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#ファンドリ 第1回セミナー:アソビシステム株式会社代表取締役 中川悠介氏

「どこからでも、誰でも活躍できる」アソビシステム中川悠介が語る“エンタメの未来” 

Twitterを活用し、誰でも簡単にファンクラブを開設できるプラットフォーム「Fans'(ファンズ)」が、次世代のエンタテインメント業界のスターを育成するプロジェクト『Fans' Dream Project(#ファンドリ)』をスタートさせた。

その第1期生たちに、エンタメ業界で活躍するプロフェッショナルの特別講師を招き、様々なテーマで講義を実施。初回は、きゃりーぱみゅぱみゅや中田ヤスタカ、増田セバスチャンなどを擁するアソビシステム代表取締役 中川悠介氏に、今後のエンタメの未来について語ってもらった。

<中川悠介氏 プロフィール>
大学在学中からさまざまなイベントを主催し、2007年にイベントプロモーションやアーティストマネジメントなどを行う「アソビシステム株式会社」を設立。ファッションや音楽、ライフスタイルなど、原宿の街が生み出す人やカルチャーをサポートして成長させ、国内外に発信する事業を幅広く展開している。内閣官房「クールジャパン戦略推進会議」構成員。

■読者モデルを「職業」にしたかった

まずは自己紹介からさせていただきます。僕は学生時代からイベントごとが大好きで、就職活動をせずに、そのまま会社を立ち上げました。もともとは、イベント制作会社だった のですが、現在の方向に定まってきたのは“とあるきっかけ”がありました。15年ほど前でしょうか。当時は雑誌がものすごいブームで、『Zipper』『CUTiE』などに掲載される「読者モデル」はカリスマ的な人気を誇っていました。

ただ、いくら人気があっても、アルバイトのような契約で、モデルをしている学生さんたちは、卒業したらモデルをやめて就職するというのが普通の流れでした。僕はそれを「職業」にしたいと思ったんです。

武智志穂というアソビシステムの初期から所属するタレントがいるんですが、毎号雑誌には載るものの、ギャラはそこまでもらえず悩んでいた。なので彼女と「青文字系モデル」という言葉をつくってブランディングしたところ、より多くの人に広まって、彼女を中心にいろんなビジネスが生まれていきました。

きゃりーぱみゅぱみゅも、最初は青文字系モデルとして活動していたんですが、彼女はmixiやアメブロなど、インターネットで発信するコンテンツがとにかく面白かったんです。そこから、当時人気だった中田ヤスタカと音楽をやってみたら良い化学反応が起きるんじゃないかということで引き合せたところ、よりマスに広まっていきました。

■「Fans’」やSNSでファンが付いたときに心がけるべきこと

エンタメの表舞台を目指していくに当たって、ファンの獲得は必須ですが、発信する際に気をつけてほしいのが「嘘をつかないこと」。ブランディングを、“自分を良く見せるために嘘をつくこと”と混同する方がいますが、ブランディングは“自分のそのままの姿を適切に伝えること”です。背伸びしたところで実態が異なれば、一瞬で信頼は失ってしまいます。自分のあるべき姿をさらけだして、その価値を伝えること、そしてそこからファンの信頼や共感を得ていくことが重要です。

去年、きゃりーぱみゅぱみゅが「#検察庁法改正案に抗議します」というツイートをして、「ミュージシャンが政治を語るな」とニュースになっていましたが、それは自身が自由に発信したことの結果。本人も誹謗中傷が来ることなどわかっていたでしょう。ただ結果、気にかかった物事には意見をはっきりと言う彼女の姿勢に惹かれたフォロワーが増えていきました。

僕たちは、プロダクションへの所属を決める際には、必ず本人のSNSやどんなことを発信しているかを見ます。自分がよく見える角度の写真ばかりアップされていても人間性は見えてきません。ファンへの返しなどからも、ひとりひとりのファンをどれだけ大事にしているかが伝わってきますよね。

