その後クロニコムによってS.H.I.E.L.D.が未来へ旅立ち、すったもんだの末2018年に帰還します。問題はココです。

S.H.I.E.L.D.が戻ってきた2018年は、旅立った2018年なのか?

以下の図1を見てください。

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2016年にソコヴィア協定が発効され、アベンジャーズ同士が対立するシビル・ウォーが起こりました。ここまでは共通する歴史を辿っています。

まずAのタイムライン。これは”もともとMCUが辿るはずだった”タイムラインです。しかしクロニコムとS.H.I.E.L.D.の介入により地球の未来は守られ、新しいタイムラインが生まれました。

Bのタイムラインは”新しく生まれた”タイムラインです。デイジー・ジョンソンの働きにより地球の未来は守られ、サノスの侵略を受けます。つまり、「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」以降の物語はタイムラインBを進行していることになります。

さて、おおまかにタイムラインの整理ができました。実は、「エージェント・オブ・シールド」S5までは何も問題なかったのです。前述のとおり、問題は「エージェント・オブ・シールド」S6にあります。


指パッチンのない世界?AoSシーズン6

「エージェント・オブ・シールド」シーズン6では二つの物語が同時進行します。

あらすじ
宇宙のどこかを漂っている(はず)である存命中のレオポルド・フィッツを探すため、未知の惑星から未知の惑星へ渡り歩くデイジー、シモンズ、パイパー、デイヴィス。一方地球では、コールソンと瓜二つの男サージが現れ、マック、メイ、エレナを中心とした新生S.H.I.E.L.D.が対処します。シモンズはフィッツを見つけ、アイゼルと名乗る女性と共に地球に帰還。サージはアイゼルを殺そうとしますが、アイゼルはフィアー・ディメンションへの扉を開き、サージをパチャクティクとして覚醒させます。
その後アイゼルとサージ(パチャクティク)を殺し地球の危機を救ったS.H.I.E.L.D.ですが、決闘の地である寺院もろともクロニコムに攻撃されます。フィッツシモンズの助けによりタッチの差でゼファーに乗り込んだエージェントたちは1931年のマンハッタンにタイムトラベルします。コールソンLMDが起動し、物語はシーズン7へ続きます。

さて、シーズン6の冒頭はシーズン5から1年が経過しています。つまり2019年の出来事です。2019年といえば?そう。サノスの指パッチンから1年です。

ということは2019年の物語であるシーズン6では、サノスの指パッチンの影響、つまり世界の人口が半分になっていなければおかしいんですね。

もう一度上のあらすじを読んでください。マック、メイ、デイジー、フィッツ、シモンズ、ヨーヨー。S.H.I.E.L.D.の主要メンバーは(ロキに刺された際の傷が原因で死んだコールソンを除き)全員無事です。なんなら前シーズンでは空気だったパイパーやデイヴィスまでメインキャラクターとして登場しますし、ディークも無事です。マック長官体制の新生S.H.I.E.L.D.は人員を大幅に確保したらしくライトハウス内も活気に溢れ、人口が半分になった様子は微塵も感じません。

これがファンを混乱させました。

指パッチンは無かったのか?あったとして全員無事なんてことがありえるのか?ありえたとして、指パッチンの影響が作中にまったく描かれないことがあるのか?誰一人言及しないのは不自然では?等々・・・。

正直、もっともな疑問だと思います。仮に運よく全員生き残ったとして、1年しか経ってなかったらもっと混乱のさなかにいるのでは?と思うのは当然のことです。アベンジャーズが半分になったというのに、わざわざチームを二分して、最大戦力であるデイジーをみすみす宇宙旅行させるマック長官は私から見ても少々クレイジーです。

そこでファンダムではある仮説が浮上します。
これが「S.H.I.E.L.D.、2091年から2018年に帰還した際、MCUが辿っているメインタイムラインとは違う世界に来てしまったのでは?」説です。

そんなことありえるのでしょうか?

