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遊戯王クロスデュエル デッキ紹介『ビートダウン治癒マグナム』(第3回クロスエブリ杯優勝)


1、はじめに

10月29日開催の第3回クロスエブリ杯(Vtuberの『ねずっちょ』さん主催大会。詳しくは検索してください)にて優勝しました。使用したのは先日ご紹介しました『治癒マグナム』を調整したものになります。大会環境を意識したものになりますが、調整自体はランクマッチで行っており、勝率も良かったのでご紹介します。
なお、今回は大会の報告を兼ねて、前回からの変更点を重視した解説の他、少しプレイングについてもお話しします。
より基本的な紹介は前回の記事をお読みください。

2、デッキレシピ

今回のデッキはこちらになります。

ビートダウン寄りに調整した治癒マグナム

前回の治癒マグナムから一つ大きく変えたのが、コントロール寄りからビートダウン寄りに変えた点です。
ご覧の通り、魔法罠の枚数は5枚と一般的なビートダウンと同程度の枚数で、よくコントロール系デッキに採用される「時の魔術師」「猛毒の風」「攻撃封じ」「クリボーを呼ぶ笛」「落とし穴」「底なし落とし穴」「強制脱出装置」「レッドアイズバーン」などを採用しませんでした。代わりに青眼や、ステータスの高い治癒持ち、ダブルコストモンスターなどを採用しています。
理由としては、以下の4点が挙げられます。

①事故率の軽減
②設置罠が刺さる団結キャタピラーが大会では少ない
③ビートダウンしていればそのレーンについては事実上守っていることにもなる
④ダイレクトアタックを通すことで一位を取りやすくする

優勝するにはやはり一位を取れないと厳しいと考えたため、ダイレクトアタックを目指しました。

3、今大会でマグナムを用いた理由

【団結キャタピラーが少ない】

ランクマッチでは一定数見かける団結キャタピラー。正直なところ、手札リソースが大切なこのデッキにとって、最序盤から全力で攻めてくるこのデッキを相手にするのは苦手です。団結キャタピラー側の手札によっては普通に受けきれない他、仮に捌き切ったとしてもかなりのリソースを消費させられ、後半戦で苦境に陥ることが度々ありました。
大会環境では、二戦目以降の対策のし易さ(初手からモンスターを攻撃表示で向かわせれば団結キャタピラーは大抵大幅に弱体化して簡単に対処できます)から団結キャタピラーはほぼ見ないので、逆にマグナムデッキは有利と言えます。

【コントロール・バーンに対して有利】

今回の大会は決勝以外は2位まで先に進むことができました。その為、2位を狙いやすいコントロール系、バーン系のデッキが多く勝ち進むことが予想されました。これらのデッキに対して、マグナムデッキは戦闘を介さずダメージを与える点がコントロール系に有利であり、単純なダメージ量でバーン系に勝ります。

【マグナムはミラーマッチにも強い】

今大会ではマグナムが強いと考えていたので、同じくマグナムを使用する決闘者も一定数いると考えました。過去の記事にも掲載しましたが、マグナム使いが2人いた場合、残りの2人は両マグナムから莫大な量のバーンダメージを受け、またマグナム使い同士はお互いを攻めるだけの突破力は持たないことが多いため、必然的に残りの2人が三位四位になりやすいです。そのため、二位以上で決勝まで進めるルールなら、ミラーでも勝ち進みやすいマグナムは有利だと考えました。準決勝では、正にその結果になりました。また、決勝でもマグナムミラーの状況を作るため、もう1人のマグナム使いの方が勝ち上がるように多少意識してプレイングしていました。

そして、マグナムミラーで一位になるためにはやはりどこかでダイレクトアタックを決めなくては厳しいとも考えていたので、今回ビートダウン構築にしていたのは正解でした。

4、構築について

【治癒ギミックの採用】

今回のマグナムデッキに治癒ギミックを採用するメリットは主に3つあります。

①接戦、負けている時の挽回手段
②回収系カードの存在
③治癒持ちはそこそこの高ステータスでビートダウンを行える

単純に「治癒」というスキルとマグナムのスキルを比べた場合、実は噛み合っていません。治癒は自分のライフを回復しますが、マグナムのスキルは自分の順位が低ければ低いほど高いダメージを与えるからです。
例えば、治癒無しで全員のライフが4000の場合、初回のマグナムバーンは800ものダメージを与えますが、一度治癒を使って自分だけライフを回復していれば、一位なので200しかダメージを与えられません。

ただ、ここで考えたいのが、上記のパターンならどちらにせよ自分が一位だということです。要するに勝負の上では問題の起きていない状態です。一方で、ライフの変動が激しい決闘では、僅かなライフアドバンテージの奪い合いになることがよくあります。こういった決闘ではマグナムのスキルだけでは勝ちきれないことがあり、もう一手ライフ差をつける手段が欲しくなります。そこで治癒を使って差を広げていく、もしくは追いついていくわけです。準決勝第一試合が顕著でしたね。

また、治癒には「幻奏の歌姫ソプラノ」という専用の墓地回収カードが存在します。更に、星3以下のモンスターもいることから「ジャンクシンクロン」にも対応します。マグナムの召喚条件から手札リソースは非常に重要な為、2種の回収カードを共有できる治癒は相性が良いです。

最後に、治癒持ちは高ステータスのモンスターが多いことがあげられます。もちろん、アタッカーとして考えれば更に高い攻撃力を持つカードは存在しますが、上記2点と合わせて考えれば、十分に有用です。また、このデッキはビートダウンによって仮にダメージを取れなかったとしても、そのレーンにモンスターを流し込み続けることで封殺できればあとはマグナムが勝負を決めてくれるので、一般的なビートダウンと比べると無理にライフを取りに行く必要はありません。流し続けるだけなら、治癒ギミックのモンスターのステータスは十分な数値です。

