某メン地下アイドルになりかけた話

※ちょっとだけセンシティブな話出てくる

1か月くらい前。
2年続けていた仕事を辞めることになり、次の仕事を探していた。
実はずっとコンカフェで働きたいなと当時思っていた。
そして、メンコンの求人をいろいろ見ていたときの話。

1.メンコンへ応募したら…

そんなとき、インスタのストーリーで、こんな投稿を見つけた。
芸能事務所のプロデューサーになりました!
メンコン、メン地下募集しています!気になる方DMください

これは応募するしかない、と思った。
しかも、その人の名前はきいたことあるし、インスタも非常におしゃれな投稿がたくさんあったし信用できそうだ。
詳しい事務所などの記載はなかったが、見た瞬間「メンコン希望です。」と即DMしてそのまま面接することになった。

どんなメンコンなのだろうか。早く働いて自分も人気キャストになりたい。そんな想像をしながらワクワクしていた。

面接当日。送られてきた住所を頼りに事務所に向かった。
しかし、今思うと失敗だったと思うのが、事務所の場所だけみて、名前までは調べていなかったのだ。そういえば、自己紹介されるときにも相手は事務所の名前は一切出さなかった。
僕は着いた事務所の看板を見て唖然した。

一応名前は伏せておくが、今年、そこに所属しているメン地下グループのメンバーが未成年に手を出して逮捕され、全国的にニュースにもなっており、悪い意味で有名な事務所だった。
自分も普段メン地下のオタクをやっている身なので、メン地下全体の印象を悪くされ腹立たしかった記憶がある。

今から飛ぼうかかなり迷ったが、まあ自分の希望しているのはメンコンのほうである。メン地下になるつもりはないし大丈夫だろうと思いそのまま面接を受けることにした。


会場内にはすでにひとり座っており、どうやら自分と同様メンコン希望で、なんと現在18歳とのことだ。ちなワイ24ぞ。
以下彼をTくんとする。

アンケートが配られ記入し、しばらくすると、ひとりの男が入ってきた。どうやらこの人が説明してくれるようだ。以下彼をYさんとする。

そしてYさんは椅子に座り、記入したアンケートをみた。そして、第一声こう言った。
「ねえ、アイドル興味ない?」

2.え!?私がアイドルに!?


終わった、と思った。
2人ともメンコンが希望であることはアンケートにも書いてあるし、それを知ったうえで言ってきたのだ。Tくんも豆鉄砲を喰らったような顔をしていた。

Yさんは続けた。
「正直ね、メンコンって稼げないの。決まったシフトに入って働くだけ。うちのアイドルって未経験で始めた子でも月100万稼いでるよ。俺もアイドルやってるんだけど、今月200万とかもらっててさ、夢あるよ。だからさ、一緒にやらない?」

ここでTくんが口を開いた。
「いや、でも僕コンカフェの説明ききに来たんですけど…」
「でもさ、アイドルのほうがよくない?お金もらえるよ?好きなことし放題だよ?」
「話違うんですけど…」
「でもお金あったほうがよくない?」
「でも…」

このYさんとTくんのやりとりが体感10分から20分くらい続いた。Yさんはほんとに無限に食い下がってきており全く話が進まない。
しかし、Yさんはアイドルを押す理由を「お金が稼げる」「仲間と頑張るのが楽しい」しか言ってこなかった。
お金の話は8割、楽しいの話は2割という感じだった。

3.理想のアイドル像


こんな話もしていた。
「でも僕歌って踊ってとか全くやったことがないし」
「それは未経験でも大丈夫。てかそんなクオリティ求めてないから!