別タイムライン説を考える

S.H.I.E.L.D.、2091年から2018年に帰還した際、MCUが辿っているメインタイムラインとは違う世界に来てしまったのでは?」説を図解してみましょう。図2をご覧下さい。

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Aのタイムラインは前述の通りです。

Bのタイムライン。これは、「S.H.I.E.L.D.が地球破壊を阻止し、なおかつサノスの指パッチンが起こらなかった世界」です。

Cのタイムライン。これがMCU本流のタイムラインです。指パッチンにより宇宙の全生命体が半分になり、5年後アベンジャーズの活躍で世界は元通りになります。ワンダはウエストビューを意のままに操り、サムとバッキーは超人血清を追い、ピーター・パーカーはミステリオと死闘を繰り広げます。

実際問題BとCにタイムラインが分かれることはあり得るのでしょうか?

例えばエンドゲーム終盤、サノスとブラック・オーダーの軍勢はトニーの作ったタイムマシンを利用し2014年から2023年にやってきます。このサノス軍は敗北し2014年に戻っていません。つまり、この時点で「サノスの存在しないタイムライン」が生成されたことになります。S.H.I.E.L.D.が2091年から元の時間に戻った際、時間だけでなくタイムラインの移動まで行ってしまっており、この「サノスの存在しないタイムライン」に来てしまったと仮定したらどうでしょう?この世界ではサノスの指パッチンが起こらないので、指パッチン問題が解決します。

しかし問題があります。シーズン5で連合のクリー人(カサイアス父)が「サノスが地球を攻撃している」と具体的に言及しているのです。

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©Marvel TV studios 2018

つまり、クリー人の情報収集能力が異常に低い場合を除き、2018年現在サノスは存在していることになります。「サノスが存在しないタイムライン」説が消えてしまいました。

インフィニティ・ウォー終盤、ソーはストームブレイカーをサノスの胸に突き刺しますが、一歩及ばず指パッチンを許してしまいます。では、胸ではなく頭に突き刺していたらどうでしょうか?サノスといえども脳を損傷してしまったら指パッチンはできません。この場合サノス軍はワカンダで敗北し、指パッチンの無い世界が生まれます。

これも問題があります。そもそもサノスがワカンダに来たのは惑星タイタンでドクター・ストレンジからタイム・ストーンを奪うことに成功したためです。そして、ドクター・ストレンジは事前に1400万605通りの未来を見て、「唯一サノスに勝てる未来」に導くためタイム・ストーンを渡したのです。つまり、ストレンジがタイム・ストーンを手放した時点でサノスに勝利する未来は「5年後過去からインフィニティ・ストーンを集めトニーが指パッチンをする」以外ありえないんです。ソーがサノスの頭にストーム・ブレイカーを投げる未来は存在しないか、投げても当たらないか、とにかく指パッチンを回避する方法は無いのでしょう。

厳密に言えば、ストレンジが1400万通りの未来を見る前に何かしらの要因で分岐が生まれており、その結果としてサノスが敗北する可能性は無くはないと思いますが、さすがにややこしすぎるので一旦スルーします。

さあ、困りました。サノスが存在しないと物語に矛盾が生じてしまいますが、サノスが存在するということは確実に指パッチンが起こるということなんです。

と、いうわけでFAQちゃんは考えました。「そもそもBとCにタイムラインが分かれることはないんじゃないか」。


指パッチンの影響を必ずしも描く必要はない

もう根本から考え直しましょう。

S.H.I.E.L.D.の主要メンバーはコールソン、メイ、マック、フィッツ、シモンズ、デイジー、エレナの7人。ここにパイパーとデイヴィスを含めて9人。地球人の人口が半分になったとして、9人全員が無事という可能性はあるのでしょうか?