【ダブルコスト2枚採用】

最上級モンスターが青眼一体に対して、ダブルコストを2枚採用している構築は珍しいと思います。
手札リソースの重要なこのデッキでは、出来るだけ青眼召喚時のコストを減らしたい点と、マグナムの召喚コストにすれば余ったダブルコストを活用できる点から、今回はダブルコストを2枚採用しています。使用感は非常に良く、やはりマグナムは多少強引に「揃えば強いが腐ることもある」コンボカードを詰める点が強みでした。

なお、大会直前まで真紅眼も採用していましたが、青眼が多いと予想して星読みと入れ替えました。真紅眼も強いです。

【ダイレクトアタックを通す手段】

ビートダウンで無理にライフを取らなくても良いとはいえ、一位を目指すためにやはりダイレクトアタックは無理しない範囲で狙いたかったです。
そのため、今回はライフを取る手段として、「青眼の白龍」「エネミーコントローラー」「右手に盾を左手に剣を」を採用しています。どれも、ライフを取るため以外にも有用な使い道がある点が優秀で、無理な採用になっていません。以下、少し解説します。

【青眼の白龍】
いつもの壁を破壊してダイレクトアタックを通すムーブがやはり強力。大会でも何度かこの手段でダイレクトアタックを通しました。ブラッドヴォルスなどからこの動きをする事は多いですが、1100〜1600くらいの攻撃力からこの動きをする事はあまりないので、警戒されづらかったのかもしれません。
その他、シンプルにステータスが優秀で壁にもビートダウンにも使用できる他、破壊効果を使って守ったり、敵同士のやり取りに介入することもできます。

【エネミーコントローラー】
治癒持ちアタッカーやアリア、ガガガマジシャン、青眼と組み合わせて使い、敵の守備モンスターを攻撃表示にしてダイレクトアタックを通します。これも大会中に何度か決めました。
その他、守備表示に変えて守りに使うことも当然あります。この場合、主に敵の召喚ターンに用いて次のターンの後続召喚を防ぎます。

【右手に盾を左手に剣を】
敵が攻撃表示で受けに来ることは機会が多いとは言えませんが、全くないわけでもなく、そんな時にこのカードがあればダイレクトアタックまでもっていけることがあります。また、分断の壁などで攻撃力を0にされ、飼い殺しにされた状態からダイレクトアタックを狙うこともできます。決勝ではこれが決め手になりました。
その他、マグナムの最大の弱点である攻守逆転を自分で上書きするためにも使います。

5、大会中のプレイング

【基本は片側レーン集中攻撃】

無限ガガガではないので、左右両レーンにモンスターを流し続けることは不可能です。ましてやこのデッキは手札リソースを大切にするので、攻め込めるのは1レーンが限界です。その為、左右どちらかのレーンは高ステータスの治癒持ちや青眼、星読みで守り、もう片方に攻撃力1000以上のモンスターを出来るだけ流し続けます。こうすることで敵に守勢を強い、事実上そちらのレーンも守ることができます。また、攻撃表示で流し続けることで仮に炎上されても比較的早期に破壊されることで影響を抑えます。

【決勝戦での「幻奏の音女アリア」のスキル不使用について】

アリアのスキルを自分のドリアードに使うことで、次ターンに4分の1先行するドリアードとアリアを同時に敵に到達させる手もありました。その場合、手札のエネコンと合わせるとダイレクトアタックを決められる可能性がありました。
ただ、この時私は2回戦で同じテーブルだったため、相手エースが青眼であることを知っていたので、そのターン中に壁モンスターを撃破することを優先しました。そのため、エネコンを壁のカノンに使用し、前進を強要、ドリアードとアリアの2体がかりでカノンを撃破しました。相手の手札も少なく、アドバンス召喚をするデッキは盤面のリソースを残せないと辛いためです。

【決勝戦での「光の護封剣」と「右手に盾を左手に剣を」の同時使用について】

最終戦で行ったこのプレイングは、「右手に盾を左手に剣を」を使うべきか判断するためのものです。勿論、護封剣で左側からの進行を阻止するというのも重要ですが、あの時点では攻め込まれても受け切れるだけの壁が揃っていました。一方、右側は「右手に盾を左手に剣を」を通すことができれば、大きなアドバンテージを得ることができる局面でした。しかしながら、このカードは自分のマグナムを守るためにも使えるため、温存も選択肢です。
そこで、最初の魔法使用のカウントダウンでラスト1秒まで待った上で護封剣を使い、他に魔法が飛んでくる可能性が低いことを確認してから本命の「右手に盾を左手に剣を」を撃ちました。

6、最後に

今回、環境を読み切って優勝できたので嬉しい反面、バーンデッキは見ていて盛り上がらないというご意見も見受けられました。私としてもそうならないよう、ダイレクトアタックも取れるデッキに仕上げたつもりですが、やはり勝つためには動かないターンも必要であり、退屈さを感じさせてしまったことは否めないかもしれません。

ただ、コントロールやバーンが消えればそれはそれでデッキの多様性が失われることになりますし、見た目の派手さがないだけでプレイング自体はビートダウンに比べてコントロールやバーンが簡単ということはないと思っています。準決勝も決勝も、参加者は深夜にも関わらず、知恵と気力を振り絞っていました。見方によってはとても面白い決闘だったと思いますので、未視聴の方はぜひご覧ください。

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