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キャスティング会社の交渉術

芸能人、モデル、インフルエンサー、クリエイター、アーティストのキャスティングをおこなっております、FANPANY/CEOの高山裕加里です。

皆さん初めまして。

フリーランスで活動を始めて、早3年が経ちました。

筆不精の私も遂にnoteデビュー!

キャスティング会社というと、ある種、ニッチな職業なので、どんな仕事をしているのか?というのが業界の方でないと、なかなかよく分からないのではと思います。

基本的にはスポンサー様(広告代理店様含む)と
事務所やフリーのインフルエンサーさんの間に入り、案件のブッキング及び交渉をおこなう、
言わば、芸能・エンタメ業界の仲介役のプロとして、業界の役割を担っています。

そこでよく聞かれるのが、

・どこの事務所と繋がりが強いか
・インフルエンサーは何人くらい繋がっているのか(誰と仲が良いか)

など、会社勤めでも、フリーランスでも、
キャスティングをやっているというと
人間関係の繋がりの広さや深さだけで
仕事をしているのではないかと思われている節があります。

もちろん繋がりの強い事務所や個人が多ければ
キャスティング力の強さにも比例しますが、
私がこの記事でご紹介したいのは
弊社が、私が、どこどこの誰々と繋がっているというパーソナルな話ではなく、誰しもがある交渉の仕方をすれば、希望の条件で案件成立の確率が高まる、ということをお伝えしたいのです。

案件交渉時に相手側へ意識したい要点

① 相手に尽くす
② 相手へのメリットを提示する
③ 断りにくい理由(関係値)を作っておく

この3点を意識すれば、
誰でも交渉のプロになれます。

では、具体的にどういったコミュニケーションを行うと良いのでしょうか?

①相手に尽くす

決定案件(指名案件)をお持ちする。
これが相手側に対して一番、義を尽くすことだと
私は考えております。

そうです。既にキャスティングする前から、
相手側への交渉は始まっているのです。

スポンサー様や広告代理店様から
『こんな人いませんか?』という
ライトな相談が入ったら、通常私たちは、
まずはじめに該当する方のお名前出しを
おこないます。

この時点で裏どり有無の問題もありますが、
だいたい事務所や本人へ裏を取ってから
提案すると成功率も高まります。

ここでスムーズにそして相手側に負荷をかけず
ライトに裏どりできるかどうかが、
先にあげた繋がり(関係値)の強さが
大事になってきます。

そこから、詳細条件が固まり、本格的に
相手側への交渉がはじまります。

この時点では実は既に。数多くのフィルターを
潜り抜けた方だけが選ばれることになるのですが、最初のお名前出しの時点でキャスティング会社から、『○○さんがオススメですよ』
という言葉があれば、キャスティングの担当は、十中八九○○さんを決めたいと思っているといえます。

そして、○○さんが決定した暁には、
晴れて、相手に尽くすことができるのです。

つまり、お名前出しの段階から、
ほぼ決め打ちでスポンサー様や広告代理店様に
選んでもらうということが、
相手に尽くすためにまず大事なことなのです。

②相手へのメリットを提示する

①がクリアできていれば、
あとは相手側のメリットを察することです。

相手側がどんなことを求めている人なのか?
これが分かれば、簡単です。

もちろん、ギャランティ(報酬)が高いのは
言うまでもありませんが、
ギャランティが低い場合はどうすべきでしょうか?

ギャランティが低いことは先に伝えた上で、
それでもこんなメリットがありますよ。
ということをシンプルに伝えてあげるのです。

そのメリットは、もちろん人それぞれ。
日頃のコミュニケーションやあらゆる情報源から、相手側が求めているだろう、ということを想起した上で、個別に対応する必要があります。

そうすると、条件が多少悪かったとしても
相手側から感謝されることも多いのです。

相手側へのメリットを際立たせることができれば、どんな口下手な人でもうまく相手を説得することができますよ。

③断りにくい理由(関係値)を作っておく

だいたいの交渉は①②で成立しますが、
それでも相手側が了承しにくい場面も多々あります。

例えば、相手側から断られる理由として多いのが、
もっと他の仕事を優先したいという優先順位の問題や、内容は魅力的だが結果的にギャランティが低いので時間を割くのが難しい、という事などです。

その時に重要となるのが、
①のどれだけ相手に尽くせたかになるのです。

普段から尽くしてもらっている人から、
どうしても○○さんにお願いしたいのです。
と言われたら、もちろん相手にもよりますが、
やはり相手側からしたら断りにくいと思います。

ただし、泣きつくような真似は逆効果です。
あくまで、相手に尽くしているという姿勢を
崩さずに、フラットに話を切り出すのです。

また、相手側の問題で案件が上手くいかなかったなど、相手側とある種の事故が過去に起きたことがある場合も同様です。

現に事故を起こした人はそれ以降、そもそも①のステータスには入れられませんが、相手側が得意な領域や、信頼できる案件によっては、再度相手側へ尽くすことも可能なのです。

ただし、これはある程度、スポンサー側にも、どんなことがリスクになり得るのかなどを知っていること、伝えておくことが前提であります。

相手側との関係値もそれなりに長くないと難しいテクニックではありますが、断りにくい理由や関係値を日頃から作っておく。というのは、どうしてもキャスティングしたい案件に対して、最終段階ではキーポイントになります。

上記は全て私が意識していることになるので、
キャスティング会社共通の認識ではないと思いますが、この3点を押さえていれば、
きっと交渉もスムーズに進むはずです。

交渉が苦手な方は、是非、意識してみてくださいね。


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