アベンジャーズの主要メンバーで見てみましょう。トニー、スティーブ、ソー、バナー、ナターシャ、クリント、スコット、ローディ、オコエ、キャロルの10人が生き残り、サム、バッキー、ティ・チャラ、ワンダ、ストレンジ、ピーター、ウォン、ホープの8人が塵になりました。こう見ると約半分が消えていますが、ニューヨーク決戦の際のオリジナル6で考えると全員生き残っています。
結局生き残るか生き残れないかは運次第なので、人数が減っていない=指パッチンは無かった、と断定するのは早計だと考えます。

もう一つ重要なことは、シーズン6はシーズン5から”1年経過している”ということです。

地球の人口が半分になりました。しかしそれとほぼ同時期にコールソンが寿命を迎えます。S.H.I.E.L.D.も最初は人口半分問題の対策に奔走したことでしょう。しかしすぐに「サノスの仕業であり、アベンジャーズでも解決できなかった」問題だと知ると思います。そうなるとS.H.I.E.L.D.としては基本的にできることがありませんので、コールソンの死を悼み、フィッツ探しの旅に出るための準備に入ると考えられます。
もしも指パッチンでチームメンバーがひとりでも欠けていたらもっと大ごととして捉えたのかもしれませんが、幸い誰一人影響を受けなかったわけですので、次に進む準備を着実にこなしていたと考えるのが妥当でしょう。もしS.H.I.E.L.D.主要メンバーの家族が塵になったとしても、1年という月日が経てば多少持ち直すとも考えられます。
そもそもメイ、マック、エレナ、デイジー以外家族らしい家族が出てきてないので、「チームが家族」状態の彼らにとってフィッツの捜索が最優先になるのは想像に難くありません。

もうひとつメタ的な視点で考えてみます。

「エージェント・オブ・シールド」を制作していたマーベル・テレビジョン代表(当時)のジェフ・ローブ氏は、同じMCUドラマ「デアデビル」にアベンジャーズ・タワーが登場しないことについてこう語っています。

In many ways, being less specific helps the audience understand that this could be on any street corner. Where we’re sitting right now, I can see the Empire State Building, but if we were sitting 30 blocks that way, I wouldn’t be able to see the Empire State Building. That doesn’t mean it doesn’t exist. It just means that we can’t see it from where we are.

具体性を取り除くことで、どこにでもある街角だ、と視聴者が理解しやすくなるんです。今我々が座っているところからならエンパイア・ステート・ビルは見えますが、30ブロック離れれば見えなくなります。でもそれはエンパイア・ステート・ビルが存在しなくなったというわけではないですよね。それは単に我々からは見えないというだけです。

ソース:https://www.inverse.com/article/37568-marvel-tv-netflix-defenders-jeph-loeb-jim-chory

これと同じことだと考えられないでしょうか。
つまり、指パッチンの影響を描かないことは指パッチンが起こらなかった根拠にはならないということです。

え?メタ的な視点が許されるなら、そもそもマーベル・スタジオが事前にマーベル・テレビジョンにインフィニティ・ウォーの内容を伝えなかったから指パッチンを無視する結果になっただけじゃないかって?それを言っちゃあおしめーよ。限られた選択肢の中で思考するのが楽しいんじゃないか。

というわけでFAQちゃんの結論。
BとCに世界線は分岐しませんでした。やっぱりシーズン5後半でS.H.I.E.L.D.が戻ってきた世界はMCUのメインタイムラインで合っていると思います


MCUにおけるタイムトラベルと時間軸

ここからはオマケです。
MCUにおけるタイムトラベル。初出は「エージェント・オブ・シールド」シーズン5ですが、詳しく語られたのは「アベンジャーズ/エンドゲーム」が初めてでした。

2012年のエンシェント・ワン曰く、タイムラインは一本の太い線があって、何かによって歴史が変わるとそこから分岐していく、とのこと。これはドラマ「ロキ」の予告にも図が登場しているので、共通の概念として捉えて問題ないでしょう。

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©Marvel Studios 2019

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マーベル・スタジオ『ロキ』|予告編|Disney+(ディズニープラス)
https://www.youtube.com/watch?v=K1mU5FU-B3E

今のMCUが辿っている歴史は真ん中の太い線、図1のタイムラインBです。タイムラインAの歴史を改変したのがBではないのか、という疑問ですが、Aの歴史はクロニコムが介入した、という点で、本来の歴史ではないと想定できます。(クロニコムは地球を監視し、問題がある場合介入して歴史を修正する)

2012年にスペース・ストーンを持ってロキが逃亡したことにより新たなタイムラインが形成され、2014年からサノスが消えたことによりこちらも新しいタイムラインが生まれました。
「エージェント・オブ・シールド」シーズン7でも死ぬはずのウィルフレッド・マリックが生き残る、ジャーインがデイジーを産む前に死ぬ、インサイト計画が早まる等新たなタイムラインが生まれます。
説明がとても大変なので省きますが、「ランナウェイズ」でもタイムラインの変更が起こります(気になる人は見て!)