■あらゆる場所から、誰でも活躍できる時代がやってきている

また、今後のエンタメについての展望ですが、僕が思っているのは「誰にでもチャンスが平等に来た」ということ。コロナによって、オンラインでの会議が当たり前になりましたし、“ワーケーション”という言葉が出るように、どこにいても仕事はできます。それは、表舞台でも一緒で、都内でその都度イベントや収録を行うという「東京一極集中」の時代が終わったと思っています。

いま、うちに「新しい学校のリーダーズ」というグループがいるんですが、彼女たちはダンスパフォーマンスがTikTokでバズって、現在フォロワーは250万人以上。世界中に熱狂的なファンがいるアイドルにも迫る勢いです。コロナでエンタメ業界は苦しみましたが、こうやって SNSで何かしらのムーブメントが当たり前に起こせるんです。

僕はよく「マイクロコミュニティ」という言葉を使うんですが、昔みたいに100万枚CDを売るんじゃなくて、コアな熱いファンに5〜10万売っていくのが今の時代に適している。BTSが世界的に売れた理由も、最初は局地的だった「ARMY(ファンの総称)」の熱量が伝播していった結果だと思います。そうしたファンを獲得するには、近道もファストパスもありません。自分の見せ方をよく知っていて、発信を頑張り続けた人だけが報われることでしょう。

タレントだけではなく、プロダクションの動き方にも変化が起きていて、昔のように大人が作り込んでプロデュースして売れていくのではなく、一人ひとりの個性、発信力を生かした上でサポートして、ネクストステップに押し上げていくのがスタンダードになっていくのではないでしょうか。

■#ファンドリ参加者からの質問タイム

「普段“原石”を見つける際にチェックしているSNSはありますか?」

中川:YouTubeとTikTokは社員みんなで見ています。とくにTikTokは長い時間チェックしていて、アルゴリズム的にも新しい子がサジェストされるのが大きいですね。ただ、カメラ補正が良すぎるから、実際に会うと別人に見える……なんてということもあります(笑)。

「ライブ配信を通してファンを獲得して事務所に入りたいと思っています。その過程でコアファンをつけるにはどうしたらいいですか?」

中川:ライブ配信内だけではなく、そこを飛び超えてTwitterやインスタ、『Fans’』まで引っ張ってこられる人が“本物”だと思います。ウチにもライバーアイドルの「EVERYDAYS」というグループがいますが、『17 Live』ではすごくファンが多いものの、SNSになるとフォロワー数は見劣りする。それだけ大変なことではあります。

「舞台女優からステップアップしたいと思っています。一度ライブ配信をしてみましたが、私には合わないと感じました。演技力を磨いていくのはもちろんですが、どうしたら早く大きな作品への出演につながっていくと思いますか?」

中川:ライブ配信が合わないとのことですが、それはそれで良いこと。インスタなどほかに、いち早く自分にフィットする発信のやり方を見つけるのは大切です。そして、役者さんで一番大事なことは「諦めないこと」だと僕は思っています。早く出てこれる人は天性の才能があってのことで、多くは長らく場数を踏んで結果が出ている。モチベーション維持が難しいかもしれませんが、続けていれば必ずいい作品、いい人脈と巡り会うチャンスがあると思っています。

<#ファンドリ事務局より>
#ファンドリではプロジェクト参加者を対象にエンタメ業界の表と裏で活躍されている方をお招きしたセミナーを定期的に実施しています。
次回セミナーは【7月15日(木)】に実施予定です。こちらも後日レポートを掲載いたしますので、お楽しみに!

<#ファンドリとは?>
Fans' Dream Project(#ファンドリ)」とは、Twitter連動型ファンクラブサービス「Fans'(ファンズ)」で獲得したファン数に応じて、全29社の程プロダクションからのオファーを受けることができる育成型オーディションプロジェクトです。

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