ああ、そう言っちゃうんだ。
確かにメン地下現場の一番の収入源はチェキバックだ。現場行ってみるとわかるが、みんなあり得んほど積む。10枚で15000円とか平気で払う。
それに、この事務所は専用の会場があるらしく、ほぼ毎日ライブをやっているそうだ。月100万も簡単に想像できる。

ただ、これは個人的な考えだが、僕はアイドルの一番の仕事はライブパフォーマンスだと思っている。僕のメン地下の推しグループもとにかく歌とダンスのレベルが高くかっこいい。だからライブにまた行きたい!と思えるのだ。
確かに推しは顔が良いし、特典会もいつも非常に楽しいが、やはりそれはハイクオリティのパフォーマンスがあってこそだと思っている。
それを「クオリティ求めてないから!」と初めから言ってしまうのってどうなの?ほんとに楽しい?と思った。

4.ノンデリYさん


そして、Yさんは急に僕にこんな質問をしてきた。
「男同士だからきくけどさ。君さ、経験人数何人?

おぅ…。
仮にもワイら初対面ぞ?そんなこと聞く?

「僕0人です」
恥ずべきことではない。正直に答えた。
「え!?童貞なの?」
「そうですよ」
「アイドルってね、やっぱモテんのよ。オーラが違うのよ。
俺お金たまったからそれで風俗行きまくったんだけど、それで経験人数3桁は行ってるね。君も童貞卒業したいでしょ?
ほらアイドルなって稼ぐとそんな良いこともあるんだよ。一緒にやろうよ」

正直傷ついた。
自分が男であるというだけで勝手に趣味嗜好を決めつけられた。それが非常に嫌だった。
ちなみに、この日ワイはバリバリスカート履いてました。よくそれ見て「男同士だから」とか言えたなと思う。

なんだろ、そう感じるのって僕だけなんですかね。男同士で初対面で下ネタ話すのって普通なんですか?
そりゃ、ある程度仲良くなったら全然大丈夫だよ。でも初対面の人に話すか?
実はこういう経験初めてではないんだよねぇ。
普通にキモイと思っちゃうんだけど、ワイの感覚が狂ってるのかなって思っちゃうくらいよく聞かれる。
皆さんどうおもいます?

5.理想の自分~「かわいい」って、何?~


話の途中で、「でもおたくのアイドルって今年逮捕者出てますよね?」って言おうかとも思った。Tくん知らなそうだったし。
でも、実はそれと同時にアイドルも悪くないなと思っている自分もいた。

自分がコンカフェで働きたいと思った理由は、簡単に言えば「自分に自信を持ちたかった」からだ。
自分は男だけど、メイクもするし、先ほど話したようにスカートとか履くし、髪伸ばすの好きだし、道で女の子と勘違いされてナンパされることもしょっちゅうある。


↑半年くらい前のワイの服。フリフリパーカー&タイツにスカート



でも、それでも自分が本当に「かわいい」と思われているかどうかはわからなかった。
たまに友達とかに言われたりはするけど、正直かわいいって言葉は広義すぎて信用ができない。
橋本環奈さんのような容姿端麗な人に使われることもあれば、ポケモンのカビゴンみたいな、大きくて丸いものに対して使われたりもする。
自分に対するかわいいはハシカンなのか、カビゴンなのか、それはもっと多くの人にジャッジしてもらわないとわからない。
だから、その手段としてコンカフェを選んだだけなのだ。
別にそれだけだったらアイドルでもできる。それだけで考えると、アイドルになり稼いだほうが良い。
まあこの人はノンデリなとこあるけど、別に全員がそういうわけではないんだろうし、Yさんとも話し合えば仲良くなれるだろう。
だから、僕はYさんに言った。

6.「アイドルの話詳しく聞かせてください」


きいて帰って、最悪無理そうだったらあとで断ればいい。
Yさんにはその場での返答を求められたが、僕はそこだけは後日にさせてくださいとだけはっきりと言った。
そしたらYさんは言った。
「じゃあ今度うちのライブ来なよ!」
まあいっか。普通に趣味としてライブ行くのは好きだし。クオリティは低いんだろうけど、まあ適当にかわいい子みつけてチェキ撮って帰ろう。


