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「2024年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要(案)」と今後の中小企業政策

先月、中小企業庁から発表された「2024年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要(案)」をもとに、今後の中小企業政策について考察してみます。

「2024年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要(案)」で、私が特に注目しているのが、以下一連のテーマ(※1)です。

【テーマ③】足下における現状認識
【テーマ④】人手不足
【テーマ⑤】賃上げ
【テーマ⑥】省力化投資と生産性の向上

「テーマ③足下における現状認識」では、「中小企業の経営課題の内訳をみると、売上不振のほか、原材料高や求人難の割合が高い状況。」との記載があることから、「人手不足」への折り合いのつけ方を重要課題と認識していることが伺えます。

それを掘り下げ、政策の道筋を具体化するまでの背景が「テーマ④人手不足」「テーマ⑤賃上げ」「テーマ⑥省力化投資と生産性の向上」と言えるでしょう。

その具体的な政策のひとつと目されるのが、白書には明記されていませんが、2024年3月に公募要領が開示された「中小企業省力化投資補助金」です。

「中小企業省力化投資補助金」(※2)は、投資により、中小企業の人手不足を補い、生産性向上を促す制度であると言えます。

2024年度の中小企業白書からは、こうした投資拡大により、就業者人口が減少する中で、中小企業の成長を通じて経済力の維持・向上に繋げようという行政の意図が垣間見えます。

本日時点では「中小企業省力化投資補助金」は制度の段階的な準備途上にあるため、動向を注視していきたいと思います。

※1
「2024年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要(案)」に掲げられている全テーマは以下のとおりです。
【テーマ①】令和6年能登半島地震の影響
【テーマ②】新型コロナウイルス感染症の振り返り
【テーマ③】足下における現状認識
【テーマ④】人手不足
【テーマ⑤】賃上げ
【テーマ⑥】省力化投資と生産性の向上
【テーマ⑦】海外需要と日本企業の決算状況
【テーマ⑧】価格転嫁
【テーマ⑨】事業承継
【テーマ⑩】経営改善・再生支援
【テーマ⑪】中小企業の成長
【テーマ⑫】中小企業の成長投資
【テーマ⑬】中小企業の成長投資のための資金調達
【テーマ⑭】中小企業の成長に向けたM&A
【テーマ⑮】小規模事業者の経営課題
【テーマ⑯】小規模事業者の売上げの確保に向けた取組
【テーマ⑰】起業・創業による新たな担い手
【テーマ⑱】中小企業・小規模事業者を支える支援機関

※2
中小企業省力化投資補助金の特設サイト(https://shoryokuka.smrj.go.jp/)によれば「事業目的」は以下のとおりです。
「中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするため、人手不足に悩む中小企業等に対して、IoT、ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品を導入するための事業費等の経費の一部を補助することにより、簡易で即効性がある省力化投資を促進し、中小企業等の付加価値額や生産性向上を図るとともに、賃上げにつなげることを目的とします。」

以上

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