これらは全て枝分かれしたタイムラインで、メインタイムラインには現状影響を及ぼしていません。
つまり非常に複雑なため勘違いされやすいのですが、トニーの開発したタイムマシンやゼファーワンに搭載していたフィッツシモンズ製タイムマシンは"メインタイムライン上をジャンプする能力"と"枝分かれしたタイムラインからメインタイムラインへジャンプする能力"の二つがあることが分かります。(多分ランナウェイズのチェイス製のも)

さて、では「アベンジャーズ/エンドゲーム」ラストの年老いたスティーブ・ロジャースはどのタイムラインから来たのでしょうか。

これは監督のルッソ兄弟と脚本のクリストファー・マルクス&スティーブン・マクフィーリーの間でも意見が分かれています。

ルッソ兄弟は「スティーブはストーンを返した後ペギーと合流し添い遂げ、本来のタイムラインに戻ってきて盾をサムに託した。スティーブが作り出した枝分かれしたタイムラインでは、今でも氷漬けになったスティーブがいる」と語っております。
一方脚本家コンビは「スティーブは最初からメインタイムライン上にふたり存在した。氷漬けになりS.H.I.E.L.D.によって発見されたスティーブがアベンジャーズとして活躍する裏で、ストーンを返しおわりペギーと一緒になったスティーブは見守っていた」と語っています。

ソース

先ほど、MCUにおけるタイムトラベルはメインタイムライン→メインタイムラインと枝分かれしたタイムライン→メインタイムラインの二種類のタイムトラベル法がある、と説明しました。(もしかしたら枝分かれしたタイムライン→メインタイムラインやメインタイムライン→枝分かれしたタイムラインもできるかもしれません)

以上を考慮すると、このスティーブはどちらの解釈でも成り立つことが分かります。トニー製のタイムマシンを使う場合、タイムマシン本体とピム粒子さえあれば自由に移動できるわけです。

と、いうわけでしばしば話題にのぼる、「スティーブはどこからきた問題」の答えは「ない」と思っています。

恐らく今後も語られることはないのではないでしょうか。想像の余地があるから美しいんだと思います。ちなみに私はルッソ監督の解釈が好きです。


終わりに

いかがだったでしょうか。

このnoteで書いたことはあくまでもFAQちゃんの解釈です。今後の作品で覆されるかもしれないですし、FAQちゃんがアクセスしていないMCUの関連書籍なんかで否定されているものもあるかもしれません。

何故今このnoteを公開したかといいますと、ドラマ「ロキ」が6月に配信されるためです。「ロキ」では複数のタイムラインが登場すると予想されており、TVAと呼ばれるタイムラインを監視する機関も登場します。(あまり過度な期待はしておりませんが)「エージェント・オブ・シールド」や「ランナウェイズ」のタイムライン変更問題にも触れられたらいいなーとか思ったり思わなかったりするわけです。「ランナウェイズ」とクロスオーバーした「クローク&ダガー」でフィーチャーされたロクソン社の関連会社っぽいものも「ロキ」の予告に登場しているので、ちょっとだけ、ほんの少しだけ期待してしまう自分がいるのです。ロクソンは「アイアンマン」シリーズや「エージェント・オブ・シールド」「エージェント・カーター」、「ランナウェイズ」「デアデビル」にも登場してますし・・・。

というわけでこの辺で終わります。気に入ってくださいましたら、この記事をTwitterで拡散してください!

それではまた。


書いた人:FAQちゃん


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