僕は、一通りYさんの説明をきいた。
グループが決まってそこから3か月ぐらい深夜練が組まれ、それからデビュー。
給料に関しては、デビューまでは出ないけどその間はコンカフェで働けばいいし、飯も奢る。とのこと

飯奢ればええやろ感がなんかうざかったけど、まあ給料に関してはどこもそうだろう。深夜練もよくきく話だ。別にそこに抵抗は無かった。


説明が終わったところで、再度YさんとTくんによるいたちごっこが始まった。
「アイドルやろうよ」
「やりません」
ずっとこれ。
Tくんもワイみたいにとりあえずやりますって嘘ついて後で断ればいいのに、と思ったが、自分に正直に発言している様は見習わなくてはとも思った。

7.事務所の目的


そんなこんなで面接スタートから1時間。
結局Tくんは折れなかった。偉いぞT。
そしてTくんはついに言った。
「僕コンカフェやりたいんで説明きかせてくださいよ」
そう。ここまでずっとアイドルやるやらないの押し問答だったため、コンカフェの説明0である。
そしてとうとうYさん側が折れた。しかし、Yさんは言った。
「そっか…でも俺コンカフェわかんないんだよね

まあわかってたけど、この事務所は初めから僕らをコンカフェに入れるつもりはなかった。だから、初めからコンカフェの説明ができないYさんを面接官にしていた。
適当に人を集めて、みんな適当なアイドルにして稼がせることが目的なんだと思う。

結局、説明担当がYさんからほかの人に代わりコンカフェの説明が行われた。
説明時間1分。給料形態と勤務地説明して終わり。
そしてTくんは体験入店の予約だけとっていた。ここまでのやりとりでよく体入する気になったな


最後YさんとLINEを交換し帰った。今度ライブ行く詳細とか送るね!とのことだった。

面接が終わって、これまで無かった体験で怖くなった僕は、近くのコンカフェに駆け込みこの流れを一通り話した。やはり悪い噂が有名のようで「あそこは絶対やめとけ」と言われた。帰り際その子と、事務所のロゴを指で作りチェキを撮った。
僕は後日しっかりYさんにお断りのLINEをしブロックし、すべてが終わった。

8.最後に~コンカフェとは?~


ひとつ、説明のなかで未だに引っかかっている言葉がある。
それは、Yさんからコンカフェの説明を代わった人の発言だ。

コンカフェはホストの下位互換。

曰く、「コンカフェの仕事はお客さんにシャンパンを入れてもらうこと。ホストと変わらないけどホストより給料が低い。」
確かに売り上げは大事だろうし経営者目線でみたらそうなのかもしれない。ただ、僕はコンカフェの存在意義ってそれだけじゃないと思う。

コンカフェってホストより敷居が低いと思う。そこが大事で、入りやすいからこそ色んな考えのお客さんがいて、キャストさんも多種多様で楽しいし、お客さん同士も仲良くなれる。お店内のみんなでワイワイできる。そこは完全指名制のホストにはマネできないことだ。
そして、今回の僕みたいにちょっと相談聞いてほしいときにフラっと寄ることだってできる。

だから、これははっきり言うけど、コンカフェはなくてはならない場所だし、何かと比較して下位互換であることは決してない。
そもそも、仮にも自分たちの事業のことを「下位互換」と卑下するなんて、本当にコンカフェ適当にやってるんだなと思った。だから犯罪者でるんだよ

事務所が売り上げのことしか考えないから、焦ってお客さんつけようとして未成年に手出しちゃったんじゃないの?
もちろん一番悪いのは手を出した本人だけど、事務所側の考え方も改めたほうが良いと思う。

確かに、仕事なので売り上げは大事だ。
でも、お金以前に楽しくなければ人生ではない。
僕は自分の推しみたいに、そんな楽しい空間を提供できる人間になりたいなって思う。

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