Bed Time

朝8時のアラームが鳴る。
一向に起きてこない彼は朝日が当たるベッドで可愛らしい寝息を立てている、休みの日だからもう少し寝かせてあげるかと思いつつも、そこは自分に鞭を打って体を揺する。

「んん、もう少し寝かせて…」
分かってる、昨日もパソコンに向かって夜遅くまで頑張っていたのを私は知っている。
だがしかし、このままではきっと今夜また夜更かしをして明日も辛い朝を迎えることも私は知っている。
だから起こしてあげる、乱暴だと言うならそれでも良い。
寝起きが悪くならないように時間をかけてゆっくりと、ごねる彼を私は起こした。
バスの時間はギリギリになってしまったけど、それはそれで良い。
私は起こした彼に洗濯物を干しておいて欲しいとだけお願いして、職場に向かった。
あくび混じりの返事が聞こえたのできっと大丈夫だろう。


ただいまと玄関で靴を脱いでいると、リビングからおかえりと柔らかい声が聞こえた。
「ご飯もできてるけど、先にお風呂にする?」
洗濯物を畳みながら彼は私に言った。
思わず彼を抱きしめて頭を撫でてあげる、懐いた子犬のようにクシャっと笑って彼は畳み終えたTシャツを置いて、彼は私の手に自分の手を重ねた。
お言葉に甘えて、先にお風呂をいただき、彼が用意してくれたご飯を食べる。
胃が弱い私を気遣ったメニューは仕事で疲弊した体に染み渡るような美味しさだった。
食器は仲良く2人で洗った、食洗機を買おうか迷ったこともあるけど、面倒だけれどこの時間が私にとっては何よりの癒しだから、機械に奪われるのは癪だ。

「今日は早く寝ようかな」
ベッドで本を読む私の横に彼は滑り込んできた。
朝自分で起きれないと君に嫌な思いさせるさせちゃうでしょ?とのことだ。
本を読む私の肩にもたれかかって来た彼がたまらなく愛おしくなって、私はまた頭を撫でた。
先程とは違う穏やかな笑顔で甘えてくる彼に、私はまたたまらなくなって本を途中で閉じて眠りについた。

夢の中で彼に起こされた。
暖かい布団の中が心地良くていつまでも寝ていたいぐらいだったけど、彼が辛抱強く起こしてくれるから頑張って起きる、そんな夢。
そのあと陽の光も差し込まないような時間に本当に目覚めた。
目線の先には赤ん坊のような彼の寝顔がそこにあった。
私は起こさないように頬に口付けをしておやすみとだけ言ってまた2人の温度で暖まった布団に身を任せた。
今日は私は起こさないから、2人で気が済むまでゆっくりゆっくり眠ろうと思う。
たまには良いかな、なんて自分に言い訳をした。

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