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第8回:ファイナルファンタジーと竹谷隆之氏

●この記事を書く為に参考にした資料●
【 Vジャンプ緊急増刊ファイナルファンタジー VI完全攻略】
【週刊ファミ通1999年3月19日号増刊ファイナルファンタジーVIII】
【電撃ホビーマガジン 1999年 5月号】
【S.M.H.  Vol.15】

今回は、私の大好きなクリエイターさんを紹介します。

皆さんは、竹谷隆之氏という方をご存じですか?北海道生まれの、日本を代表する造形家の方です。モンスターの造形にかけては、右に出る者はいないと、私は感じています。

ちょっと脱線しますが、私、雨宮慶太氏の事も大好きで、ファイナルファンタジーの次に色々研究しています。雨宮氏はとてもマルチなクリエイターさんですが、その雨宮氏と竹谷氏は非常に仲が良く、頻繁に交流があります。私が竹谷氏を知ったのは、その雨宮氏が始まりなんですよね。

話を戻すと、竹谷氏は名だたる造形家で、ファイナルファンタジーとも関わりが深いんです。
今回は、そんな竹谷氏とファイナルファンタジーについてのお話しです。

私が知る限り、ファイナルファンタジーにおいて竹谷氏が最初に関わったのが『ファイナルファンタジーVI』のCMに登場する魔導アーマーです。

私がはじめて触れたファイナルファンタジーであるVI。CMはリアルタイムで観たことはありませんが、今ではYouTubeで視聴できます。

オードリー・ドリューさん扮するティナが、魔導アーマーに乗って渋谷の街に登場する、というCMです。ティナと魔導アーマーはごく僅かしか登場しませんが、存在感たっぷりで印象的です。リアルタイムで観ていたら、もっと感動していたんだろうなぁと思うと、ちょっと寂しいです。

渋谷と言えば、旧スクウェアが、恵比寿にあった時代だったり、すばらしきこの世界やキングダムハーツ最新作の舞台でもあるし、スクウェア・エニックスが渋谷に移転する話もありますよね。スクウェア(スクエニ)と渋谷って、何かと縁がありますね。

さて、CMに登場したあの魔導アーマーのCG取り込み用として作られたフィギュア原型を竹谷氏が担当したんです。

特定の書籍でそのフィギュアを観ることは出来るのですが、その姿はゲーム中のデザインではなく、天野喜孝氏の描いたアーマーをモデルに、より有機的に作られています。

竹谷氏の作品の特徴は、"怖い"んです(褒め言葉です)。ただ怖いだけではありません。本当にその造形のものが存在するんじゃないかと感じさせる怖さなんです。この"怖さ"がクセになり、私は彼の作品が大好きなんです。

竹谷氏の書籍に、『竹谷隆之 畏怖の造形』という本があるのですが、まさに彼の作品には、観る人に畏怖を抱かせる想いが込められているんです。

雨宮慶太氏は、竹谷氏の造ったモノと他の人が造ったモノはどこが違うのかと言うと、竹谷氏の造ったモノには"華"があるとしています。その"華"は、ただ作品を数多くこなす位では身につくものではなく、なぜなら竹谷氏は天才だから、とまで言っていました。

私の感じる"怖さ"と、雨宮氏の言う"華"。
一見対局に位置する概念に思いますが、本質は同じなのではないでしょうか。

"怖いもの見たさ"という言葉があります。怖いんだろうけど見てみたい、つまり魅力がある事の裏返しですよね。一方"華"という単語も、あの人は華があるなぁ、など魅力を持っている物事に対して使われます。

つまり"怖さ"と"華"の根は同じなんです。

魔導アーマーも、例外ではありません。CMを観るとわかる通り、ティナと魔導アーマーがそこに存在しています。唐突に渋谷という日常へ現れる非日常なアーマー。この対比に、まさに畏怖の念を覚えるのです。そして、その異質さには、観るものを魅了してしまう華があります。

まさにこのCMが、竹谷隆之氏そのものを表現していると言えるのではないでしょうか。

天野氏の頭の中にあった魔導アーマーを、実際の存在として顕現させた竹谷氏。彼以外にこの仕事を成し遂げられる人は、果たしていたのでしょうか。それほどまでに凄まじい造形作品でした。

魔導アーマーを皮切りに、ファイナルファンタジーの世界へ足を踏み入れた竹谷氏は、あの野村哲也氏と出逢います。

私的には、このお二人が組まれたら、鬼に金棒なのではなかろうかと感じます。
他の追随を許さない野村デザインと、それを現実化させる竹谷造形。雨宮氏と竹谷氏にも言える事ですが、エキスパート同士が手を取り合った時に生み出されるパワーは尋常ではありません。そのパワーが誕生させたモノは数多くあります。

野村氏からお願いされる形で、竹谷氏が製作された『ファイナルファンタジーVIII』のスタチュー。更に『ファイナルファンタジーVIII』のアクションフィギュアや『ファイナルファンタジークリーチャーズ』などのフィギュア造形や監修をした竹谷氏。

他にも映像作品『ファイナルファンタジーVIIアドベントチルドレン』では自らモンスターや飛空艇などをデザイン。最近では『ストレンジャーオブパラダイス ファイナルファンタジーオリジン』のモンスターデザインなどなど、本当に至る所で活躍されています。

また、ファイナルファンタジー以外のスクウェア作品では『パラサイト・イヴ』においてCG取り込み用に使われる、イヴ変形後の立体物も担当される予定でしたが、スケジュールが合わずその仕事を逃してしまったという逸話もあります。竹谷氏版イヴも観たかった!

竹谷氏は、もはやスクウェア・エニックスにおいて、デザイン・造形スタッフとしていなくてはならない存在なのではないでしょうか。

竹谷隆之氏×野村哲也氏の最強タッグが放つ新しいプロジェクトが見てみたい今日この頃です。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

次回もお楽しみに!

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