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【2020.06.09】本のことを書いているときが幸せなので、久しぶりにちょっとまとめ。

蒸している。蒸し暑い。蒸し心地悪い。

いま一番そばにいてくれてありがたい存在は、扇風機。正直なところ、もう冷房を入れたい。

ただ、なんとなく6月上旬から冷房を入れるのには躊躇がある。じゃあいったいいつからなら許されるのか。それはわからないけれど、6月9日はまだ早い気がする。実際の気温よりも、時期で見てしまうのはなぜなのだろう。


そんなふうに、身体的には気持ちが萎える今日この頃ではあるけれど、心のほうは高揚感に満ちている。

5月頭に思いついてから準備してきた企画が、形となり、届けたかった人たちに届き始めた。

その反応が、最高に嬉しい。もう、ほんっとうに嬉しい。そんな反応をずっとイメージしながら、そしてきっと、それにともなってニヤニヤと気持ち悪い顔をしながら、この1カ月を過ごしてきた。

それが叶い始めているし、なんと想像していた以上の連鎖も生まれ始めた。

会社で大事にしている言葉に「仲間とつくる現実は、自分の理想を超えていく」というものがある。理想を超える現実、これを強く体感できた。

反応を見ることができ始め、だんだんと企画の本質が見えてくると思う。まだまだかなっていないところも、あるいは予想していなかった良いところも。その洞察を、今後少しずつまとめていきたい。

どんな形に進化していくのだろうか。とても楽しみ。


その企画のテーマが「選書」であることもあって、最近新しい本と多く出会えている。

本のことを書いているときが幸せなので、久しぶりにちょっとまとめ。


映像授業を使って、バングラデシュをはじめとした途上国で教育革新を巻き起こしてきた税所篤快さんの新著。現場は日本。「2030年の教育像」を求めて取材した、5つの学校の記録。日本の教育現場に目を向けた本を久しぶりに読んだけれど、描かれている想いにも取り組みにも、とても痺れた。いろんなエッセンスがあるけれど、学校教育に携わる人たちの役割が「自身が持つ知識の伝達者」から「地域を基盤とした様々な人たちの知恵を子どもたちとつなぐ編集者」に変わりつつあると感じた。ちゃんとしたレビューも追って書きたい。


著者は前作で、道具を使わずに五感だけで旅をする「ナチュラル・ナビゲーション」について語った方。単独での太平洋横断などの大冒険もこなしている人だが、今作で扱うのはもっと身近な探検。例えば植物、土、光、時間、言葉......。著者がここで説く探検の定義を「発見すること」「その発見を他者に伝えること」だとするならば、たしかにそれは大掛かりな旅でなくてもできる。近年の探検は「旅人自身の限界に挑むこと」に主眼が置かれすぎ、情報の受け手にとっての発見が疎かにされつつある、という考察は面白かった。各章が短くコンパクトでありながら、味わい深い。紙質も好きだな~。


この全集の第一巻である『星野道夫著作集〈1〉アラスカ・光と風 他』(星野道夫著、新潮社)があまりにも好きすぎて、そればっかりを繰り返し読んでしまい先に進めない病にかかっていた。が、ついに3巻を手にした。多くのファンがいる『旅をする木』(文藝春秋)が収録されている。良い。抜群に良い。星野さんの感性はほんっとうに僕にドンピシャ。易々と心をアラスカの大自然に飛ばせる。そして、自身が大きな大きな自然の一部でしかないこと、そして一部ではあることを、あらためて思い出せる。死生観すら変わる。


エボラ出血熱のパンデミックとの戦いを描いた名著で、コロナの現状を背景に緊急文庫化された本。冒頭にある本書への賛辞のトップが、ホラー小説の帝王であるスティーブン・キング。彼をして「私が生まれてこのかた読んだ最も恐ろしいものの一つ」と言わしめ、SF作家であるアーサー・C・クラークはすぐ隣のコメントで「これにはスティーブン・キングも歯が立つまい」と言う。「とんだけ恐いんだよ」と思って読み始めると、第一章からほんっとに恐い。人間を、文字通り「溶かす」ウイルス。その描写が恐すぎる。しかも、章を進めるごとに恐さが増すらしい。オバケ系のホラーは読めない人なので、これでこの夏をひんやり過ごそうと思う。


他にもまだまだ紹介したい本があるけれど、それはまたの機会で。

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